八回表「白球の少女騎士団プラチナバスターズ爆誕!」
「そうですか、オリヴィアさんが……」
「ああ。彼女もしっかり話せば分かってくれたよ」
翌日、デートと称しているものの、俺とリゼットはガンバレヤのグラウンド整備に精を出していた。
彼女の足はもうすっかり回復し、今は何の違和感もなく歩行が可能になっている。
そして手には、ロジーヌお手製のトンボが握られていた。
始めトンボを作ってくれと聞いて、ロジーヌも、隣にいたミリッツァも目を丸くしていた。
「さすがに生き物は作れないのです……」
「だな。ボクだってさすがに管轄外だ」
たしかに生き物のトンボを作れであったなら無理な話だが、野球のグラウンドを整地するための道具の名前だと説明すると、途端に納得してくれた。
余り物の木材を組み合わせただけの簡単なT字型トンボ……。これらが今は数十本ストックされている。
何往復もして、ようやくグラウンドらしさが出来上がったところで今度は各種ベースを配置していく。
「ショウさん? これはどれくらいの間隔で置けばいいんですか?」
「まず、五角形のものをホームベースと呼ぶんだ。これを基点として――」
俺はホームベースを地面に埋め込む。
「ファーストベース、セカンド、サードと埋め込んでいく。それぞれの間隔は約二十七メートルだ」
「けっこうありますよね、二十七メートルって。シュヴァル・ブランならあっという間でしょうけど」
「たしかにな。ジゼルのラファールだったら一瞬で到達してしまうかもな」
「その白い粉みたいのは、石灰ですか?」
「ああ。これをホームベースから、ファースト、サードに向かって真っすぐ引いていくんだ。走者は、この線があることによってより走りやすくなる」
「なるほど……。指標、みたいなものですね」
「で、ふたつの線を引き終わったら、セカンドベース間には線が引いてないから分かりにくいかもしれないけど、いわゆる正方形になっただろ? これをダイヤモンドと言うんだ」
「ふむふむ」
「そしてこの線はファーストとサードの延長線上にも引かなきゃいけない」
「外野に向けてってコトですよね?」
「そう。ライトとレフト方面にも引いて、線よりもセカンドベース側ならフェアゾーン。それ以外ならファウルゾーンと言うすみわけをするためにね」
「ふぇあぞーん? ふぁうるぞーんってなんですか?」
「フェアゾーンに打球が飛んだものは、ボールが生きていると判断され試合続行。ファウルゾーンに打球が飛んだものは、基本的に無効とされ仕切り直しになる」
「でも、ぼーるを打ち上げてしまって、ファウルゾーンで捕られてしまったら……無効にはならずあうとですよね?」
「もちろん。打ち上げる……つまりフライを打つってことは、アウトのリスクが高いんだ。だから、打者の基本はとにかく叩きつけてゴロを打つことだよ」
「ゴロ、ですか。私、きゃっちぼーるは練習しましたが、まだ打つ方はあまり――」
「じゃあ、少し打撃の練習をしてみるか。あ、でもその甲冑姿じゃ……」
「くすくすっ。そうくると思って、実はとても良いものを用意してもらったんです。ちょっとここで待っててくださいね!」
「用意?」
「はい♪」
リゼットは意味深に笑いながら、跳ねるようにしてこの場を後にする。
やがて数分後、軽快なスパイクの音を響かせ戻ってきた彼女が着ていたものは、なんと――。
「えへへ。どうですか?」
白銀の甲冑をモチーフとした、美しくも凛としたユニフォーム。
それでいて、袖や襟にはピンク色があしらわれ、しっかりと可愛らしさもアピールされていた。
そして何より、丈の短いホットパンツから伸びた太ももが悩ましい……。
「おまけに、コレも」
と言って取り出した帽子には、プラチナバスターズを象徴する『PB』と言うロゴが入れられていた。
「白球の少女騎士団プラチナバスターズ爆誕っ! な~んて♪」
「に、似合うよリゼット。とても似合ってる! すごく、いい!」
「本当ですか? 嬉しいです!」
「でも、いったいどうしたんだ。そのユニフォーム」
「実は……」
「?」
チラリと俺の背後を窺ったリゼット。
「アタシが作ったんだ」
程なく、控えめなスパイクの音とともに、俺たちの前にやってきたのは――。
銀髪のセミロングで、小悪魔的な微笑を浮かべた、初めて見る人物。
彼女もまたリゼットと同じデザインのユニフォームを身にまとっている。と言うことは……?
