空間を操る者、帰りたい世界#01
街の中心に建つ神殿の様な建物。魔導遺跡『神聖図書館』を中心に栄える都市、学園都市ヴィヴィド。この都市では世界各地から、己のテーマを研究し研鑽を積むために魔法や魔導を扱う者が集まっている。
そんな学園都市ヴィヴィドに存在する世界最大の学園、メイビス学園の理事長室にツムギはやって来ていた。
「思てたより早く着たのじゃな、つーちゃん?」
ツムギともう一人、女性がイスに座っていた。
「丁度学園都市に寄ってたから、直接聞こうと思ってね」
「なるほど……では依頼の物を持ってきたと言うわけじゃないのじゃな」
「依頼の内容は、研究資料として欲しいのは古代魔導具?それとも魔導書?そこを書き忘れていたみたいだから、直接聞きに来たのよ」
「そうじゃたか?すまんな。今回欲しいのは、つーちゃんの不老不死関係の資料メインで、我のテーマ関係の物も新規で欲しいのじゃ」
「……迷惑掛けてるわね。私の問題の研究までしてもらって」
「長い付き合いじゃからな。気にするでない」
「そう……。あ、そう言えば私が飲んだ薬が分かったわ。蓬莱って名前みたい」
「ほう。少しは進んだようじゃな。う~ん、なら調達は我のテーマ関係の物で頼む」
「K。それで今は何を研究してるの、ペルちゃん?」
ツムギがペルちゃんと親しげに呼ぶ彼女の名は、ペルシア・フェレス。彼女は悪魔種故に長命であり魔導を極めたと言われている。そのため二つ名は、『賢者』または『魔王』と呼ばれている。また、ツムギの秘密の一つ、不老不死を知る人物であった。
「ん?今は古代魔導具『オーブ』の有用的な使用法についてじゃな。所持していたものが壊れたので、調達頼む」
「オーブね。ならドラゴンかな……ん、りょーかい」
「うむ。さて、ではつーちゃんの不老不死について話すかの」
依頼の話を終えると二人は、ツムギの不老不死性についてを話し始める。
「何から話すか……」
「我が聞いているのは、何らかの薬で後天的に不老不死となった事。不死を解きたい事。情報が殆ど無い状況。と言った感じじゃな」
「そうだったわね。えぇっとまず、魔導書と薬の壺が見付かったの」
ツムギは懐から『幾星霜の旅路』の魔導書と壺を取り出し机に置く。
ペルシアは魔導書を手に取りページをペラペラとめくっていく。
「この魔導書に記されていたんだけど、ただ一度一回のみ不老不死の力を得る薬を作り出す。その薬の名は蓬莱」
「ふむ……確かにそう書かれておるな。で、この壺に書かれている文字。掠れて読みにくくはあるが、確かに蓬莱と刻まれておる。この二つはどこで発見したのじゃ?」
「魔導書は屋敷を探索している時に。壺は保管してたの忘れてた」
「……つーちゃん」
「残念な子を見る目はやめて~」
「はぁ……まぁ永い時を生きる影響で、きっかけがないと思い出せない、と言う事はよくあるからのぉ。ほぉ……下巻の存在がほのめかされておるが、実際は定かではないのか」
「ありゃ、そうなの?」
「うむ。まぁ他に手掛かりもないし、探さんよりはマシじゃろ。……しかし、不老不死は誰もが羨むことじゃろうに」
「普通に生きて自然と死ぬのが一番よ。不老はともかく、ここまで完全な不死性だと、逆に不気味だもの。弱点ありきの不死性の方が、私には好ましいわ」
「つーちゃんの言葉で言うなら、縁で導かれた結果、じゃろうな。きっと不老不死に成ったのにも、意味があるんじゃなかろうて」
「……ラプラスの思惑、ね」
「ん?何か言ったかの?」
「いいや、何でもないよ」
ツムギは机の上の魔導書と壺をしまうと立ち上がった。
「それじゃ、私は行くよ」
「ん、依頼の件。よろしく頼むのじゃ」
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