第3話 王都へ道のり2
女が1人監視をしていたのに気が付いたので、襲われたら堪らないので、隙を見せない様に女を正面になる様に焚火の前に座った。
「隙を見せていないから当然だけど……動かないなぁ」
「この場を離れて隙を見せてみるか……いや、二人が寝ているから万が一があったら危険だから止めておくか……朝までこの状態かな……うーん……どうしたものかなぁ」
「……あのガキ隙がある様で隙が無い……一体どうなっているんだ!」
監視の女は、ソティアスに隙が無いのをイラつきながら見ていたがその時、女に声を掛ける男が現れた。
「ニキータ、新しいカモの様子はどうだ?」
「……! オルドンか、驚かすんじゃないよ」
「ごめんごめん、で?」
「ダメだね。全然隙が無い」
「!? 本当かよ、まだ6~7歳のガキじゃないか」
「本当さ、監視を始めてから一度も隙を見せない。女二人は、隙だらけなのに一体全体どうなってんだか」
「だが、所詮は、ガキだろ、一晩中監視をしてれば一度くらいは隙を見せるだろうよ」
「そうかもね」
「……一人増えたな……来るかな……その前に後ろの連中をかたずけないとダメかな」
近くまできていた魔獣の方を振り向きながら剣を抜いた、其処にいたのは、”山狼”が10匹が警戒しながら歩いて来ていた。
「10匹か、ちょっと多いかな? 魔術使えは簡単だけど二人が起きたら困るしな……なにより現時点で使える魔術の情報を知られたくないし……やっぱり剣だけで倒すかな」
そう思いながら魔獣の中に飛び込んだ。
飛び込んだ目の前の敵に右上から左下への袈裟斬りで仕留めてその右隣りに左から右へ振り切り首を刎ね後ろから飛びかかってきた2匹に左から右に横切をすると2匹とも頭を吹っ飛ばしさらに間合いを詰めてその後ろにいた1匹に真上から振り下ろし頭を真っ二つにし右隣の頭を切り落としあっという間に6匹を仕留めると4匹は、後ろを振り向き一目散に逃げ始めた。
「まあ、追い掛けないでいいかな」
「……な、なんだあの強さは……ガキの剣筋じゃないだろ……あれ!」
「この暗さの中で、あの動き……ただ者じゃないよ、あのガキ」
「ああ……オレは、仲間に知らせてくる」
「分かった」
「監視を頼んだぞ」
「ああ、分かってるよ」
「……1人離れた……仲間を呼びに行ったかな……今ので警戒させたかな」
ニキータは監視し、ソティアスは気がついていない振りをする状況が朝まで続いた。
「おはよう、ミール姉様、エスト」
「おはよう、ソティ君……じゃないよ……どうして見張りを変わるのに起こしてくれなかったの?」
「……忘れていました」
「わぁー何これ? 夜襲撃あったの?」
「うん、4匹逃したけど」
「いや、魔術を使わないで、剣で6匹他を倒せば充分でしょ」
「そうかな?」
「そうよ……ソティ君……朝御飯にしましょうか? それとも少し眠る?」
「眠くないので朝食にしましょう(結局襲ってこなかったな。それに2人が起きてきたら監視もいなくなったし……待ち伏せの準備にいったのかな)」
「!? どうしたのソティ?」
「ん! なんでもないよ」
「さあ、食べようか?」
「う、うん……変なの」
朝食を食べてから倒した”山狼”の死骸から素材を回収し”火で燃やしテントを片付けて出発の支度をしてから話し合いを始めた。
「今日も昨日と同じく途中までは、魔獣魔物を探しながら進みます。そして、ミール姉様、エストこれは、お願いであり命令でもありますが今日は、僕の言葉に疑問も返答も求めないで下さい」
「「命令!?」」
「はい、今日一日でいいので」
「……? 分かったわ、なにがあるのね?」
「はい、お願いします。エストもいい?」
「……いいわよ」
「うん、ありがとう……どちらかに何かを言いたいときは、名前の後に言います。名前を言わないで言った場合は、二人に言った言葉と思って下さい」
「「分かったわ」」
「お願いします……では、出発しましょう」
「「了解」」
