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本当の友達ってなんですか?

作者: えりざら氏
掲載日:2025/07/19

貴方には、本当の友達がいますか?


それって、どういう存在ですか?


一緒に笑い合える人?

落ち込んだときに、そっと寄り添ってくれる人?

連絡が途切れても、また何事もなかったように会える人?

自分を偽らずにいられる人?


…私は、最近まで「友達」ってなんなのか、よく分からなくなっていた。


子どもの頃は、ただ「一緒にいる」だけで友達だった。

でも、大人になるにつれて、気を遣ったり、線を引いたり、疲れたり。

"優しさ"も"遠慮"も"好き"も、ぜんぶ混ざって濁っていって、

気づいたら私は、「自分を好きでいてくれる人」に合わせることばかりしていた。


それでも、私は「友達」と呼ばれる人たちを、心から信じたかった。

信じたいと思っていた。

でもある日、その信じた気持ちが、まるで自分を切りつけるナイフのように感じることがあって…。




私さ。弱くてさ。

相手を傷つけるのが怖くて、

いつも言葉をオブラートでぐるぐるに包んでた。


本音なんて、ほとんど言えなかった。

言ったら嫌われる気がして、

言ったら壊れてしまいそうで。


だから、相手が「ほしい」だろうなって思う言葉ばかり、

ずっと拾い集めていた。

そうすれば、相手は喜んでくれるって思ってたし、

そうすれば、「私はいい友達でいられる」って、

勝手に信じてた。


でもね。

そのうち、自分の輪郭がぼやけてきたの。

何が好きで、何が嫌で、何が寂しいのかも、

わからなくなってしまってた。


誰かの“理想の友達”を演じるうちに、

「本当の私」がどこにいるのか、

分からなくなってしまったんだよね。




相談してくれる友達がいる。

「飲みに行こうよ」って誘ってくれる友達もいる。

仕事で相談できる同僚であり、仲間であり、友達。

誕生日をちゃんと覚えてくれて、メッセージをくれる友達もいる。


……そう思い返したとき、

パッと顔が浮かんだ“あの人”がいた。


でも、その“あの人”に、

私はどれだけ本音でぶつかれてるんだろう?


その人が困っていたら、私はちゃんと手を伸ばせるかな?

私が壊れそうな時、その人は気づいてくれるだろうか?

そんなことを、ふと思ってしまった。



だってさぁ……

本音を言ったら、怒られた。

嫌な顔をされた。

それで終わり。


離れていく人もいた。

「そういうの言われると困る」って。

「空気読んで」って。


怒ってほしいわけじゃなかった。

否定してほしかったわけじゃなかった。

私が悪者になるって、どこかで覚悟してた部分もあったけど、

でも──


ただ「どうしてそう思ったの?」って

私の奥にある理由を、そっと紐解くように、

寄り添ってほしかった。


それだけだった。



だから私は、黙ることを選んだ。

ほしいって思うであろう言葉だけを選んで。

「わかるよ」

「つらかったね」

「大丈夫だよ」

相手の心を満たすことは得意になった。

でも、私の心はずっと空っぽのままだった。


本当は、

わかってほしかった。

抱きしめてほしかった。

否定じゃなく、ただ「そこにいてくれてありがとう」って――

そんな言葉が、ほしかったんだ。


でもきっと、言えなかったのは、

私自身が「友達」を信じきれてなかったからなのかもしれない。



怖いの。

とにかく怖くて。

相手を怒らせるのも、悲しませるのも、

見捨てられるのも、嫌われるのも。


だから私は、穏便に、波風を立てずに。

空気を読みすぎるくらいに読んで、

相手が笑顔でいてくれたらそれでいいって思ってた。


……でも、うまくいかないね。

あっちを立てれば、こっちが立たず。

誰かの「ありがとう」の裏で、誰かを傷つけているかもしれない。


そして、喧嘩をした。

友達と。

本音をぶつけたわけじゃない。

ただ、伝えたいことがうまく伝わらなかった。

気づけば、取り返しのつかない距離になっていた。



私は、人を不幸にしてしまうくらいなら――

いっそ、いない方がいいのかもしれない。


そんなこと、考えたくないのに、

頭のどこかで、ふと、そう思ってしまった。


「めんどくさい」って言われたあの日。

ああ、やっぱり……って思った。

そりゃそうだよね、私はめんどくさいんだよ。

知らなかった? 本当はもっともっと、めんどくさい奴なんだよ。

バレちゃったね。


空気を読んで、笑って、

言いたいことも言えずに、

相手がほしいであろう言葉ばかり並べてきたのに、

それでも「めんどくさい」って言われるなら、

私は、どうしたらよかったのかな。


私はいつも、誰かを守りたかっただけなのに。

でも、結果的に、誰かを傷つけてしまったのなら……

私は、いない方がよかったのかな。


ごめんね。

親友になれなくて。

うまくできなくて。

期待に応えられなくて。


今はただ、静かにドアを閉めるよ。

優しさよりも、静けさを選んだ私を、

どうか、責めないで。

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