孤独
二話目
僕は逃げだした。あの女を見たとたんに二つの巨大な感情が襲い掛かってくる。恐怖と嫌悪感。それを感じざるを得なかった。なぜならあいつは僕を監禁した張本人なのだから。
監禁された日、僕は檻の中で檻を叩き、声をあげ助けを一日中呼んでいた。だけど誰も助けには来ない暗く明かりのない部屋で一日中泣き叫びながら助けを呼んでいた。疲れ果て眠りに落ち、目が覚めると目の前にはあの女がいた。
「白兎君、ご飯ですよ~。」
甘ったるい声を出しながら僕の目の前にご飯を置く。昨日から何も食べていないことを思い出しお腹が空くがそれ以上に怪しいものを食べる気がせず僕は横になった。
「やっぱ、食べないか~。まあ、お腹が空いたら食べるでしょ。」
女はそう言い扉から出ていった。僕は起き上がると周りを見渡し部屋を探索した。部屋には壁に立てかけられた時計、設置式のトイレ、敷布団、日用品、そして今置かれた食べ物があった。
まず時計は今九時を指し示していた。窓は板やテープで頑丈に塞がれているが一部から光が漏れ出ていて今が朝だということが分かる。
次に檻の中。檻は部屋の四分の三程の面積がありその中にトイレと布団が置いてあり隅に日用品という風に配置されている。日用品はティッシュなど脱出には使えそうにはなかった。
最後に目の前に置かれてあるご飯についてだけど見た目は普通の和食であり変わったところはなさそうだが何が入っているのか分からないためお腹は空いているが放置せざるを得なかった。だが喉は乾いていたため水を飲んでしまった。特に水には問題はなく今日は水だけで過ごそうと決めた。
時計の針が四時を指すと部屋の扉が開いた。
「やっほ~、白兎君元気にしてるかな。ご飯には手を付けてないか~。変なものは入れてないんだけどな~。時間は沢山あるし信頼は少しづつ積み上げていくか~。」
そう言いながら、ご飯の乗ったトレイを片付けていく。八時ごろまた扉が開きご飯を置いて声をかけ扉から出ていく。僕は食べるものかと水だけ飲み眠りについた。
その後僕は脱出の手掛かりを探すため三日間にわたりいろいろなことを調べた。抜け道はないか、檻を壊せないか、窓から脱出できないかすべてを試したがどれも失敗に終わった。もっと筋力があれば別だっただろうが十歳の筋力には限界があった。
三日間の間僕はついにご飯に手を付けてしまった。空腹の限界だった。ご飯は温かく味付けがしっかりとしており料理としてはかなりうまかったと思ってしまった。しかし気づいてしまう。みそ汁の中に髪の毛が入っていることに。それだけならば作っている最中に入ってしまったと納得しただろう。だが相手は監禁した張本人だ何が入っていてもおかしくない。そのことに気づき僕は注意深く料理を観察してみると白米には塩とは別の白い粉末が掛かっており、みそ汁は赤みがかかり髪の毛が混じっている。
気づいてしまった。気づかなければまだおいしい料理を食べれて満足だったのに。僕は設置式のトイレにすべてを吐き出した。胃液が出そうなまでに僕は吐いた。そして目の前に置かれている料理を僕はもう料理ではなく悍ましい物体としか認識できなくなっていた。幸いなことに水だけはどれだけ観察しても異常はなかったので安心して飲めることができた。
そして監禁されて五日目ついにその日がやってきた。いつもならばドアを開けるはずの時間なのに一向に女は現れない。僕は何かあって今この家にいないもしくはこっちに出れないのではと思い脱出することに決めた。檻は破れないし窓は塞がれているならどうやって脱出するのかそれは檻をぶち破るしかない。
幸いなことにこの檻は後から設置されたようで檻を揺らす十歳の筋力でも大きく揺らすことができる。ならあとはぶつかれば檻を脱出できるのではないかと思い、僕はぶつかったときの衝撃を弱くするために布団で体を巻きそのまま勢いよくぶつかった。
「ガッシャーン!!」
大きく檻が音を立てて外れる。急ぎ扉から出て僕は玄関へと向かい外に出る。そして僕はあの人たちに出会った。
僕は走り出しながらそのことを思い出した。体力が切れ一度立ち止まると途端に吐き気を催す。走りすぎた影響と監禁されていた時のあの女からのペットのような扱いを思い出し、それに加え暗い夜の所為で暗い檻の中に居た時の孤独が心を覆っていく。それらすべてが心に負担を与え、吐いてしまった。
「お”ぇ”ぇ”ぇ”」
口から胃にはもう何もないはずなのに吐瀉が溢れ出す。胃液が酸っぱいにおいと共に喉を焼く。あの大学生といた時には感じなかった孤独が一人になり溢れ出し不安になっていく。秋良の言葉は本人では分からなかったがしっかりと白兎には効いていたのだ。
だが今は一人だ。そのことから白兎は独り言をこぼす。
「そういえば...名前...聞いてなかったなぁ...もう一人は嫌だよ...」
その言葉は誰にも聞かれず夜の闇へと消えていく。
おかしいな。俺ここまで追い詰めるつもりなかったんだけど。なんかすっごいお労しい感じになっちゃったんだけど。あと皆さん小さい子に嘔吐させるの作者の癖ではないので安心させてください。ショタコンでもありません。なんか書いてたらこうなっちゃっただけです。マジでほんとに。