「初めまして、シルヴィア・アンゲルブレシュトだ。プラチナバスターズの偵察班のひとり。皆からはシルヴィと呼ばれている。よろしくな」
「あ、ああ。俺はサワムラ・ショウ。こちらこそよろしくシルヴィ」
「それにしても、異世界から変な男がやってきたと聞かされたときは驚いたが、まさか偵察班のアタシがいきなり本国にお呼びがかかるなんてさらに驚きだよ」
しかも紛争まで残り五日、と言った切羽詰まったときにさ……と、シルヴィは銀髪を風になびかせながら言う。
身長は俺とほぼ同じなのだが、彼女には他のプラバスにはない、どこか独特で、性的で、メランコリックな魅力を感じる。
「しかも紛争は中止。代わりにやきうで勝負をつける。だからユニフォームを作ってくれってジゼルに言われたときは、とうとうヤツの気が狂っちまったのかと思ったよ」
少し気だるげに伸びをすれば、彼女の体の線がよく分かる。
ぽよんとして、ふにんとして、おそらくプラバスの中で一番デカい……。
「ショウさん? さっきから視線が怪しいんですケド」
「あ、いや。このユニフォーム、細部まで良く作られているなぁって。ほらここ、腋のところがメッシュになってる。この仕様だと汗をかいても蒸れにくいんだ」
「お~、よく気が付いたな。ま、この辺りの提案はジゼルが一緒になってやってくれたんだけどね」
「ジゼルも一緒に作ったのか?」
「ああ。こう……ちくちくってしてくれたぞ」
シルヴィは針と布を空間で縫うフリをする。
「本当にジゼルは何でもできるんだな」
「たしかに。ヤツは剣術はもちろん、馬術もできる。料理や裁縫、掃除も得意と言った家庭的な一面もあるし、顔はいつも厳しいけど、根は優しいしな」
「俺も、そういった面を今まで幾度となく見て来たよ」
「でも、久しぶりにヤツに会って気付いたのは、何かこう……角が取れたって言うか。肩の荷が下りたって言うか。そんな顔をしてたな」
(紛争を回避できて、ジゼルにとっては内心ほっとしたのかもしれない。ただ、彼女にはもうひとつ、マリナの問題が残っているんだよな……)
「ありがとう」
「え? 唐突になんだよ」
「ショウが、紛争を止めるために色々動いてくれたって聞いてさ」
「いや。俺はなんにもしてないさ。むしろ、ここにいるリゼットを始め、ジゼルやミリッツァが助けてくれたからこそ、ここまでこれたんだ。な?」
「え! あ、いや。私なんてほとんどなにもしてませんよ。おまけに、ついこの間まで足を怪我しちゃってましたし……」
俺たちのやり取りに、シルヴィが噴き出す。
「何だかお前たち、兄妹みたいだな」
「あ……」
「……ぅ」
共に思い当たる節があり、なおかつそれをいとも簡単にシルヴィに見抜かれてしまった俺たちはそのまま固まってしまう。
「まぁいいや」
肩をすくめ、グラウンド脇に設置されたベンチに盛大に腰を下ろすシルヴィ。自然と、その隣に俺とリゼットも収まる。
「あー、それにしてもいい天気。偵察班はお日様の下に出ることがほとんどないから、なおさら感動するね」
「そう言えば、ベアトリスもドミニクも森林地帯の陽があまり届かない場所にいたな。と言うことは、地点Cって言うのも同じような環境なのか?」
「そー。ま、おかげで日焼けはあまりしないんだけどね。ほら、紫外線とかお肌の大敵じゃん?」
「たしかに、腕とか手とか、ジゼルやノエルよりもずっと白いな」
「ん? そうなのか? じゃあ、こっちの方とかはどう……?」
何を思ったか、シルヴィは自身のユニフォームの胸元を指先でつまんで中の様子を見せようとする。
「どれどれ」
彼女の絶妙な間の取り方と巧妙な誘い文句で、俺は思わずその魅惑の闇を覗いてしまいそうになる。
