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時を駆ける昔話  作者: シグルド
31/36

時を駆ける昔話31

娘が晴一に…。


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽


第31話:障子の向こう


「晴一さん、お願いがあります。

機織をしている間、決して中を覗かないでください。」


娘が頭を下げる。


「わかった、ご飯はどうしたら?」


晴一は頷き聞き返す。


「障子の外から声を掛けてください。」


晴一はもう一度頷きました。


「ありがとうございます。」


娘がもう一度頭を下げた。


━━━━━━━━━━


次の日から娘は奥の部屋で機織をし、ご飯の時と寝る時以外は籠るようになりました。


(トントン!ガチャ!トントン!ガチャ!)


数日後、晴一は中の様子が気になってきました。


「うーん、うーん。」


晴一は部屋をチラチラ見ます。


「どうしたピョン?」


兎は何となく解ってはいますが聞いてみる。


「中が気になって気になって。」


兎はやっぱりと思いました。


「決して覗かないでと言われてるピョン!」


兎が顔を近付ける。


「わ、わかってるよ!」


兎は笑顔になり。


「分かってるなら良いピョン。」


━━━━━━━━━━


そんなある日、晴一は町へ炭を売りに行きました。


「お昼にするピョン。」


兎は娘に声を掛ける。


「もうお昼なの?

あれ、晴一さんは?」


兎は外を指差し。


「晴一は炭を売りに行ったピョン。」


お昼を食べ、片付けをする娘に。


「どれくらい出来たピョン?」


娘はこちらを見て。


「もうすぐ出来上がりますよ。」


そして、また部屋に入ってくる行く。


「見ちゃダメかピョン?」


娘は首を振り。


「出来てからのお楽しみ。」


そう言って障子を閉めた。


━━━━━━━━━━


次の日、狸が兎を誘いに来た。


「兎、モヤモヤ山にキノコ取りに行かないポン?」


晴一は兎を見て頷く。


「行って来るピョン。」


兎と狸は晴一の作った弁当を持って出掛けました。


━━━━━━━━━━


お昼を食べた後、娘はまた部屋に入っていきました。


(トントン!ガチャ!)


機織機の音だけが響きます。


「気になるなぁ…。」


晴一はウズウズします。


「でもなぁ、覗かないでと言われてるしなぁ。」


そんな時間が暫く続きました。


「少し、少しだけなら…。」


晴一は障子に指で穴を開け、とうとう覗いてしまいました。

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