最終話 事件の真実
ソティアスによる治癒魔術から7日後、ミール達三人は目を覚まし何があったのが話す時がやってきた。
「おはよう! ミール、カタル、ビス……体はもう大丈夫? 気分はどう?」
「「「はい、もう大丈夫です」」」
「よかった」
「ミール姉様、よかったです」
「ソティ君……聞いたわ……ソティ君がいなかったら私達は……」
「気にしないで下さい。僕が聖魔術を使える使えないの前にノックスさんが三人を見つけていなかったら間に合っていませんでしたから」
「ノックスさんにも後でお礼を言うけど……ソティ君……命を救ってくれてありがとう」
「「ありがとう……ソティ君」」
「ミール姉様、カタルさん、ビスさん本当に気にしないで下さい……ミール姉様は、僕の命を二度も救ってくれてるじゃないですか」
「……!?」
「……捨てられていた僕を拾ってくれました。族長様に殺される所を救ってくれましたよね」
「「「!?」」」
「……知っていたの?」
「はい、族長様に聞いていました」
「……ハァ――……おじい様は何を勝手に」
「族長様は……一生懸命謝ってくれていました」
「そうなの?」
「はい」
「それにしてもソティ君”解毒”と”中級治癒”を使えるようになっているなんで凄いね」
「もう少し期間があればもう一つ上を覚える事が出来たと思います」
「!? なぜ、わかるの?」
「教えてくれている方が言っていましたから」
「教えてくれる方?」
「神様です」
「え!? 神様」
「はい、神様です。正確には神様だった方です。僕が瞑想中に話し掛けられても目を覚ましませんよね? その時、意識は神様の世界に行っていますから」
「……神様の世界? あるの?」
「聖魔術を使える人は瞑想中に一番深い所まで行くと意識が神様の所に行けます。それと聖魔術を覚えられない人は瞑想が足りないからみたいです。神様の声が聞える深さまで行ける人が聖魔術と他の上位魔術を覚える事が出来るみたいです」
「……そ、その話は、またにしましょう」
「はい、母様」
「本題に移りましょう。ミール、カタル、ビス、お話はできますか?」
「「「はい」」」
「……残りの三人はどうなりましたか?」
「うちの息子は、どうした」
「うちの娘も」
「……」
「僕が話します。僕がパーティーのリーダーでしたから」
「分かりました。お願いします」
「はい、三人は……生きてはいます」
「おぉー生きているのか」
「王都にいるのか?」
「どうなんだ」
「皆さん落ち着いて下さい。生きてはいる……とは?」
「…………残りの三人は……盗賊の……仲間になりました」
「なぁ!? 何を言っている」
「ウソだぁー! ウソを言うんじゃない」
「……ウソじゃないです」
「私たちを殺すために……追い掛けてきました……」
「それじゃ……あなた達の傷はその三人が?」
「はい、一度掴まりましたが隙を見て逃げましたが逃げても逃げても追いかけて来て盗賊5人に捕まってしまって……捕まった後に三人が連れてこられて……仲間になる儀式として俺たちにナイフで、最初はいやいややっていましたが、急所とか致命傷を避けるように何度も切ったり刺したりしているうちに楽しくなってきたのか……三人共喜んでやっているように見えました」
「「「な!?」」」
「…………」
「最後に盗賊が三人に別のナイフを渡して軽く切れと命令をすると……躊躇なく切ってきました」
「三人は、聞いていました。なぜ、息の根をとめないのか? と……するとそのナイフには、遅行性の毒が塗ってある1日ほど苦しみ、恐怖しながら死んでいくと」
「……ひどい」
「でも……僕たちは、最後まで諦めたくなくって、イサーラ村に向けて歩き始めました」
「解毒の薬草も回復薬も効かないし……」
「……そう、ありがとう、もう、いいわよ」
「いいえ、最後に一つ……やつら、盗賊の信頼を得るために……村の宝の事を話していました。其れを聞いた盗賊は喜んでいました。今は、仲間を増やしている最中だからもっと増えてから村を襲うと」
「なぁ!?」
「なんという事だぁ」
「……!? ありがと三人共、体力回復のために休みなさい」
「「「はい」」」
「皆さん緊急会議を」
「ああ」
その後すぐに会議が行われて警備を増やすとともに王都に盗賊の退治を頼んだ。
王都には、大将軍になった、リキドを中心に盗賊討伐軍を派遣したが、まったく盗賊のアジトが発見できなかった。
カタル、カース、ナギの三人は、村の裏切者として認定された。
この事件から3年後、ミール9才、エスト、ソティアス6才、イストリア国王都イプハールに旅経つ時がきた。