が、彼女を隔てて座っているリゼットが鋭い視線をこちらに向けていることに気付き、ふと我に返った。
「あ! それはそうとして……シルヴィ。俺からもありがとう」
「お前こそ唐突にどうした?」
「エエンヤデで起きた津波の件だよ。聴覚に優れたシルヴィが、ドミニク、ベアトリスと連携してジゼルに知らせてくれたって聞いてさ。俺もリゼットも君に命を救われたんだ」
「よせよ。当たり前のことをしただけなんだからさ。あー、そだ。ドミニクと言えば、ヤツからこれを貰ったんだ」
差し出されたのは、ミリッツァがまとめたルールブック。
しかし、目立った装丁の乱れはなく、さらには読んだ形跡すらなく、渡したときとまるっきり同じ姿形をしていた。
「あーし、こう見えても天才だからー、パラッと見ただけで分かるんだよね~♪ とか言って渡してきて正直ムカッとしたよ」
ルールブックをヒラヒラと掲げながら突然ドミニクの声真似をするシルヴィに、俺とリゼットは目を丸くする。
(似てる……)
(似てますね)
「まー、たしかにヤツはどっちかと言うと天才肌だからな。その点、アタシやジゼル、ノエルやリゼットなんかは典型的な努力型だし、なおさら腹が立つって言うか」
「スポ根には、そのどっちもつきものだな」
「すぽこん? なんだよそれ」
「スポーツ根性の略さ。映画や小説などのジャンルのひとつで、必ずと言っていいほど、天才型の人間と努力型の人間が出てきて、物語に刺激を与えるんだ」
「ま、みんなどんぐりの背比べだったらつまらないからな。個性は必要ってわけか」
「そうだな。初め見たときはビックリしたけど、ドミニクみたいな能天気で明るい子は、プラバスに刺激を与える意味で大事なのかもしれない」
「ふぅん。じゃあショウは、ドミニクみたいな子が好みなのか?」
「こ、好みとか、そういう話じゃあ……」
「ええっ!? ショウさん、ドミニクみたいな子が好きなんですか!」
ほら、変なことを言うと、さらに話がこじれる……。
「じゃ、じゃあもし私が、あーしが~、傷の手当てしてあげるから~、ありがたく思いなさいよね~。きゃははっ♪ とか言ったら、どうですかね!?」
「いや。リゼット、君は君のままでいてくれ、頼む」
「えー。そうですか? 私なりに、今のはかなり感触が良かっ――」
「アタシも! お前はお前のままがいい」
「そ、そうですか? おふたりにそこまで迫られると、しかたありませんね……」
そうは言っても、ギャルのリゼットを少し想像してしまって、含み笑いをしてしまう。
さらには、背伸びをしようとしてメイクや服装をあれこれ考えるも、ことごとく失敗し涙目になっている彼女の姿が容易に浮かび、ますます――。
「ショウさん? なに笑ってるんですか?」
「なんでも。そう言えば、他のプラバスの団員はどこに行ったんだ?」
「ジゼルはミシェルとサラを連れて、イテマエに行ったよ。笛を届けるとか何とか言って……」
「ミリッツァは、ロジーヌとノエルを連れてエエンヤデに行きました。消波ブロック(テトラポッド)の設置もいよいよ大詰めみたいで」
「そういや、ミリッツァはこの球場の周りに観客席を用意するとか言ってたな。子供やお年寄りが一緒に観戦できるようにって」
シルヴィは大きく両腕を広げる。
「ドミニクは?」
「ユニフォームを試着したときは一緒にいたんですが……いつの間にかいなくなってましたね。じどり? するとか、なんとか……」
「ま、なんだかんだで暇なのはアタシたちだけだってコトさ」
「ちょ、ちょっと! 私を暇人扱いしないでください。これからだって、打撃の練習をしようとしてたんですから!」
