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伝承怪異譚  作者: 夜渡
始まりと蜘蛛と探偵と
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地下牢

 猿渡に連れられてきた場所はある一つの客間であった。


「ここに隠し部屋があるのか?」


「ああ、見取り図ではこの部屋ん中の奥らへんにあると書いてあったんだが。」

 

 客間を見渡してみるが至って普通の部屋である。


「まったく普通の部屋だが大抵こういうところには床下に何かあるはずだ。」


 そういい奥にある畳を外してみると、


「考えた通りあったな。」


 床下には扉がついてあり開くと地下に続くと思われる階段が現れた。俺たちはスマホのライトをつけ怪物の口に入り込むような感覚を覚えながら暗闇を下って行った。


 階段を下り終えたその先にはただ一つの地下牢があった。地下牢の中にはツボの一つしかなかった。


「ここが唯一の手掛かりって話だが、全然何にもねえじゃねえか。」


 その言葉通りこの部屋には何もなかった。壺の中も何もなく、隠された部屋もなかった。これでまた調査が振り出しに戻ったと思われた。


 だが出るときに柵の傷に気づく。柵の傷は文字になっておりここにいた人が書いたものであると分かる。


 そして一文にこう書かれたあった


「奴が求めるのは人の血である。」


その一文を見て俺は一つの仮説が思い浮かんだ。


「もしかしたらだが、生贄の問題どうにかできるかもしれない。」


「マジで!いったいどうやって解決するんだ?」


「ここからは仮説になるが、まず大前提として俺らは生贄を人そのものとして認識していたがそこからが間違いだったんだ。」


「あの本には宴と生贄が必要ってあっただろ。宴について俺たちは儀式のようなものだと思っていたが本当はあの化け物の腹を満たすためのものだったんじゃないか。腹を満たして生贄の血だけを与える。それが本当に必要な条件だと思うんだ。」


「次に今言った条件が本当ならあの日記にあった暴走が止まらなかった理由も説明がつく。これは村人の日記に書いてあったんだが、この村はもともと飢饉があってそのせい影響で宴が開催できなくなり酒と生贄をだけを与えたからそれだけでは足りなかったんじゃないか。」


「なら、俺たちは酒を与え、腹を満たして血をあの化け物に捧げれば帰れるはずだ。」


「でもよその仮説があってたとして酒と血はどうにかなりそうだけどよ、どうやって化け物の腹を満たすんだよ。」


「それについては多分どうにか出来る。古来から伝わる飢えを凌ぐ方法があるからそれを試してみる。駄目だったらその時考えればいい。」


 そして俺たちは逃げるための、いや生き残るための準備を始めた。

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