限りなく既知な未知との遭遇
西暦2121年、大規模惑星探査の最中、人類はついに地球外生命体との邂逅を果たしました。驚くべきことに、特定の星に降り立ったわけではなく、彼らと同様に宇宙を航行している異星人のスペースシップと遭遇したのです。天文学的な確率でしか起こり得ない奇跡の出会いに沸き立つ船内。
ただ、同時にそれだけ文明が進んでいるということは、それ相応の軍事力を手にしている可能性もあります。緊張しながら交信を試みると、すれ違うように相手側からも通信が入りました。
「こにんちは、わたしちたはきちゅうじんです。わくせぃたんさのとゅちうで、ぁたなたちとでぁいしまた。へわぃてきにこりぅゆうしぃたとぉもってぃます」
全く翻訳機能を使わない状態でもギリギリ解読可能なこの受信メッセージに、流石に不気味さを覚えた地球のクルーたち。もしかして、何かのはずみでパラレルワールドに迷い込んでしまったのではないかと母星に連絡を取ってみましたが、通常通りの返答があり、首を傾げるしかありません。
同じように不思議に思っていた異星人たちとやり取りをして、彼らが限りなく地球人に酷似した見た目、言語、文明を持っていることが明らかになりました。具体的には腕、脚、耳、眉などの位置が若干上下左右にずれており、言語は方言や訛りレベルの違いがありました。科学技術や芸術文化の水準もほぼ同程度、異なるのは笑いのセンスの方向性が斜め上なことぐらいでした。
神の巡り合わせ、あるいは悪戯というべきこの出会いを、それぞれの母星に報告し協議を重ねた結果、まずは地球人たちがきちゅう星へと案内してもらい、更に友好を深めることになりました。
その頃、報告を受けた地球の管制センター、そして各国首脳は大いに盛り上がり興奮していました。
「よしっ! 植民星にするには最高の条件じゃないか! 確かに科学水準は似通っているが、こちらは本来よりかなり低いレベルで申告していることまでは気づいていないだろう。油断させてより多くの情報をかき集めてくれよ。さあ、侵略の準備を進めるぞ!!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
とある上位存在の子供部屋。
「はあ……これ、どう考えても戦争コースまっしぐらだよね。先生が『惑星のコピペだけは絶対しちゃいけません』って何度も言っていた理由がやっと分かったよ。でも、夏休みの宿題に宇宙惑星間交流観察は、ちょっとハードル高すぎると思うんだよなぁ。生物なんてちょっと繁栄してもすぐ滅びちゃうし。せっかく手助けしていいところまでいっても、交流できる惑星なんて都合よく近くにはないし……あーあ……また一からやり直すしかないのかあ……」
上位存在は宇宙模型のリセットボタンに手を伸ばしました。
ポチッ。