「練習前にはしっかり体をほぐしておかないと怪我するぞ。救護、衛生担当のお前なら痛いほどに分かってるだろうに。じゃあ――」
と言って、シルヴィは立ち上がる。
「リゼット、ほぐしついでにダイヤモンド一周勝負するか」
「いいですよ~。私だって日々鍛錬を積んでるんですから、負けませんよ?」
「言うね~。じゃあ負けた方は今夜の詰所の掃除な。行くぞ!」
「望むところですっ!」
太陽の昇る方向へと無邪気に駆けていくふたりを見ていると、まるで青春の一ページを切り取ったかのように思えてきて、目尻が熱くなる。
(思えば……)
紛争直前の異世界に飛ばされ、今までただがむしゃらに野球外交を訴え歩んできた。
結果、ジゼルやヴィヴィアンヌ、オリヴィアと言った各国の少女騎士団長の理解を得ることができ、同時に紛争の無意味さを示すことができた。
コー・シエンに、不毛な争いなどを止めて助け合い平和に暮らそうではないか、と言う概念を植え付けることができたのだ。
しかし、所詮俺はよそ者。ここにいてはいけない人間……。
遅かれ早かれ、彼女たちとは別れの日がくるのだろう。
そう思うと、何だか胸が苦しくなった。
(でも万が一、帰る手立てが見つからなければ……)
この地で生涯を終えるまで暮らすことになるのだろうか?
訳を話せば、ジゼルやリゼットはきっと分かってくれるし、歓迎もしてくれる――。
してくれるだろうが、本来あってはならない俺の存在が、彼女たちの未来への重荷になってしまうのではないかと言う不安もあった。
ぴとっ……。
そんなもやもやとして、どこかすっきりしない俺の頬に突然冷たいものが触れる。
(竹でできた水筒?)
野球の練習には適度な水分補給が必要と言うことで、プラチナバスターズが導入したものだ。
垂直に伸びた竹をただ適当な大きさに切っただけのシンプルなものだが、これがなかなかどうして使い勝手が良い。
「差し入れ」
持ってきてくれたのはベアトリスで、彼女も麗しいユニフォーム姿だ。
普段……と言うか、団の役職柄、黒や茶と言った地味目の服を着ているからか、目の覚めるような色合いの服装は新鮮に映る。
「そんなに見るな。恥ずかしい……」
「いや。あまりに似合ってるからさ。これからはもっと明るくて可愛い服を着てくれよ。背も高いし、似合うぞ」
「~~ぁぅ、ぅ」
面と向かってこういうコトを言うとさすがに顔を背けてしまうが、これでも人見知りは解消されつつある。
今もこうやって水筒を差し入れしてくれたり、自分から話しかけたりしてくれる。
さらには、その距離感も……だいぶ近くなっていた。
ベアトリスは俺の真隣に腰を下ろし、ダイヤモンドを走り回るリゼットとシルヴィを見、ポロリとこぼす。
「楽しそう……だな」
「ああ。部活動を思い出す」
「ブカツドウ?」
「俺のいた世界では学校の授業が終わると、放課後って言って自由に自分の活動に専念して良い時間が来るんだよ。そこで皆、それぞれやりたいことを部活動としてやるんだ」
「やきうもか?」
「野球だけじゃないぞ。体を動かすものだったり、頭を使うものだったり、部活動にはいろいろあるんだ。人によっては、部活動の活発さで学校を選ぶ人もいる」
「なんだかいいな、ソレ。いろいろある部活動、ワタシも見てみたい」
「ベアトリスがもし俺の世界に来ることがあったら……いくらでも案内してやるよ」
「楽しみにしてる」
お互い、空約束になるとは分かっているのだ。
でも、せずにはいられなかった。
そのまま気まずい時間が流れ、再び俺が口を開こうとした矢先、彼女が先に喋り出す。
「コー・シエンに平和が取り戻せつつあるから……もう自分の役目は終わった、とか思ってないか?」
