神域遺物の収集、気ままな一人旅#05
街の中心に建つ神殿の様な建物。
魔導遺跡『神聖図書館』を中心に栄える都市、学園都市ヴィヴィド。この都市では世界各地から、己のテーマを研究し研鑽を積むために魔法や魔導を扱う者が集まっている。
神聖図書館には様々な魔導書や本、未解読の石碑が存在しているのだが、神聖図書館の蔵書は不思議な事に持ち出しても減ることがなく、それどころかいつの間にか種類が増えている。ゆえに市販の魔導書や本は、ここから様々な人の手に渡っている。さらに一部解読された石碑から、他の魔導遺跡の存在など記されていたが、未だに発見へとは至っていない。その事を含め、魔導遺跡は未だ謎の多い場所とされている。
そんな神聖図書館の秘匿エリアにツムギはいた。各地を旅して新たに得た神域遺物の解析などをするための拠点にしている神聖図書館の秘匿エリアへ来ていたのだった。
「三冊をセットしてっと……ん、あとは待つだけ」
ツムギは書見台の様な機械に『仮想世界の黒き英雄譚―妖精の導』『疾風と凪の約束』『幾星霜の旅路』の三冊をセットする。そして動き始めた事を確認してイスに座る。
「減らないどころか増え続ける本や魔導書。その不思議な現象の答えが私にあるって、どれだけの人が知ってるだろうね~」
ツムギが秘匿エリアでしているのは、魔導書の解析と増版。つまり神聖図書館へ新たに見付けた魔導書を読み込ませている。
ツムギの調べだが、神聖図書館そのものが神域遺物の一つであり、図書館とは所蔵された魔導書を複製する神域遺物とツムギは結論付けていた。複製される際、魔導書になるものと一般的な本に成るものに分かれるが、その理由は未だ謎。しかし神聖図書館の謎、種類が増える理由はツムギが新たに発見した魔導書を秘匿エリアで読み込ませているから。そして図書館自体が減った魔導書を増やし続けているからだった。
そうこうしているうちに書見台の様な機械の動きが止まる。
「ん。さてさてそれじゃ、解析結果はラプラスの魔眼鏡へっと」
ツムギは慣れた手付きで機械を操作していく。操作が終わると『仮想世界の黒き英雄譚―妖精の導』を手に取り、眼鏡の側面、テンプルと呼ばれる部分をタップするツムギ。
「え~っと、魔法特化の魔導書。お、浮遊魔法ってのがあるわね。名前の通り空中を飛べるのね。これは便利。他は……目新しいものは無い感じね」
『仮想世界の黒き英雄譚―妖精の導』の魔導書をしまい、次に『疾風と凪の約束』を手に取り眼鏡のテンプル部分をタップする。
「これは……武具やアイテムを取り出す系の魔導書か。背表紙の窪みには十二の紋章石と呼ばれる宝玉を当てはめる。そうすることで使える物が強化されていくね。……ん?この中に納められているのは、偽・黒の懐中時計?黒の懐中時計の姉妹機にあたり、黒の懐中時計は神器として、別の場所に保管されている……。まぁ取り敢えず、紋章石を集める必要があるわね」
『疾風と凪の約束』の魔導書をしまい、最後に『幾星霜の旅路』を手に取り眼鏡のテンプル部分をタップした。
「この魔導書は既に力を失って、ただの物語本になっているのね。元の効果は……ただ一度一回のみ、不老不死の力を得る薬を作り出す。その薬の名は蓬莱……。この世のどこかに安置されている、ね。……蓬莱?なーんか、大昔にそんな薬、飲んだような」
(口を挟む気はなかったが……私はその薬を飲んでるぞ)
「……え~っと、次元の箱。蓬莱の空き瓶?壺かな?とにかく該当する保管物ある?」
そう言うと次元の箱の中から、ツムギの手元に一つの小さな壺が出現した。その壺の中はもちろん空であった。ツムギは無言で壺をしまう。そして解析結果の続きを読む。
「不老不死を解く方法は……下巻に記す」
(死にたいのか?)
「永遠の命なんて虚しいものよ」
(それじゃ下巻を探すか)
「ラプラス的には、私が不老不死の方が都合がいいんじゃないの?」
(私はどちらでもかまわん。どうせ不老の能力は残るからな)
「契約した頃から、成長が止まって回復が早いのは、そう言うわけね。蓬莱を飲む前から……まぁいいわ」
ツムギは『幾星霜の旅路』の魔導書をしまう。
「それじゃ次の旅に出ましょうか?」
不定期投稿してますのでブックマーク登録して、続きをお待ちいただけると幸いです。




