空間を操る者、帰りたい世界#05
ツムギはワイバーンの魔石を加工してオーブを確保すると、学園都市へ戻って来ていた。
(依頼品は用意できたわけだか……準備はOK?)
「K。魔導書も、もうセット済み。あとは出たとこ勝負」
(ん、それじゃ理事長室に跳ぶぞ)
ツムギは空間跳躍を使用して理事長室に移動する。
「あれ?ペルちゃん居ないね」
(待ってたらそのうち来るだろ。ペルシアの領域内に入ったわけだしな)
「思ったより、戻りが早かったの。つーちゃん」
ペルシアが扉を開け入りながらツムギへ声を掛けた。
「でしょ?けど、オーブは確保してきたよ」
そう言ってツムギは、オーブをペルシアに投げ渡す。
「確かに受け取ったのじゃ。……しっかし、渡し方が雑じゃないかのぉ」
ペルシアは受け取ったオーブ机に並べる。
「それよりさ、新弟子帰って来てるんじゃない?」
「ほぅよく分かったの。あ、さては出先であったのじゃな」
「たぶんね。名前は何て言うの?」
「名前?名はイースロッテ=シャルロットじゃな」
(ビンゴだな。アースソウル所属のあの、イースロッテ=シャルロットと同一人物)
「あ~うん。知ってた。やっぱりそうか」
「師匠、入ってもいいですか?」
コンコン。っと理事長室の扉がノックされ、扉の外から室内のペルシアに向けて声が掛けられる。
「噂をすればじゃな。よいぞ!」
「失礼します」
扉を開け入ってきたのは、イースロッテ=シャルロットであった。イースロッテは部屋の中を見て、ツムギの姿を確認すると固まってしまった。
「顔を出したと言うことは、オーブを持ってきたんじゃな?」
「あ、はい!これです」
ペルシアに声を掛けられ、ハッとした様子でオーブを手渡したイースロッテ。
ペルシアは渡されたオーブを先ほどのオーブと同じく机の上に置くと、席に着くと口を開いた。
「ツムギ、改めてじゃがこやつがイースロッテ=シャルロットじゃ。ロッテよ。こやつはツムギ。我の友人じゃ。挨拶せい」
「……イースロッテ=シャルロットです。改めまして、よろしくです蒐集者さん」
「こちらこそ、ね。じゃ私はもう行くわ」
「そうか。ならロッテよ。ツムギの外まで見送って来てくれるかの」
「わ、分かりました、師匠」
ツムギはイースロッテを連れ立って理事長室を出る。しばらく歩いてからツムギはイースロッテに話しかけた。
「今の喋り方が素かな?」
「……はぁ、そうよ。不覚だったわ。まさかバレるなんて」
「バレたくないならいつもみたいに、間延びした喋り方すればよかったじゃない?」
「弟子入りする時に師匠には直ぐバレて、師匠の前では素で喋るのが、条件の1つになったのよ」
「なら私と話す時も素でお願いね」
「もう今さらよね……分かったわ」
「さて、と……本題に入ろうか?」
「こちらとしても望むところよ」
「ん、じゃあまずキミは敵なのかな?私としては、アースソウルのメンバーは平穏を乱す厄介な奴らって認識なんだけど」
「そうねぇ……個人的には敵ではないかしら。アースソウルって言うのは、地球って場所の出身の、転生者や転移者の集まりなのよ。元々同郷のよしみで何かあったら協力しよう、って集まりだったの。なのに、何を勘違いしたのか好き勝手する奴らが、組織名として名乗り始めたのよ。それ以来、穏健派と過激派に分かれちゃってるのよねぇ」
「じゃあイースロッテは穏健派と?」
「私は中立。希少な空間魔法使えるから、橋渡しをやってるの」
「なるほどねぇ……。次はイースロッテが質問していいよ?」
「えっ!いいの?それじゃあねぇ……ツムギ、あなたは何者なの?」
(定番の質問だな)
「ん~そうだね……私はただの人で、紡ぎ手」
「紡ぎ手って何?物語でも書いてるの?」
「そうだねぇ……紡ぎ手は神様の眼として生きる人、それだけだよ」
「……よくわからない事は分かったわ」
「だから、ただの人って思っていればいいよ」
「チート持ちと同等、またはそれ以上の力の持ち主のあなたを、ただの人って……」
「次は私の質問。あなたは何が目的なの?何か目的があって、ペルシアに弟子入りしたんでしょ?」
「……私はね、転移者なんだ。ある日突然、この世界に放り出された。チートに『空間』って言う能力を持たされて。大雑把すぎでしょ、って思ったけど本当に空間に関することなら、大体何でも出来た。でね、思ったの。もしかしたら元の世界に、地球に戻れるかもって。だから」
「学園に学びに来た、と」
「寄り確実に帰るために、研究が必要だとおもってね。弟子入りしたのは偶然。師匠から声を掛けられたんだよ」
(才能と人柄を見抜いたんだろうな)
「で、今に至るのか。……まぁペルシアがついているなら、どうにかなるし、悪人じゃないんだろうね」
(しかし『空間』かぁ。だから空間跳躍や空間転移が得意なわけか。けど、世界を渡るには観測も必要。つまり時空系の魔導師じゃないとな)
「次は私の番だよね。師匠とはどういう間柄なの?」
「ん?ペルシアとの関係ねぇ……。昔馴染みの友人だよね。長年のね」
「長年って……あなた何歳なの?」
「失礼な事、考えてない?」
「いや、だってねぇ。背が低いし、少なくとも年上には見えないもの」
「ぐっ……気にしていることを。余計なお世話よ」
長話をしている間に、ツムギとイースロッテは学園の門までやって来た。
「見送りご苦労様。取り敢えずキミの目的は分かったし、悪人でない事も分かった」
「アースソウルといる時は悪人っぽいムーブをするけど、本心じゃないからね?私は元の世界に帰りたいだけだし」
「ま、敵対しないことを祈るよ」
ツムギはイースロッテに軽く手を振り、学園を後にした。
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