昨日と同じように魔獣を倒しながら10キロメートル程進むと一人の女が倒れていて傍らにいた2人の男が女の名前を呼び心配し体を揺さぶっていた。其れをみたミールとエストが駆け寄り声を掛けた。
「どうしました!?」
「いえ! 分からないんです。急に意識を無くして倒れてしまって」
「それは大変ですね」
ミールとエストは、無防備に近づいて来たのを確認した二人の男が右手を腰に回した。其れを見たソティアスは、ニ人に声を掛けた。
「後ろに跳べ」
ニ人は、疑問に思ったが約束をしていた為、後ろに跳んだのを見た男二人は、一瞬怯んだ所にソティアスが飛び込みいつの間にか手の持っていた剣でニ人の男の右手を一瞬で切り落としうつ伏せになっていた女の左手に剣を突き立てた。
「ぎゃあああああああああああ」
「ぐぁあああああぐぅうううう」
「きゃぁああああああああああ」
「「!?」」
「な、何してるのソティ君」
「ソティ何やってんのよ」
「……盗賊です」
「「え!?」」
「盗賊です。切り落とした右手を見て下さい」
ミールとエストは言われたように切り落とされた右手を見てみるとナイフが握られていたのを見てニ人は、顔を青白くさせて絶句した。ソティアスは、縄を出して盗賊三人に近づき男ニ人は、左手と体を縛り、女は、両手を後ろ手に縛ってから”治癒魔術”を唱えた。傷口が塞がり血が止まると痛みが無くなったのでソティアスに向かって叫んだ。
「いきなり何しやがるこのクソガキ! この縄解け」
「いやいや何言っているのですか? ナイフに手をかけたのは、そちらが最初でしょ」
「……ナイフに手をかけただけだ」
「……心配して駆け寄る人の前でナイフに手を掛けるのですか? それと意識がなかった人が悲鳴を挙げましたね? 説明して下さい」
「……私たちが盗賊って知っていたのか?」
「知っていたのかって……当然でしょ……そちらの女の方は、一晩中僕らを監視していたでしょ」
「「えっ!?」」
「知っていのかい」
「そりゃ、気配を消さないで監視していれば分かりますよ」
「ソティ君、どういう事」
「テントを張る少し前から監視をされていました。監視されているのが分かっていたので最初に見張りをして見張りの交代をするつもりはありませんでした」
「ごめんね、知らなかったから」
「気にしないで下さい」
「さて、盗賊の三人の方に聞きたいことがあります」
「なんだ!」
「あなた方のアジトは、何処ですか?」
{!? 教えるわけないだろ」
「でしょうね……まあ、いいです。何となく見当はついていますから」
「な! 何を言っている」
「仲間に報告に行く為に監視から一人離れたでしょう……おそらくそちらの方にアジトがあるのでしょう?」
「なぜそこまで知っている?」
「気配を消していないから分かりますよ」
「気配を消していないからって……5~60m離れていたのに」
「関係ないですね。せめて2km離れないと」
「「「な!?」」」
「さて行きますか姉様、エスト」
「「行くってどこへ」」
「決まっています。盗賊のアジトを潰します」
「なぜ、そんな事を? ソティ君?」
「……裏切り者の3人がいるかもしれませんし3年前に受けたミール姉様の心の傷と体に残ったナイフ傷の御礼参りです」
「ソティ君」
「ソティ」
「……!? 何の事だ?」
「ああ、あなた方には関係ない事です。さあ行きますか」
「この三人どうするの?」
「もちろん連れていきます」
「「了解」」
「「「……」」」
3人の盗賊を引き連れて歩き始めた。此処からは、魔獣魔物に遭遇しないように歩き10キロメートル程歩くとソティアスは、歩みを止め全員に声を掛ける。
「この先、約100m左方の洞窟の中がアジトですね」
「「「ぐぅ!」」」
「何故わかった?」
「秘密です」
ソティアスは、盗賊三人の足元に”泥沼”を唱えると足元が泥沼に変化し沈み始めて少しすると泥沼化が終わり元の地面に戻った。”泥沼”は、土魔術と水魔術の合わせ魔術で水魔術で地面を緩めて対象物が設定した部分まで沈むと固まるようになっていた。
