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第一話 殺人鬼シャルロット

僕は、旅をしていた。旅の最終目的なんて無い...ただ縛られるのに疲れてしまったから色んな世界が見たくなったという単純な理由だった。いつも通りに旅をしてると人気の無い森で突然綺麗な女性から僕の首元に槍を突きつけられていた。僕も死にたくは、無いので両手を挙げていた。

 「ねぇ...君、私と一緒に旅をしてくれない?」

 僕の首に槍を突きつけた女性が言った最初の言葉だった。

 「初対面で僕は、首元に槍をいきなり突きつけられて、言われた一言が一緒に旅をしてくれない?って何かおかしくないでしょうか?」

 「へぇ...この状況で全然動揺してないじゃん。遠くから見ても分かったけど、君も結構な修羅場をくぐって来てるんだね。私の殺気に気付いてたけど寸止めするって分かってたからジッとしてたんでしょ」

 彼女の言う通り、僕は、修羅場をくぐって来ている。正直言うと僕は、彼女よりも強いけど、正直もう争い事には、もう疲れたので彼女がどんな人間であったとしても手を出すこともしない。

 「それでお姉さんは、僕に何のようですか?」

 「正直に言うと君を殺すつもりだったけど、君に興味が出てきたから、私も君と一緒に旅をしようと思ってね。見た所、君も旅人でしょ」

 まあやばいやつという事は、分かったけど、僕も話し相手は、欲しいと思っていたから丁度良いかもしれない。

 「まあ、目的地の無い旅人ですね。一緒に行くなら名前を教えて貰わないと今後、呼ぶとき困るので」

 彼女は、僕の首に向けていた槍を下ろしていた。

 「私は、名前は、シャルロット。殺人鬼だけど今後ともよろしくね。後、敬語とかいらないから。私は、敬語嫌いなの」

 「僕の名前は、プラリネだ。よろしく、シャルロット」

 僕は、シャルロットの方に向けて握手をする為に手を出していた。シャルロットは、少し考えてから僕の手を握っていた。

 「私に殺されないようにね。プラリネ」

 

 旅人の僕と殺人鬼シャルロットの変な組み合わせの旅が始まっていた。二人で旅をする以上ルールを決めていた。僕がいる前では、シャルロットは、人を無闇に殺しては、いけない。シャルロットが言ってきたルールは、寝る時は、必ず一緒に眠る事、最後は、食事は、必ず二人で食べることになった。

 「なあ、シャルロット...寝るのが一緒だと野宿の時に見張りが居なくないか?」

 「大丈夫でしょ?プラリネも寝ながら警戒してくれるんだし。もしかして殺されるのが怖いとか?」

 シャルロットは、僕の事を小馬鹿にするような顔をしていた。

 「死ぬ事を怖いならシャルロットと旅なんか出来ないだろ」

 「まあねー」

 シャルロットは、可愛い笑顔で笑っていた。こうしていれば、ただの美人なのにな

 「笑顔は、可愛いのに何で殺人鬼してるの?みたいな顔してるね。別に私は、無差別殺人鬼では、無いからね。気に入らない奴は、すぐ殺すけどね。まあ、私は、殺し屋でもあるね。私は、思うけど殺人が時に人を救う事もあるからね。悪い事ばかりでは、無いと思う」

 シャルロットの顔は、少し暗かったような気がした。

 「じゃあ、シャルロットは、どんな殺人なら人を救える殺人になると思ってるんだ?」

 シャルロットは、お前は分かってるのに聞いてくるのかという顔で僕の顔を見ていた。

 「分かりやすく言えば、独裁者、権力者を殺す事だと思うけど。でも、国民は、殺人をすると裁かれるという事を頭に植え付けられているから酷い国だとしても大半の人が現状を受け入れている。心の底からは、誰かが独裁者を殺してくれないかと願いながらね。良くも悪くも他力本願なんだよね。労働者にだって同じことが言えるよね。」

 シャルロットの言っている事は、何一つ間違って居なかった。ちゃんとした国の権力者だったら、誰も殺そうなんて思わない。陰謀が無い限りだけど。

 「殺しは、人を救えるのは、僕も分かるな。自分も国の兵士だったから、戦争の時に数え切れないくらいに殺して来てるしな。それが嫌になったから、今は、こうやって武器も持たずに旅をしているんだけどな」

 

 シャルロットは、指名手配されている事は、僕も知っていた。国の独裁者を迷わずに国民の前で殺していた。その国は、シャルロットのおかげで救われたという話を聞いたけど、殺人は、殺人なので今も追われる身になっていた。ただ僕は、シャルロットがした事は、間違っているとは、思ってない。

