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トロフィーヒロイン・モンスターガール  作者: タカリ
第一章 トロフィーヒロイン・モンスターガール
6/50

6 ダンジョン探索準備

 探索者学校は普通科目の授業の他にダンジョンでの探索実習が行われる。

 ただ、さすがにいきなりダンジョンに放り込むようなことはされず、初回は授業についての説明が行われた。

 筋肉ムキムキの三十歳くらいの男性教師、岩山がんざん先生が教室の黒板を使いながら説明するのを席について大人しく聞いている。


「ダンジョン実習の評価だが、まず最初の基準は『ダンジョン産アイテムの回収』だ」


 カッカッと黒板に書かれていく。


①ダンジョン産アイテムの回収

・モンスター素材

・魔石

・マジックアイテム

・装備カード

・スキルカード

・モンスターカード

・ジョブカード


「ダンジョン産アイテムと言ってもこれだけの種類がある。上に書いてある素材、魔石などは入手率が高く、下にあるカードの類は入手率が低いというのが通説だ。それぞれのアイテムはレア度に応じた評価ポイントが設定されている」


・モンスター素材  1DP

・魔石       2DP

・マジックアイテム 5DP

・装備カード    20DP

・スキルカード   20DP

・モンスターカード 50DP

・ジョブカード   100DP


「学校にこれらのアイテムを提出することで君たちは評価ポイント――DPを獲得することができる。獲得DPの合計が評価の一つの基準となる。

 また、DPは通貨として使用すること可能だ。学校に提出したアイテムが必要なアイテムならそのまま買い戻してもいいし、不要なアイテムなら売り払って別のアイテムを購入しても構わない。

 通貨としてのDPと成績評価のDPは別扱いだから気にせずに使っていい。獲得DPの合計と現在の所持DPはこの電子端末で確認できる」


 学校から配布されたスマホのような機械を操作するとDPの確認が出てきた。


【堂島勝】

獲得DP  0

保有DP  0


 当然だが、どちらもまだ0だった。


「二つ目の評価基準は『ダンジョン攻略状況』だ。どのランクのダンジョンまで進んでいるかという基準だ」


★   1年の前半

★★  1年後半・2年前半

★★★ 2年後半・3年全部


「現在のカリキュラムは夏季休暇前までに星一ダンジョン攻略を目指している。攻略できなかった生徒は夏季休暇中に補習だな。

 その後、丸々一年間を使い、二年の夏季休暇前までに星二ダンジョンの攻略。卒業までに星三ダンジョンを攻略できれば上出来だろう」


 岩山先生が手に持ったチョークで黒板に書き足していく。


★★★  現在自衛隊・機動隊の精鋭部隊が攻略中


「星三ダンジョンの難易度は非常に高い。ダンジョン発生直後からダンジョンに入って探索を行っている専門の部隊でもまだほんの入り口までしか到達できていないという話だ。潤沢な支援と戦闘のプロが集まった部隊でもこの調子なのだから難易度の高さも理解できるだろう。

 だが、君たちは三年後にこの星三ダンジョンでも問題なく探索を行えるだけの実力を身につけることを期待されている。このことを忘れず、たった三年しかない短い時間を無駄にしないように意識してほしい」


 三年後、俺たちが十八歳になる頃。普通の人は十八歳で初めて探索者資格を得てチュートリアルダンジョンに入るが、この学校で経験を積んだ俺たちは卒業後すぐに星三ダンジョンに潜れるだけの力量を求められる。

 期待が重いが、それだけ期待を寄せられているからこそ特別扱いを許されるのだろう。


「三つ目の基準は個人評価。定期試験の際にジョブ毎に個人の技能を確かめる。前衛職なら近接戦闘、後衛職ならスキルの威力や精度、斥候職なら偵察や罠解除など、各ジョブに求められる技能を評価する」


 魔物使いなら……モンスターカードを使った戦闘かな?

 一応後で先生に確認した方がいいかもしれない。


「今は全員ジョブカードを一枚しか持っていないと思うが、今後の探索で新しいジョブカードを手に入れることもあるだろう。その場合は希望するジョブで試験を受けることができるし、複数のジョブで試験を受けて貰っても構わない。よく考えて受けるといいだろう」


 岩山先生が教室内を見渡して言った。


「以上の三点。ダンジョンからアイテムを持ち帰ること。より多く、より深くダンジョンを攻略すること。自らの力量を高めること。この三つが探索者に求められていることだ。そのことをどうか忘れないでほしい」


 探索者とはどういう職業なのか。

 まだ誕生したばかりで誰も良く知らないあやふやな職業だけど、先生の説明で少しだけ理解できた気がした。


 ■


 説明が終わった後、次回の実習でダンジョンに潜る班を決めることになった。

 班員は三名。探索するのは【洞窟のダンジョン(★)】だ。


「遠藤恵一だ。ジョブは【炎魔法使い】」

「木村裕子です。ジョブは【侍】。二人ともよろしくね!」

「……堂島勝。……【魔物使い】」


 ぶすっと不貞腐れたような態度の男子と最初からフレンドリーな感じの女子が班のメンバーだった。遠藤くんは友達グループ四人組から一人だけ外されたのでそれを怒っていて、木村さんも同じく仲良し四人グループだったのに自分から率先してグループを外れてきた子だった。

 俺は最初から余りのグループでいいやと班員を探してもいなかった。


「【魔物使い】? 珍しいジョブだね! 初めて見た!」

「……そう」

「ねえねえ、どんなモンスターを連れているの? 見てみたい!」

「……外で出すと怒られるから」

「あ、そっか! じゃあダンジョンで見せてね!」

「……わかった」


 木村さんがぐいぐい距離を縮めてこようとするので困る。

 遠藤くんの視線も棘が増したような気がする。

 俺は静かにダンジョン探索したいだけなのに……この二人と上手くやっていける気がしない。

 はぁ……。

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