「「「な!?」」」
「暫くそうしていて下さい……ミール姉様、エスト……中には、25人います。どうしますか? 一緒に来ますか?」
「「もちろん」」
「……分かりました。では、武器の準備をして下さい。あと殺さないで下さい」
「「何故?」」
「聞きたいことがありますからです。魔獣じゃないので腕の一本でも切り落とせば戦意を失うと思いますが中には止まらない者もいるでしょうからその時は、もう片方も切り落として下さい。足は切り落とさないで下さい。歩かせるの面倒になりますから」
「「了解」」
「僕が魔術で何人かを倒します。その後3人で突っ込みましょう」
「「了解」」
「では、行きましょう」
アジトに向かう3人を見た盗賊達の顔色がみるみる悪くなっていった。
「とんでもないガキに手を出してしまったみたいだな」
「ああ」
ソティアスは、洞窟の入口に立っていた三人の見張り番に”風切”を放ち3人の盗賊の両腕を肘から下を切り落とした。
洞窟に入り驚いた顔をして倒れている仲間を見ていた3人に”水玉”を鳩尾に放って気絶させるとミールとエストがその先にいた2人の右腕を切り落とし奥に進もうとした時一人が、剣を左手に持ち替えてミールに襲い掛かってきた。ミールは、避ける事が出来なかったがソティアスの放った ”風切”で左腕を切り落とした。
「ミーツ姉様気をつけて下さい」
「ご、ごめん」
「次来ます」
「了解」
エストは、今の出来事の間に2人の両手首を切り落とし左側にあった道に走り込むと二人いて一人は、此方に向かってきた。エストは剣を持っていた相手の右腕を切り落とし一人は、エストに剣を振り下ろしてきたが其れよりも先に右腕を切り落とした。さらに奥に走ったが行き止まりになっていたのでエストは元の道に戻ったが全て終わっていた。1人は両腕を1人は右腕を1人は両肘下を切り落とされ倒れ込んでいた。
「ソティ、ミール姉さん終わったの? 25人いた割には早かったね?」
「……ごめん、25人のうち10人は……この子達だったみたい」
「この子?」
「うん、たぶん誘拐されてきたみたい」
「この子達の前に盗賊の手当てをしないと出血多量で死んでしまいますから。縄を渡すので縛っといて下さい」
「「了解」」
ソティアスは、ミールとエストに頼むと牢屋に裸にされていた女の子7人男の子3人の前まで歩き言葉をかけた。
「こんにちは、僕はソティアス・フォルティスです。盗賊退治に来た所に君たちを発見しました。君達はどうしてこんな所へ?」
「私たちは、みんな王都から誘拐されてきました。お願いです。助けてください」
「この中で、怪我している人はいますか?」
「いいえ、皆大丈夫です」
「そう……助けてあげるから少し待ってくれる?}
「はい」
ソティアスは、返事を聞いてから縛られている盗賊を順に”治癒魔術”を唱えていった。全員を治療し終わると外に置いてきた三人の盗賊を洞窟に連れて来た。洞窟に入る前に探知魔術を使ったが2km以内に魔獣以外居ないのを確認してから自分も中に入った。気絶させられていただけの盗賊のニ人を先頭にして未だに気を失っている一人を抜かして全員を一本の縄でしばった。
縛り終わるとエストを見張りに残しミールと共に奥の牢屋に向かった。
「ミール姉様、やっぱり全員、王都から誘拐されてきたみたいです」
「……そうなんだ」
「で……みんな裸なので服を着せてもいいですか?」
「もちろんいいわよ」
牢屋の前に来た時に、鍵が無いのに気がついたが探すのが面倒なので土魔術で壁に穴をあけて牢屋の中まで繋げた。
1人ずつ穴から此方に出てきて、服を渡しますから」
「「「「「はい」」」」」
全員を牢屋から出して服を着せて盗賊の手前まで連れて来た。
「ミール姉様、エストこの子達を見てて下さい」
「「了解」」
気を失っている盗賊一人を叩き起こしその男と縛った盗賊達に話し掛けた。
