2:夜風の中で
夜更け、藁が肌に当たり痒みと痛みを感じる。
なんだかんだ自分も獣騎士をあんな近くで目の当たりにして少し興奮しているらしい。
疲労感による眠気と得も言えぬ興奮に変な気分になる。普段よりも風が戸を叩く音が大きく聞こえる。
「少し風に当たろう」
外に出ると季節もあって冷たさを感じる風が頭を覆う熱気を冷ます。家に居ても隙間風はあるのだが、それとこの直接当たる風と言うものはまた別物だ。空は快晴とは言えず、雲の切れ目から月や星が覗ける程度であった。明日は曇りだろうか。雨の前特有の湿気のようなものもない。
一息つきつつ、近場にあった木桶を椅子代わりにし、腰をかける。自分たちの村での魔獣の発生は今年は春中頃、夏終わりの二回であった。望むことならば、これ以上ないことを願いたい。おっかないと言うのもあるが何より後始末、設備の修繕であったりが非常に面倒くさい。魔獣は狩ったところで食べることは不可能だ。大抵毒を持っている。後不味いらしい。父さんとブルーノさんが昔若い頃に一度だけ食べたと言う話を聞いたことがある。話によると食べた後ほぼ一週間寝込むことになったらしい。味は肉を質の悪い脂で口に入れたとたん煙臭く、砂利のような味がすると話していた。わかるようでわからない感想だ。
普段の村の夜は月明かりの身が照らす暗闇だ。その中唯一光が見える。教会の横、寄宿舎の窓に火が映る。こんな夜更けに何をしているのだろう。気になるところだが、覗いたところを咎められたら目も当てられない。
・・・来週自分とダニロの二度目の洗礼がある。一度目の洗礼は生まれてから百日後に、二度目は数え十四歳となる年の秋の終わり。その洗礼をもって獣騎士になれる素養を持つかどうかが判明する。獣騎士になるのに階級は関係ない。その個人が神様から強く祝福を受けているか否かだ。たくさんいるという神様からの祝福。人により祝福を下さる神様は異なるらしい。細かいことは分からない。パオロ司祭が話していたような気もするがいちいち全部覚えちゃいない。自分はきっとこの村で生まれて、死ぬまで麦と豆と家畜に囲まれているのだろう。
少し冷ましすぎた。家より少し外れて川辺の木の根元で用をたす。相も変わらず冷たい風が通り抜ける。
・・・静かだ。妙なほどに。あまりこの時間帯に起きていることは多くないがそれでもわかる。普段はもっと畜舎からの物音、近くの夜更け、藁が肌に当たり痒みと痛みを感じる。
なんだかんだ自分も獣騎士をあんな近くで目の当たりにして少し興奮しているらしい。
疲労感による眠気と得も言えぬ興奮に変な気分になる。普段よりも風が戸を叩く音が大きく聞こえる。
「少し風に当たろう」
外に出ると季節もあって冷たさを感じる風が頭を覆う熱気を冷ます。家に居ても隙間風はあるのだが、それとこの直接当たる風と言うものはまた別物だ。空は快晴とは言えず、雲の切れ目から月や星が覗ける程度であった。明日は曇りだろうか。雨の前特有の湿気のようなものもない。




