突入
車に乗り、向かう前に対怪異用の物品を購入する。
「ロープにライト、食料類に飲料水結構買いましたね。」
「ゆうて必要なのは、ロープだけなんやけど。異界がどういうところか分からん限りは多めに買っておくことに損はないからな。」
買った物を車に乗せ、橋に向かう。橋の近くに着き近くに車を止め端に向かう。
「まずどういう条件で問いかけが来るんですか?」
「問いかけについてなんやけど、これほぼ確率なんや。」
「...確率?」
「そう確率。条件で発動する系の怪異じゃない場合、基本的に確立やから、今からこの橋を何往復もする羽目になるんやけど。お~い、聞いとるかなんか遠い目しとるけど。」
怪異に巻き込まれに行くってこういうことなんだなぁ...
そんな何とも言えぬ感情を持ちながら橋を往復して五往復目に差し掛かった時、耳元に声が聞こえた。
「あ な た、 し あ わ せ?」
問いかけが来た。迅さんから聞いたことを思いだす。
『問いかけを行う怪異は基本正しい選択しようと考えんほうがええ。奴らの問いかけに答えた時点で終わりやからなんも答えんことが一番の対処法や。』
普通は答えない方がいいんだろうが俺はあいつを助けるために来たんだ。緊張しながらも口を開く。
「いや、まだ幸せじゃないな。」
そう言い放つと沈黙が流れる。失敗したかと思ったが次の瞬間、地面が溶け水になり自分の体が落ちていくのが分かる。体が水の中を切るのが分かる。息が出来ず、口から空気が漏れ出ていき泡が上に登っていくのを見ながら水の中を落ちていく。
意識が朦朧とし瞼が閉じようとしたその時周りが水から空気へ変わる。ゆっくりと落ちていた体は急な重力により地面へと打ち付けられる。「ゴフッ!」背中を強く打ち付けその痛みにより意識が覚醒する。痛みに悶えながらも体を起こし、周りを確認する。
「いてて、結構高いとこから落ちた気がするけど無事だったな。んで、ここが異界か。不気味だな。」
異界の風景はまさしく不気味そのものであった。暗くはあるが自分の手などははっきり見え、音は響かず、音を出さなければただ静寂だけが残る異様そのものともいえる空間だった。




