廃村
土曜日、廃村があると言われる場所から数キロほどのコンビニで俺たちは待ち合わせをしていた。
廃村が近くにあるということで車どおりは多くはないが一台も通らないということはない。トラックな
ども通っており人がいないというわけではないようだ。
その時、向こうから「おーい」という言葉と共に猿渡がやってきた。
「すまん、準備してたら少し遅れちまった。」
「いや、気にすんな俺も今来たところだ。」
「それでこれからどうするんだ?」
「今からその村まで送ってくれる人がいるからその車に乗って廃村まで行くことになってるんだけども。」
「あった、あったあの黒いワゴン車で今から行くんだよ。」
そういい猿渡は黒いワゴン車へ向かい扉を開け席に座った。俺もそれに続くように後ろの席に座りシー
トベルトを着けると扉が閉まり車は走り出した。
数時間後、目的地の廃村についた。道中は特に目新しい物もなくただ暗い山道が続くだけであった。
運転手に話しかけてもみたが、返事は一切なく少し不気味だった。
車から出ると目の前にはまさに廃村といった景色が広がっていた。どこもかしこも草で生い茂っていて、かなり荒れていた。
「んじゃ、調査を始めますか。」
「調査といっても何をするんだ?」
「調査といっても軽いものだがな。まず地面についてひび割れていたりしていないか、次に変な匂いがしていないか、最後に危険な生き物が近くに居るかの痕跡を探す。この三つを調べればいいみたいだ。」
「危険な生き物って熊とか出たらどうすんだよ。」
「まあ、逃げるか隠れるかどうにかするしかないな。だがその分の給料は出るから頑張るしかないな。」
その言葉に一抹の不安を覚えたが、ここまで来たのなら仕事をやり終えるしかなかった。