表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/49

王と王妃

バンパーの国王が顔をほころばせる。

父であるバンゲイ国の国王たちと会うぐらいの気持ちでいたのがバンパー国の国王夫妻のところまで連れていかれて緊張のあまりヴィオラの体が強張る。


「初めまして。もっと早くに君を呼びたかったのだが色々と手違いがあり、ギリギリになってしまった」

厳しいという噂と違い、バンパー国王は親しげにヴィオラに話しかけた。


「お招きいただきまして感謝申し上げます。バンゲイ国の第2王女ヴィオラ・バンゲイと申します。バンゲイ王立学園の1年に在籍しております。本来ならばもっと早くに挨拶にお伺いするべきところをこのように遅くなりましたこと申し訳ありません」

「挨拶はいつでもいいんだよ。聞いたところヴィオラ王女は成績がかなりいいようだね。講師陣からも評判がいい」


「初めまして、ヴィオラ王女。噂で聞くよりずっとお綺麗な令嬢だわ。それにマナーもダンスも素晴らしいと太鼓判を押されていたわ。本当に評判が良くて。私のお茶会にも来ていただきたかったけれど、なぜかしら邪魔が何度も入って実現できなかったのよ。今度こそは来てちょうだいね」

笑顔満開のバンパーの王妃様が、王の横で扇で口元を隠しながらうふふと笑う。

「そのドレスは皇太子からのおくりものなのね。二人でいるとよく似合っているわ。一対の人形のようだもの」


「王妃の言う通り本当にお似合いの二人だ」

年齢は40代前半のはずだが二人とも10歳は若く見える。

どうやって美容とかしているの! と感心するくらいだ。


「わたくし、本当はもっと早くにヴィオラ王女とお話ししたかったのよ」

アークライト皇太子は顔や雰囲気は国王に基本似ているが、瞳や髪の色は王妃からもらったものだろう。紫の瞳と白銀の髪が印象的だ。


「ところで説明はしたの?」

王妃が皇太子に視線を送る。

「ヴィオラ王女とは今出会ったばかりです。私から説明する前にバンゲイの王と王妃より一言あってしかるべきかと思っています。そこは私たちの問題ではなくあちらの問題だと。だが、どうにもできないというのであれば私たちの条件を飲んでもらったうえで解決しようと思っています」


話が終わると皇太子はヴィオラ王女の手を優しく引き、今度はバンゲイ国王のほうへと向かう。

バンゲイ王と王妃の姿が間近に見えてくる。

 バンパー国の王たちより緊張するのはなぜだろう。


「バンパー国の皇太子アークライトです。お越しいただくのをお待ちしておりました。

こちら側からの要望とは全く違う事態となっており何度も書簡や使いを送りましたが返答はないままでしたので、今回来られたことでちゃんとした返答をいただけるものと思っておりました」

バンゲイ国王は一瞬虚を突かれた顔をする。

「ああ、その件に関して行き違いができてしまったようだ。今回のことは王妃の要望でこういう事態になってしまい……」

バンゲイ王が汗を拭き始める。


「バンゲイ国王妃でございます。娘リコリス王女が留学生として離宮に滞在させていただきましたことありがたく存じます。先ほどの行き違いと申されましたが行き違いではございません。リコリスは誰よりも可憐で可愛くマナーも完璧でございます。バンパー国に滞在し離宮にいる間にリコリスと過ごす時間も皇太子さまもたくさんございましたでしょう。リコリスのことは十分にお分かりになったと思います」

王妃が身を乗り出す。


「やめないか、それ以上はここでは」

バンゲイ王がたしなめるも王妃の言葉は止まらない。

「同じ王女でもそちらにいるヴィオラは出自のわからぬ女の娘。ですがリコリスは私バンゲイ国の王妃の娘でございます」


 アークライト皇太子の視線が一瞬にして冷たく光った。

「ヴィオラ王女の母親は素性の分からぬ女ではありませんよ。王妃、あなたより私のほうがヴィオラ王女の母上のことはよく知っておりますよ。なにせ、私の国バンパー出身ですからね。れっきとした貴族令嬢でした。なぜ、素性の分からぬという言葉が出るのかそこを知りたいものですね。いや、それだけではない。……この話をこのままここで続けることは私としては構いませんが、バンゲイ国としてよろしいのでしょうね」

アークライト皇太子の言葉に王も苦虫をつぶした顔で黙り込む。


「返事がないということは、話を続けるのはここでもよろしいのでしょうね。……ならばここで続けましょう。一応のために続きの間に話し合うための部屋は用意はしてあるのですが。私個人としては歓迎の式典より、この話のほうを先に進めたい。こいった事態になるまでバンゲイ国からバンパー国を軽んじられるとは思っておりませんでしたからね」

冷気すら感じさせるような低い声で皇太子は続ける。


「私が出した書類は正式な文書での書簡であったと思いますが、あなた方はそれすらもどうでもよろしいのでしょう。私たちとしてもそうであるなら話は変わってきます」


いつもお読みいただきありがとうございます。

誤字脱字、名前間違い等など、しかも初心者のためぎこちない文章で読みづらいことと思います。

本当に読んでいただき嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