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伝承怪異譚  作者: 夜渡
始まりと蜘蛛と探偵と
22/38

推測

「プルルルル、プルルルル」と電話が鳴り、ある人物が電話に出る。


「えらい、電話するのが早かったなぁ。返事が決まったのかいな。」


 篠風 迅が電話に出る。


「いや、返事についてはまだ保留にしてほしい。」


「そうかいな、じゃあ要件は何や?怪異についてか?」


「猿渡が失踪した。多分だけど昨日から消えている。それぐらいしか分からないがあいつの捜索を手伝ってほしい。お願いします。」


「なるほどな、人探しと来たら探偵の仕事や!任せとき!それじゃあまずは何がわかっているのかと今いる場所を教えてほしいんや。」


 俺は今現在分かっていることを事細かく話した。電話を繋いでから約四十五分後、黒い車から篠風 迅と渡辺 香奈が降りてくる。


「一通り、事情は確認したんやけど最低でも昨日から失踪してるんやな?」


「はい。連絡を送ったのが今日の朝だったので。」


「そうなるとかなり危ない状況やな。怪異に遭遇してから逃げ切るまでのタイムリミットは結構ばらつきがあるんやけど、大体は三日以内それがタイムリミットや。昨日の昼からとすると最低でも明日の朝が限界や。日が昇るまでに探し出さないと死んでいると考えた方がええ。」


「それと近くにあるコンビニやスーパーの位置は通話中に香奈ちゃんが調べてくれたんやけど、一つ怪しい所を見つけたわ。怪異に巻き込まれるとしたらこの位置や。」


 そうして迅がマップを指さしたところはある橋だった。


「ここって、ただの橋だった気がするんですけど。」


「もとはな。でもここの橋に一つの噂があるんや。それが異界に繋がるっちゅう話や。橋っちゅうのはな、基本的にあの世と繋がる系の話が多いんや。この橋もその一つにだったわけや。」


「...待ってください。それじゃあ怪異って噂程度の者でもできるんですか!?」


「ああ、そうや。怪異の発生条件は信じられていることと昔から言い伝えられるもしくは多くの人に認知されるこの二つのどちらかでも達成すれば怪異は発生するんや。」


「今回の場合は後者やな。現代では比較的に後者の方が多いんや。これはインターネットの発達の弊害みたいなもんやな。」


「なるほど、それでこの橋の怪異はどういった存在なんですか?」


「よくある、問いかけに答えたら異界に引きずり込まれる系の怪異や。こういうのは基本引きずり込まれたら終わりなんやけど、幸い抜け出す手段はある。やけど、異界に引きずり込まれた人を引きずり出すことはできへんから、一度こっちも異界に入る必要があるんや。君はどうする。このままワイらに任せるか、それとも一緒に行くか自分で決めぇや。」


 その言葉に少し迷う。自分は今怪異について何も知らないただの一般人であることは重々承知している。このまま任せた方がいいことだって。

 だけど友人が巻き込まれているのに一人だけ安全圏に居るのも納得いかない、怪異は怖いしできることなら関わりたくはない。けどこれから先また怪異に巻き込まれるかもしれないなら俺は。


「...決めました。俺も行きます。手伝えることがあったら言ってください。最大限協力します。」


 その言葉を聞き迅は少し嬉しそうな声で


「分かった。ならこき使うから覚悟せぇ!」


 そういって俺たちは車に乗り、橋の怪異に向かった。

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