初めて見る、ベアトリスの真っ直ぐな視線。
すべてを見透かすかのように煌めくその緑色の瞳には、俺だけが映っている。
「俺は、この世界の人間じゃないからな。いずれ、去ることにはなると思う」
「ワタシの尻を触ってキズモノにしておいて、用が済んだらおさらばか」
「だから尻の件は事故だって! それに……俺がこの世界に留まっていたら、団や国の皆に迷惑がかかるだろうし」
「それは、直接皆から聞いたのか? 迷惑がかかると」
「い、いや。きっとそうだろうって」
「……勘違いも甚だしいな。そもそもショウがいなければ紛争は予定通り行われ、各国に甚大な被害をもたらしていたんだぞ」
「……」
「ワタシも、プラチナバスターズの団員もきっと無傷では済まなかったと思う。でも、お前がいてくれたから、皆が救われた。そんな功績を遺したものを迷惑がる人間がいると思うか?」
「それは……」
「卑怯だ、お前は。ワタシやジゼル、リゼットやミリッツァをその気にさせておいて逃げようとするんだからな……」
「……ベアトリス?」
まさに不意打ちとでも言うのだろう。
俺が見せた一瞬の隙を狙って、彼女はさらに距離を縮めた――。
◇◆◇
「はぁーっ、はぁ、はぁっ!」
「ぜぇっ、ぜえ。んくっ……ふはぁ」
ダイヤモンド一周の勝負を幾度となく続けていたリゼットとシルヴィは、とうとう体力を使い果たし、グラウンドの中央で大の字になっていた。
「な、なかなかやるなリゼット。アタシも全盛期よりも衰えたとは言え、お前がここまでやるとは思わなかったよ」
「私も、まさかシルヴィがここまで食らいついてくるとは思いませんでした……。じゃあ、勝負の行方は?」
「そもそも勝負って言ったって、勝敗を下してくれる審判がいないじゃないか。だから同点でいーんだよ、同点で」
「くすくすっ、そうですね。ああっ、それにしても甲冑を着なくていいなんて、幸せーーっ!」
「ああ。天気もいいしなー」
空は見渡す限りの青、青、青――。
ところどころに白い雲がかかり、絶妙なコントラストを描いている。
ただぼんやりと、いつまでも眺めていたい。そんな光景が面前に広がっていた。
そんなとき――。
「なぁリゼット」
「はいー?」
「お前、ショウのことが好きなんだろ?」
リゼットは目線だけをシルヴィに向ける。
「えっ、ええッ!? なんですか、突然……!! わ、私はまだ……」
声が裏返り、焦りの表情を浮かべるリゼットに対し、至って真面目な顔をしているシルヴィ。
「そんなにのんびりしていていいのか?」
「へっ?」
「だってさ。ヤツが異世界から来たってことは、いつかは元いた世界に帰らなきゃいけないってことだぞ。それは分かってるんだろ?」
「……ぁ」
シルヴィは天に向かって右手を伸ばし、流れる雲を掴みながら言う。
「アタシたちの世界と同じように、ヤツにはヤツの世界があって、今も同じように時が流れてる」
「……」
「だから、いるべき世界でいなくなって、ヤツの親や兄弟、仲間はさぞかし心配してると思うんだ」
「そ、それは……」
「ずっとここにいるわけにはいかない。いていいわけない人間であることは、リゼットだって薄々と気付いているんだろ?」
「わ、私は――」
「どんな形であれ、後悔だけはするなよ。お前の兄貴がそうであったように……な」
それからふたりは、ただ何も言わずにグラウンドに横たわり、のんきに流れる雲を目で追っていた――。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
どうです? 続きが気になってしょうがないでSHOE?
シルヴィア・アンゲルブレシュトはプラチナバスターズの中で一番おっぱいが大きい。