作戦開始
「作戦としてはこうだ。
まず、俺が村の真ん中でスマホを操作して爆音で音楽を鳴らしあの化け物をおびき出す。出てきたのを確認したらお前が屋敷に突入する。突入したら書斎に入って情報を集める。その間俺はあの化け物をできる限り引き付ける。ここまでが第一段階だ。」
「次に情報を集め終えたら、スマホで連絡してくれ、その連絡を合図としてどうにかしてあの化け物を撒く。その後に合流する。これが第二段階。」
「最後に集めた情報を元に化け物の対策を練り、この村を脱出する。
これが作戦の内容だ。わかったな。」
「ああ、いつ作戦を開始するんだ?」
「お前が屋敷に近い身を隠せる場所まで移動したら始める。」
「OK、しっかりと引き付けておけよな。速攻で調べてやっからよ。」
「お前こそ、有用な情報集めて来いよな。」
そして、猿渡が動き出した。あいつが定位置につくまで、少し時間がある。その間に持ち物の整理、そしてこれから行う命がけの鬼ごっこ、それに対する緊張をほぐす。深呼吸をする、体をほぐす、だがそんなことをしても緊張はほぐれない。
それもそうだ、あんな醜い化け物を相手に逃げるなんて初めてのことだ。それも命が掛かっているなら尚更だ。
だが、そこまでしないとこの村から逃げ出せない。そのことを胸に自分に喝を入れる。どうやら、猿渡が定位置についたようだ。覚悟を決め村の真ん中に立つ、心臓は痛いほど早くなり今にも逃げ出したくなる。でもそれでもこの状況を打開するためには必要なことだと自分に言い聞かせる。
ついに、スマホの音楽を鳴らす。自分を鼓舞するように相手に気づかれるようにテンポの速い曲を鳴らす。
「さあ、作戦開始だ。」