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伝承怪異譚  作者: 夜渡
失踪と鬼と絶望と
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脱兎

 皆さんお久しぶりです。なぜここまで遅れたのかというと単純にネタが切れたというか書く気力がなくなったため。お休みしました。申し訳ございませんでした。その代わり三日連続で投稿するのでご容赦ください。

 では一話目をどうぞ。

 三十分後、体力が回復し息が整ったため迅たちと合流するために歩き出した。合流に向かう前に一度迅に連絡しシャッター街の入り口の近くで合流することとなった。


 時刻は九時を過ぎたあたり、俺と白兎君の間には会話が一切なかった。別に白兎君が嫌いなわけでも気を使っているだけでもなく単純にしゃべる気力がもうなかったのである。周りは暗闇に覆われ、騒めく木の葉が不安を煽り、唯一の安心できるものは街灯が照らす光だけであった。


 そんな状況に耐えられなくなったのか白兎君がつい言葉をこぼす。


「僕、家に、帰れるのかな」


 小さな独り言であったが自分の耳はその言葉をはっきりと捉え、安心させようと声をかける。


「大丈夫だよ。絶対に家に帰すからな。」


 そんな言葉しか出なかった。もっといい言葉があるのは分かっているが今の自分ではこれが精いっぱいだった。こんな言葉でも物語の主人公ならば説得力を持ち、希望を与えるのだろうがあいにく自分は主人公でもなくただの一般人である。そんな自分を少し恨みながらも道を歩いていく。


 また、あいつが現れた。単眼の化け物が電灯の裏から姿を現す。俺たちはすぐに進路を変え迂回するように道を変えるはずだったのだが、変えようとした道の先にも電灯の裏から姿を見せる単眼の化け物が居た。先ほどいた場所に目を向けるがいない、今度は視線はそのままに先ほど通ろうとした道を行く。


(そういえばこちらから目を向けていないとどっか行くんだった。忘れてたな。まあ、これで大丈夫だ)


 そう思ったのだが単眼の化け物は電灯の裏に姿を消した。


(行動パターンが変わった!?こちらから見ていれば動かないはずなんじゃ。)


 警戒を強め、出てきそうな場所に目星をつける。電灯の裏、屋根の上、曲がり角、背後、白兎君と背中合わせにし、死角をなくす。


(どこから出てくる。パターンが変わったからいきなり目の前に現れてもおかしくない。)


 一分、二分と時間が過ぎていく。単眼の化け物は現れない。


(来ない?迅たちの方に行ったのか?それともまだ待っているのか?)


 また一分、二分と時間が過ぎていくが一向に現れない。五分が過ぎたころ俺はもうどこかに行ったと判断して警戒を少し緩め白兎君に話しかける。


「多分、大丈夫だ。今のうちに逃げよう。」


 白兎君は頷き、俺は白兎君の手を握り走り出す。電灯の明かりで照らされた夜道を走る。人が全く住んでいない地域のため俺たちの足音だけが響く。四百メートルは走ったところで一度、休憩をとる。息が切れるがまたすぐに走り出せる程度には体力が残っているため一分程度休んだらまた歩き出そう、そう考えていた。


 白兎君の足元の排水溝から黒い手が伸び足首を掴む。そしてそのまま手は白兎君を排水溝へと引きずり込もうとする。白兎君は足首を急激に引っ張られたことで完全に体制を崩す。


「うわぁぁ~!!」


 その悲鳴と共に地面に打ち付けられそうになるが間一髪、手を取ることに間に合い地面に打ち付けられるのを阻止できた。


「くそがっ!手ぇ放せ!」


 そういいながら白兎君を抱きかかえ黒い手を蹴る。すると、手は離れ去っていく。白兎君を下ろし、声をかける。


「すまん。排水溝というか下に気を配ってなかった。俺の失態だ危険な目にあわせてすまなかった。」


 素直に謝る。守れなかったことの不甲斐なさに対して自分に少し嫌気が指す。


「いえ、謝らないでください。そもそもあなたが居なかったらここまで生きていませんから。」


 白兎君は遠慮がちに言う。昨今ここまでいい子がいるだろうかいや居ない。心の中で白兎君を褒めていると、「コツ、コツ」とヒールの音が鳴り響いてくる。警戒しながら周りを見ると前方からコートを着た女性がやってくる。女性がここにいることに不信感が募るが人であるため少し安心する。ちらりと白兎君の顔を見ると、その顔は青く恐怖で染まっていた。


「うわぁぁぁ!!」


 悲鳴を上げ、白兎君は全速力で逃げ出した。呆気にとられたため出遅れてしまった俺は追いかけようとするが見失ってしまう。


 謎の女性はその顔に薄ら笑いを浮かべていた。

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