時を駆ける昔話4
そして、あっという間に5年が過ぎ…。
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第4話:玉手箱と時間
「そろそろ家に帰ろうと…。」
浦島は切り出す。
「そうですか…、未々居られても良かったですのに…。」
乙姫様は残念そうな顔をする。
「乙姫様、浦島様にコレを。」
亀は玉手箱を運んできた。
「ええ。」
乙姫様が、亀から玉手箱を受け取る。
「玉手箱をどうぞ。」
「玉手箱?」
浦島は首を傾げる。
乙姫様はコクンと頷く。
「はい。この中には、浦島様が竜宮城で過ごされた『時』が入っております。」
「時?」
乙姫様はまた頷く。
「これを開けずに持っている限り、浦島さんは年を取りません。
若い姿のままでいられます。
でも開けてしまうと、『時』がもどってしまいますので、決して開けてはなりませんよ」
浦島は頷く。
「はい、わかりました。
ありがとうございます」
乙姫様と別れ、亀とまた陣に乗ると、来た時のように光に包まれた。
「浦島様、着きましたよ。」
浦島が目を開けると、元の島に立っていた。
そして、亀に乗り海を渡り元の海岸に着いた。
「亀さん、ありがとつ。」
浦島がお辞儀をする。
亀は手を振り、海へと消えて行った。
「さあ、家に帰ろう。」
家に向かいましたが、綺麗な家が立っています。
「ん、俺の家は?」
浦島は、周りを見ても、ボロボロだったはずの家はありません。
「5年も帰らなかったからかな…。」
浦島は、家の前にへたり込みました。
「あらあら、私の家に何かご用ですか?」
後ろから若い娘さんに声を掛けられました。
「ここに、浦島太郎さんの家があったと思うのですが?」
娘さんは少し考え。
「200年くらい前に浦島太郎と言う人が行方不明になったと聞いたことがありますが。」
浦島は愕然とします。
「200年!!」
娘さんは不思議そうに。
「あ、あの家の前ではなんですから、中にお入りください。」
娘さんが、中へ招き入れる。
「どうかされましたか?」
浦島は、自分が浦島太郎である事と、竜宮城での事を話しました。
「もし貴方が話した事が事実でしたら、お持ちになられている玉手箱を開ければ…。」
浦島は確かにと頷くが。
「乙姫様には開けるなと言われているけれど…。」
娘さんが手を握り。
「私と一緒に開けませんか?
本当か気になりますので…。」
浦島は頷き、玉手箱の紐を解く。
そして、娘さんと箱を開けると、中から白い煙が出てきて、部屋中を包み込みました。