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伝承怪異譚  作者: 夜渡
始まりと蜘蛛と探偵と
13/38

手段

 後ろから轟々と感じる炎の熱波と化け物の悲鳴を背中で受けながら俺はふらつく足で屋敷に着いた。


 扉を開け、書斎を目指す。書斎までは普通ならば遠くはないはずだが今は書斎に続くこの廊下が延々と続くように思えてならない。


 ようやく書斎の扉の前まで着くが体が限界を迎え、倒れるように書斎に入る。体は「ドサッ!」と音を立て地面に放り出される。その光景を見て猿渡が心配そうな声で叫ぶ。


「おいっ!大丈夫か!」


 俺には返事をする余裕もなくただこの体を地面に預けるしかなかった。猿渡は俺の体を触り、脈などを取り無事なことを確認して喋りだした。


「今からこっちが調べた。あの化け物に関する情報を喋るから分かったんなら何か行動してほしいんだが。無理なら動かなくていい。こっちで喋っておくからな。」


その言葉に俺は指を動かし「トン」と床を叩いて返事をした。


「分かってるぽいな。それじゃあ、喋るぞ。

 まず、あいつが怒る条件について。これは蜘蛛を殺すことが条件だと分かった。これに心当たりはあるか?」


「トン」と床を叩く。


「なるほどな。これに関しては事故であろうが故意であろうが関係なさそうだ。ただ蜘蛛を殺すことがトリガーだったらしい。多分これがこの村の掟のようなものだと思う。外からの来客ならば反射で蜘蛛を殺しちまうこともありそうだしな。」


「次に怒りを鎮める方法について。これは本では三日三晩の宴と生贄を捧げることで怒りを鎮めると書いてあったが、多分だけど本当に必要なのは酒だと思うんだよ。この本では化け物が酔う描写があってその後に生贄を捧げていたから酔っぱらわせた後に生贄を捧げるこれが怒りを鎮める手段だと思う。ここまでわかったな?」


「トン」と床を叩く。


「だが、ここで気になるのはあの日記ではなんであの化け物の怒りが収まんなかったのか。これが最大の疑問になってくるんだよな。多分、これを解明しないと俺らは致命的な間違いをすると思うんだよ。それに酒についての問題もあるし、俺らどっちも酒なんか持ってないしな。」


そのことに体力が少し戻ってきたので考えたことを口に出す。


「酒については神棚を探せばもしかしたら見つかるかもしれない。あと多分だが、生贄が問題だったんだと思う。酒はについては言及されていないんだったら問題があるとしたら生贄側だ。あの外からの来客についての情報が必要だと思う。何かないか?」


「それなら一つ心あたりがあるぞ。屋敷の見取り図その一部に隠し部屋と思われる場所があった。多分そこに手掛かりがあると思うんだが。動けそうか?」


「立つ程度には回復はしたが歩くには足がおぼつかないから肩を貸してくれ。」


「おう、分かった。」


 そして俺は猿渡に肩を貸してもらいながら屋敷の隠し部屋に向かった。

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