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伝承怪異譚  作者: 夜渡
始まりと蜘蛛と探偵と
20/38

不通

 静かな朝に起床のアラームが鳴り響く。重い体を起こし朝の支度を始める。顔を洗い、目を覚まし朝食の支度をする。テーブルにこんがりと黄金色に焼けたトーストと冷蔵庫で冷やした冷たい麦茶、ヨーグルトを乗せテレビのニュースを見ながら朝食を食べ始める。


 ニュースは天気予報とコメンテーターのトークといつも通りのニュースが流れている。だが一つだけ目に留まる。行方不明者の増加しているとのことだった。いつもだったら気にも留めないようなニュースだがなぜか今は他人ごとではないような気がした。


 朝食も食べ終わり朝の支度も済み猿渡に昨日のことについて相談しようとスマホで連絡することにしたが一向に連絡が返ってこない。朝でまだ寝ているという可能性の方が高いが少し不安を覚える。


 太陽が昇り切り十二時のチャイムが鳴る。だが一向に既読がつかない。いつもなら遅くとも十時には起きて朝一にメールを確認するあいつがここまで既読がつかないのは珍しくありえないことだが、あの事件のせいでまだ起きていないかもしれない。そう信じることにした。


 そして一切の既読がつかないまま夜を迎えた。


 流石に明らかに異常なことが起きていると認識する。死んだように眠るとしても昨日から今日まで眠り続けるはずはない。猿渡の知人たちに一人ずつ猿渡の所在を聞いていくが誰一人所在を知っているものがいなかった。


 連絡もなく誰も姿を見ていないことにとてつもない不安を覚える。また何かに巻き込まれているのかどうか確かめるために俺は猿渡の家に行くことにした。


 自転車を約三十分程漕ぎ猿渡の住むアパートに着いた。少し古臭いアパートであり夜中に来ると少し不気味に思える。二階にある猿渡の部屋に階段を軋ませながら向かう。「ぎしり、ぎしり」と進むごとに床が鳴り不安と恐怖を煽る。


 そして部屋の前に着く。

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