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伝承怪異譚  作者: 夜渡
失踪と鬼と絶望と
37/38

希望

なんか最近すんごいよく書けるんで五話目も投稿しますね。

 遡ること少し前、俺はただ街を走り回っていた。なかなか見つからないためこの世にいないことが現実味を帯びてきた頃。悲鳴が聞こえた。白兎君の声ではなかったが悲鳴を聞き、見過ごすことは出来なかったため、悲鳴の聞こえた場所へ急いで向かうことにした。


 悲鳴が聞こえた場所はある一つの民家であり、その中から今でも悲鳴が聞こえている。扉が開かないためチャイムを押そうとしたが今さっきまで響いていた悲鳴がぱたりと止んだため窓から家に入ることにした。悲鳴は二階から聞こえたため急いで階段を上がると、そこには手を伸ばす単眼の化け物が居た。


 その瞬間俺はその手に向かって思いっきりぶん殴った。


「その手退けろ。化け物が!!」


 手を殴られた化け物はまた手を伸ばそうとしたため今度は胴体に向かって蹴りを入れる。化け物の体はそのまま壁にぶつかる。その間に俺は部屋に入ると部屋には檻に入れられた白兎君と胸を貫かれた女性の死体が倒れていた。死体を見たことで少し吐き気を催すが今はそんな場合じゃないことを思い出しすぐに周りを観察し思考を巡らせる。


(さっきまでの悲鳴は多分この女性だったんだろう。でもなんで白兎君が檻の中に?多分だがこの女の人が誘拐犯で白兎君を捕らえたんだろうけど白兎君を追ってきた暗寂鬼に殺された。次に白兎君を助け出さないとなんだが檻は破れない、鍵穴はあるから鍵を捜さないといけないが基本鍵って言うのはこの檻に閉じ込めた奴が持っているはず。ならば...)


 俺は女性の服のポケットを探ると家の鍵ではなさそうな形状の鍵が出てきた。


(やっぱりあった。これで開くはず。)


 俺はその鍵をすぐに檻の鍵穴に差し込み扉を開ける。


「白兎君、逃げるぞ!」


 俺はまた白兎君の手を握り走り出す。手は先ほど服を探った時に血が大量に付き、滑って離しそうになるが俺はグッと握力を込め二度と離さないように手を握った。


 化け物は扉の前に立ち手を横へと薙ぎ払う。壁を切り裂き俺の首を狙う。


「白兎君、頭下げて!そのまま突っ切る!」


 俺はそのまま地面に広がった血だまりを利用しスライディングの要領で床を滑り化け物の股の下を潜り抜ける。そのままの勢いで白兎君を引っ張り白兎君も暗寂鬼の爪が頭すれすれを通ったが無事通り抜けることができた。階段を急いで降り、玄関を開け外に出る。


 人が死んだことによる恐怖、死ぬかもしれなかったことによる恐怖が心臓が飛び出そうなほどになるほど鼓動を早めていた。だがそれ以上に今俺には言うべきことがあった。


「白兎君。危険な目に合わせたし、人が死ぬところを目の当たりにしたり辛いことに沢山合わせたかもしれないけどこれだけは絶対に確信して言える。絶対に家に帰して父親に合わせてやる!」


 俺は一切の淀みなくはっきりと口にした。その言葉に不安も心配の一つもなくあるのは絶対に家に帰すという確固たる意志だけだった。


 日の出まであと五時間

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