第2話 王都へ道のり
早朝に大勢の人に見送られてイサーラ村を出発したミール、エスト、ソティアスの三人は、村が見えなくなった辺りで話し合いを始めた。
「ソティどうしたの?」
「ソティ君? 何考えているの?」
「姉様、王都イプハールまで、約80kmですよね」
「ええ、歩いて1日半、ゆっくり走って夕方くらいには着くわよ」
「普通に王都まで歩くのつまらなくないですか?」
「「つまらない?」」
「はい、別に急ぐ旅じゃないし寄り道とかして行きませんか?」
「たとえば?」
「街道を外れて、魔獣魔物退治とか旅に慣れておくとかですね」
「街道外れて大丈夫?」
「大丈夫です。此の辺りの魔獣魔物は強くないから大丈夫です」
「確かに急ぐ旅じゃないしいいかな……ねえ、ミール姉さん」
「まあ……何事も経験だからいいかな」
「で、ソティ……北と南どっちから行くの?」
「北かな。南の方は強い魔獣魔物が出やすいから」
「そうなの?」
「エリモス大陸とザラーム大陸に近づくほど強くなりますから今回は、北からいきましょう」
「分かったわ、北からね。それと指輪の活用方法って?」
「ミール姉様は、装備品収納の指輪の円滑利用です。今、武器を出すのに10秒程かかってますから、これを1~2秒で出せるようにしてください」
「わかったわ」
「僕は探知魔術で魔獣魔物を発見しますので、退治して魔石自動収納の確認。最初は三人で倒し慣れたら三人バラバラで倒しても収納されるかの確認します。さあ、出発しましょー」
「「おぉー」」
3人は、街道を外れて北の山道を目指して歩き始めた。
「山って言っても2~300m級の山しかないけどね」
「二人共、武器の準備を距離20.右辺に犬型魔獣です。数は3体まず僕が”土玉”で3体に攻撃します。二人は、発動とともに突っ込んで下さい。倒す数は、早い者勝ちで」
「「了解」」
進路を変更し少し歩き始めると”山狼”が見えた、行きます。ソティアスは、3つの”土玉”を”山狼”の頭に向かって放ったと同時にミールとエストが走り始めたが”山狼”の目の前で止まり剣を鞘に納めた。
「……ソティ君?」
「……ソティどういう事?」
「……ごめん……ここまで威力があるとは思わなくて」
フォレストウルフ3体の頭は、きれいに吹っ飛んでいた。
フォレストウルフの死骸を保管し魔石を確認した。
”魔石自動収納”
茶 : 1個
青 : 0個
赤 : 0個
緑 : 2個
白 : 0個
黒 : 0個
銀 : 0個
金 : 0個
虹 : 0個
「本当に自動で回収されます。指輪なかったら回収する作業が大変ですね」
「その指輪選んでよかったね」
「それよりソティ……魔獣探してよ」
「はい…………正面50”山狼”4匹、”樹の魔物( トレント )”2匹計6匹」
「了解……今度は、残してよ」
「了解、近づきましょう」
ソティアスは、”樹の魔物( トレント )”2匹に”風切”を放つと’ヒュー’と風の音が聞こえたと思ったら、”樹の魔物( トレント )”の枝を全て切り落とすと後ろに倒れて息絶えた。ミールとエストは、”山狼”2匹に走り込み、相手に何もさせないで首を刎ねた。其れを見た残りの2匹は、後ろを見て逃げようとした所を”土玉”が2匹の頭を吹っ飛ばした。
”魔石自動収納”
茶 : 3個
青 : 2個
赤 : 2個
緑 : 2個
白 : 0個
黒 : 0個
銀 : 0個
金 : 0個
虹 : 0個
「ソティ、一人でやらないでって言ってるでしょ」
「逃げられるよりいいじゃない」
「エスト、旅は始まったばかりだから」
「次は、ミール姉様一人でお願いします」
「えっ?」
「実験です。離れていても魔石回収が出来るのかを」
「わかったわ」
「左方40 ”樹の魔物( トレント )”2匹です。僕達は、此処で待っています」
「了解。行ってくるわ」
「姉さん気をつけて」
「ええ」
ミールは二人から離れて”樹の魔物( トレント )”に向かって歩き始めた。
姿が見えると走り始めた。2匹はミールに気がついたが、気にしないで走り込み懐に飛び込むと1匹を頭から一閃真っ二つにし、もう1匹を袈裟斬りにし2匹とも絶命した。
”魔石自動収納”
茶 : 4個
青 : 3個
赤 : 2個
緑 : 2個
白 : 0個
黒 : 0個
銀 : 0個
金 : 0個
虹 : 0個
「! 成功みたいです」
「回収できたの?」
「うん、ミール姉様の所へ行こうか?」
「そうね」
ミールの傍へ行くと”樹の魔物( トレント )”を小さく切って、木材にしていた。
「あ! ソティ君、これ収納しといて」
「はい、わかりました」
「エストも一人で戦ってみる?」
「もちろん」
「前方50m”山狼”2匹、僕達は、此処にいるから気をつけてね」
「了解」
エストは、”山狼”に向かって走り出した。程なくして見えてきたので、さらにスピードを上げる。2匹は、エストに気がつき臨戦態勢を整える。エストが飛び込むと先頭にいた1匹が襲ってきたが左に避けて首を刎ねると同時に残りの1匹も襲ってきたが避けないで袈斬りにし、2匹を絶命させた。
魔石自動収納”
茶 : 3個
青 : 3個
赤 : 3個
緑 : 2個
白 : 0個
黒 : 0個
銀 : 0個
金 : 0個
虹 : 0個
「うまくいった見たいです。行きましょう」
「ええ」
「エストお疲れ様」
「手応えがなくって全然疲れていません」
「最初は、こんなものだよ。次からは、少し多めの敵に挑むよ」
「「了解」」
その後3人は、戦い続けて王都まで残り40kmの所で野宿の準備を始めた。
「ねぇソティ、魔獣多くない? 今日だけで、30回くらい戦ったわよ」
「まあね、探知魔術で魔獣魔物のいる所に向かって歩いているから多く感じるんだよ。普通に街道を歩けば王都まで3~4回、街道から外れてもそんなに魔獣魔物には出会わないと思うよ」
「なんで、そんなに魔獣のいる所へ?」
「戦いの経験積むのと魔石と魔獣魔物の素材集めかな? せっかく倒したのにもったいないでしょ!」
「そうかもね! で、どうするのその素材は?」
「ギルドに売ったり、自分で使ったり」
「売れるんだ!」
「うん、今日集めた素材は、安いけどね!」
食事をして順番に見張りをする事にして寝る事にした。
「それじゃソティ君、最初の見張りよろしくね」
「はい、おやすみなさい」
「ソティ、寝たら駄目よ」
「はいはい、おやすみエスト」
ミールとエストの2人は、テントに入り眠りについた。
その光景を見ていた一人の女がいた。
しかし、ソティアスは、常に探知魔術を使っていたので、既に見付かっていた事には、気がついていなかった。
「クスッ……やっと姿を現した」
盗賊に見られているのに笑っているソティアスの姿があった。