 「次は、私からプラリネに質問ね。プラリネが使える魔法は、どれくらいある?」

 「僕は、火属性と水属性しか使えない。ほぼ剣術と体術メインだったからな」

 「ふーん、つまんないの。どうせ火属性は、火を起こせて、水属性は、飲み水に困らないからとかいう理由なんでしょ?」

 「悪かったな、シャルロットの言った通りの理由だよ。じゃあシャルロットこそ使える魔法を教えてくれよ。」

 「私の使える魔法は、回復魔法、拘束魔法、移動魔法、幻術魔法かな」

 完璧に殺人に向いている魔法しかないと思ってしまった。回復魔法は、自分の回復もあるだろうけど、相手をいたぶっては、回復させる為の物で、拘束魔法は、いたぶるのに必要だからだろう。移動魔法は、逃走用で幻術魔法は、街で姿を偽る為だろうな。

 「完全に殺人特化じゃないか」

 「そうだよーだって殺人鬼だもん」


色々とシャルロットと話していたので退屈は、しなかった。森を抜けるまでしばらく時間が掛かるし、日も沈んだので、ご飯を食べる事にした。シャルロットが作ってくれるらしい。イノシシを道中で捕まえて野菜は、僕が持っていたので具材を見てシャルロットがカレーを作ってくれていた。

 料理をしているシャルロットを見ていると本当に昔は、普通の女の子だったんだと分かった。殺人鬼になるまでの経緯は、悲惨な事があったんだろうと勝手に予想していた。


 「はい、プラリネ。カレー出来たよ」

 「シャルロット、ありがとう。頂きます。」

シャルロットは、僕が食べる所心配そうにをジッと見ていた。

 「美味しいよ。猪肉の独特臭みも無いし、僕が作るより十倍くらいは、美味しい」

 「あーーあーー毒入れたのに。食べちゃったね」

 「あのな、一生懸命作ってるシャルロットを見てるんだぞ、毒なんか入れるわけ無いだろ」

 シャルロットは、ペロっと舌を少し出してバレちゃったかという顔をしていた。

 「プラリネと私は、今日会ったばかりなのに私の何が分かってるの?」

 「人の付き合いってには、時間の長さじゃない。どれだけ濃密な時間を一緒に過ごす事だと僕は、思う。どれだけ長く一緒に居たって腹の底からの気持ちを言えない関係だと、結局縁は、切れちゃうからな」

 「ふーん、どうかな」

 その後は、黙々とシャルロットと僕は、カレーを食べていた。食事をした後は、お風呂だ。僕は、マジックバックからお風呂を出して入ろうとしていると、シャルロットも一緒に入って来ていた。

 「何でシャルロットまで一緒に入ってるんだよ。別々で後で入れば良いだろ」

 「えーー別に良いじゃん。私の体も堪能出来るよ。それともプラリネには、刺激が強かったかな?これでも私は、自分の体に自信があるんだよ」

 シャルロットは、湯船から立ち上がり自分の体を僕に見せつけていた。確かに自分で言うだけあってかなり綺麗だった。

 「何なら襲っても良いからね。私の体を好きなだけ使わせてあげる。一緒に旅をするんだから。プラリネの下の処理くらいは、全然してあげるよ。別に冗談とかじゃないからね」

 思わずゴクリと唾を飲み込んでいた。男としては、嬉しい事では、あるので少し考えてしまった。

 「あーー考えてる考えてる。可愛い」

シャルロットは、イタズラな笑顔を浮かべていた。

 「本気で困ったらシャルロットにお願いするかもしれない」

 「変に強がらない所は、素直で良いと思う。」

その後は、ゆっくりとお風呂に浸かっていた。

 お風呂から出た後は、寝ることにした。テントに入ると周辺警戒が出来なくなるので、ござを敷いて二人で眠りにつくことにした。するとシャルロットは、僕を抱き枕扱いみたいにして抱きついてきた。

 「シャルロット、抱きつかれると寝にくいんだけど...」

 「私は、こうし抱きついて無いと眠れないから我慢して」

 僕の意見を無視してシャルロットは、抱きついてきた。

 「じゃあ、一人の時は、どうやって寝てたんだよ」

 「え、抱き枕に抱きついて寝てたけど」

 「じゃあ!!あるなら抱き枕使えよ!!」

 「今日は、駄目。久しぶりに人の温もりを感じてたい。」

そう言う残してシャルロットは、すぐに眠っていた。僕は、シャルロットの色々部分が当たって気になってあまり眠れる気がしないのに...一緒に寝るのが抱き枕にされるとは、誤算だった。てっきり殺す為だと勘違いした自分を怒ってやりたい。眠れないと思ったけどすぐに眠りに落ちていた。

 





 



 


 

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