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トロフィーヒロイン・モンスターガール  作者: タカリ
第一章 トロフィーヒロイン・モンスターガール
43/50

43 新たな騒動

 監視カメラ型モンスターを庇うようにして壁から突き出したマニピュレーターが剣や盾を構える。距離を詰めれば隙だらけだった狙撃手に護衛がついていた。


「くそっ、やっぱり固いな!」


 赤華が召喚した眷属レッドキャップの影に隠れながら手に入れたばかりのレーザーガンで射撃を行う。同じく手に入れたばかりの【射撃】スキルのおかげで何とか攻撃を当てられるが、盾の表面を焦がすだけで終わった。


「マスター、そのまま攻撃を!」

「わたしたちに任せて!」


 だが、俺の攻撃を防ぐために構えた盾の内側に二人が滑り込む。射程距離に入り込んだ獲物に向かって機械の腕は正確な軌道で武器を振るうが、近接型の二人は軽々と避けるとナイフを振るった。

 一振り二振りであっさりと無力化された腕が床に転がり、監視カメラレーザーが無防備な姿をさらす。


「トドメです!」


 紅雪がナイフを叩きつけ、それで戦闘は終了した。


「ご主人さまが引き寄せてくれるからとっても楽になったわ♪」


 床に転がるドロップアイテムを拾い上げて二人が戻ってくる。壁に使っていた二体の眷属は怪我をしているが、紅雪にも赤華にも怪我はないようだ。


「回り込もうとするとあの盾に前を塞がれて、横から剣やレーザーで攻撃されますからね。マスターが注意を引き付けてくれるだけで内に入るのが楽になりました」

「こっちも見てて全然動きがわかったよ。やっぱりこの武器は交換して正解だったな」


 弾を撃つのに魔石を消費しないといけないのが少しきついけど、これまで戦闘になると完全にお荷物だった俺が攻撃に参加できるようになったのは大きかった。やはり手数が多いと効率が違う。

 納品クエストで手に入れたレーザーガンは早速大活躍をしてくれて、今後もお世話になりそうだった。


「ただ、こっちのスーツはもっと改良しないとダメだな。パワーアシスト機能とか欲しいけど、なかなか難しいよなぁ」

「そう? 後ろで狙撃だけしているなら今のままでもいいんじゃないの?」

「いや、もう少し素早さが欲しい。逃げたり移動したりする時にどうしても遅れがちになる」


 一緒に手に入れた液体金属で作られたスーツだが、こちらは逆に改良の余地が多かった。特に問題なのが重量で、液体金属を使ってこのスーツは二十キロ以上の重さがある。

 形状が自由に変わるので俺の体にピッタリフィットしてくれるし、ジョブカードのおかげで力が上昇していて意外と動きやすいのだが、それでも全身に二十キロの重さをつけていることに変わりはない。

 素早く移動したり相手の攻撃に咄嗟に反応するのは難しかった。


「とりあえず魔石と素材をもっと集めて、全体的にバージョンアップしていきたいな」


 SFチックな銀色の全身スーツを思い浮かべ、改良案を考える。魔物使いは安全な場所で仲間の指揮を執るものだというイメージがあるが、このスーツが完成すれば俺でもモンスターと近接戦闘ができるようになるだろう。

 やっぱり刀を持って自分でも戦ってみたいと思ってしまう。


 ■


「あ、先客の人たちがいましたね。こんにちは~」


 機械のダンジョンの中層、モンスターを掃討した後の部屋で休憩と荷物の整理をしていると、三十代くらいのチャラい男と他数名が部屋の中に入ってきた。


「すみません、撮影はやめてもらえますか?」

「あ、撮影NGの人? 大丈夫、あとでちゃ~んと編集してカットするよ」


 そういってニカッと笑う男の手にはビデオカメラが握られていた。


「Dチューバ―のちょんぼるです。チャンネル登録もよろしく~!」


 Dチューバ―。ダンジョンの中を撮影して動画サイトに上げている人たちだ。無線が通じないので直接生放送はできないけど、撮影した動画を編集して投稿することならできる。

 Dチューバーの中でもトップの方だと一千万人を超えるほどの人間がチャンネル登録している。俺も気に入ったDチューバ―を数人チェックしているが、目の前のちょんぼるという男は見たことなかった。


「あれ? 君若いね、いくつかな~?」


 撮影をやめてくれと言っているのに未だにカメラを回し続けているし、周りの取り巻きっぽい連中も笑っていて止めない。正直不快だ。


「……え?」

「あっ」


 そしてちょんぼるのカメラが俺の後ろ――紅雪と赤華を捉えた。


「おお……すごい美少女! しかもエルフ耳! 取れ高キター!」

「二人とも、いくぞ!」


 ちょんぼるのカメラの前に手をかざし、隠すようにしながら二人に小部屋から出るように促す。カードに戻した方がいいんだろうけど、周りを囲まれている状態で二人を戻すのも勇気がいる。

 さっさと離れて、もう今日はこのまま帰ってしまう方がいいだろう。


「ねえねえ君! その娘たちどうしたの? モンスターでしょ? どこでカードを手に入れたの?」

「通してください! 通さないと警察に訴えますよ! カメラを止めてください!」


 好奇心丸出しで寄ってきて、取り巻きと一緒に入口を塞ごうとするちょんぼるにこっちも強気で出る。こういう人種はこっちが引けば図々しくなるだけだと知っている。マスゴミなんか全部滅んでしまえ。


「入口まで急いで戻るぞ」

「はいマスター」

「わかったわ」


 足早に入口まで戻り、俺たちはダンジョンを後にした。






■ちょんぼるのダンジョン攻略記XX回! 噂の機械ダンジョンでモンスターカードを手に入れる!

 チャンネル登録者数:1207人


 ★ 今回はXX県にある機械のダンジョンにやってきました! 今までモンスターカードが一枚もドロップしていないという噂のダンジョンの謎に迫ります!

 ★ なんと! ダンジョンアタックの途中で超絶美少女モンスターに遭遇! 本当に美少女なので一度は見ないともったいない!

 ★ SNSもやってます! 次回ダンジョンアタック情報なども呟くので登録お願いします!

更新頻度が週に2,3回くらいになりそうです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 炎上系かー、ダンジョンに喰わせて証拠隠滅も仕様上難易度クソ高いのが歯痒い(嫌悪
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