「盗賊の皆さんこんにちは、僕は、ソティアス・フォルティスと言います。別によろしくしなくっていいですか」
「「「「「…………」」」」」
「みなさんに質問がありますので、素直にお答え頂きたいと思います」
「ふざけんな、クソガキ」
「……知っていますか? 盗賊に何をやっても罪に問われない。盗賊を殺しても犯罪者にならない事を」
「俺達の中に一般人がいたらどうするつもりだガキ」
「心配有難うございます。でも、みなさんが盗賊である事は確認できていますので心配ご無用です」
「そんな事分かるわけないだろ」
「ウソではないですよ。僕は、探知、探索、鑑定の魔術が使えます。3つ魔術を魔術を合わせると簡単な人物鑑定も出来ます。例えば
盗賊ランク Fランク 8人
盗賊ランク Eランク 4人
盗賊ランク Dランク 2人
盗賊ランク Cランク 1人
あっていると思いますけど……どうですか?」
「なぁ!?」
「全員盗賊である事が確認できたところで質問いいですか?」
「勝手に質問してろクソガキ」
「他に誘拐した子供はいますか?」
「……死ね!」
ソティアスは目の前の盗賊の足にナイフを突き刺した。
「ぎゃぁああああああああああ」
「このナイフって毒付でしょ? ほっといたら死にますよね」
「や、やめ……」
「”解毒””治癒魔術”」
「喋って頂けますか?」
「……」
ソティアスは、無言でナイフをお腹に突き刺した。
「ぐぅぁぁぁあああああああああああ」
「……」
「た、たすけて」
「……」
「た、頼む……喋るから」
「”解毒””治癒魔術”……では、お話しください」
「この班では、10人だけだ!」
「うんうん、この班ではね、他の班は? 他のアジトはどこに?」
「……下っ端の俺には分からない」
「本当ですか?」
「本当だ!」
「まあ、いいでしょう。信用しましょう…………次の質問です。誘拐した子供はどうするつもり何ですか?」
「……誘拐した子供は……各地方の裏奴隷商人に売り払う」
「裏奴隷商人?」
「ああ、表の奴隷商人は、誘拐した人間は絶対に買わないからだ」
「成程……では、本題に入らせて頂きます」
「本題!?」
「ええ、誘拐されている子供がいるとは思いませんでしたから……本来の用件はこちらです」
「……」
「最後の質問です……盗賊の仲間の中で、カタル、カース、ナギの三名の名前に聞き覚えはないですか?」
「「「「「なぁ!?」」」」」
三名の名前を聞いた瞬間その場にいた盗賊の数人が顔色が青白く悪くなっていった。
「どうしました? 顔色悪くなりましたよ?」
「……そ、その三人の事は話せない」
「なぜです?」
「……」
ソティアスは、ナイフを腹に突き刺した。
「ぐぅうあああああああああああーな。なにを……されても……はなせない……」
「……」
「は、はなせ……ない……ころせ」
「……”解毒””治癒魔術”……」
「……な……ぜ?」
「……あなたの根性に免じて命は、助けます……しかし……これだけは喋って下さい」
「……なにを?」
「その三人は、まだ盗賊をやっていますか?」
「……なぜ、そこまで三人の事を?」
「……自分の保身の為に仲間を殺そうとし村を売った裏切者です」
「…………盗賊は……やっている」
「有り難うございます。それを聞けただけで満足です……盗賊を倒していけばそのうちに会えますね」
「……」
「ミール姉様、エスト……お待たせしました」
「いいの? ソティ?」
「あれは、何をやっても口は割らないでしょうから……王都に向けて出発しましょう」
「そうね」
「盗賊の皆さん、王都まで歩いて貰います」
「……ああ」
「みんなは、歩けないよね?」
誘拐されていた子供達に尋ねると全員頷いた。ソティアスは洞窟の外で、土魔術で船を作り子供全員を乗せて盗賊に引っ張らせる為に外に全員待たせてからもう一度中に戻り 盗賊達がため込んでいた武器、防具、装飾品、魔石、魔獣魔物の素材を全て収納して外にいる全員に出発を促しその場を離れて王都に向けて歩き始めた。