時を駆ける昔話31
娘が晴一に…。
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第31話:障子の向こう
「晴一さん、お願いがあります。
機織をしている間、決して中を覗かないでください。」
娘が頭を下げる。
「わかった、ご飯はどうしたら?」
晴一は頷き聞き返す。
「障子の外から声を掛けてください。」
晴一はもう一度頷きました。
「ありがとうございます。」
娘がもう一度頭を下げた。
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次の日から娘は奥の部屋で機織をし、ご飯の時と寝る時以外は籠るようになりました。
(トントン!ガチャ!トントン!ガチャ!)
数日後、晴一は中の様子が気になってきました。
「うーん、うーん。」
晴一は部屋をチラチラ見ます。
「どうしたピョン?」
兎は何となく解ってはいますが聞いてみる。
「中が気になって気になって。」
兎はやっぱりと思いました。
「決して覗かないでと言われてるピョン!」
兎が顔を近付ける。
「わ、わかってるよ!」
兎は笑顔になり。
「分かってるなら良いピョン。」
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そんなある日、晴一は町へ炭を売りに行きました。
「お昼にするピョン。」
兎は娘に声を掛ける。
「もうお昼なの?
あれ、晴一さんは?」
兎は外を指差し。
「晴一は炭を売りに行ったピョン。」
お昼を食べ、片付けをする娘に。
「どれくらい出来たピョン?」
娘はこちらを見て。
「もうすぐ出来上がりますよ。」
そして、また部屋に入ってくる行く。
「見ちゃダメかピョン?」
娘は首を振り。
「出来てからのお楽しみ。」
そう言って障子を閉めた。
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次の日、狸が兎を誘いに来た。
「兎、モヤモヤ山にキノコ取りに行かないポン?」
晴一は兎を見て頷く。
「行って来るピョン。」
兎と狸は晴一の作った弁当を持って出掛けました。
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お昼を食べた後、娘はまた部屋に入っていきました。
(トントン!ガチャ!)
機織機の音だけが響きます。
「気になるなぁ…。」
晴一はウズウズします。
「でもなぁ、覗かないでと言われてるしなぁ。」
そんな時間が暫く続きました。
「少し、少しだけなら…。」
晴一は障子に指で穴を開け、とうとう覗いてしまいました。




