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時を駆ける昔話  作者: シグルド
29/36

時を駆ける昔話29

狸とも仲良くなってから10年が過ぎた。


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽


第29話:鶴と娘


晴一は親元を離れカチカチ山で炭焼き職人として、兎と暮らしていました。


ある冬の事。

晴一は町へ炭を売り、帰る途中でした。


「鶴が居るピョン!」


兎が指を指します。


「罠に掛かって可哀想に。」


晴一は鶴を助けてやりました。


「気を付けるんだぞ。」


鶴は空へ飛んで行きました。


━━━━━━━━━━


ある寒い夜の事。


(コンコン、コンコン。)


扉を叩く音がします。


「どちら様?」


晴一が扉を開けると、美しい娘が立って居ました。


「こんな寒い夜に、中へどうぞ。」


娘を中へ招き入れます。


「こんな山にどうしたピョン?」


兎が尋ねます。


「薪を拾いに来たのですが、迷ってしまって…。」


娘は頭を下げます。


「一晩、泊めて頂けないでしょうか?」


晴一と兎は頷きました。


「暫く吹雪が続きます。

好きなだけ泊まってください。」


娘はお辞儀をして、笑顔になりました。


━━━━━━━━━━


数日が経った夜の事。


「機織機はありますか?」


娘が晴一に聞く。


「親元に行けばあると思うけど…。」


(トントン!)


桃太郎が入ってきた。


「晴一、炭があったら欲しいのだが…。」


少し沈黙が流れた。


「炭なら小屋にあるけど。」


桃太郎は娘を見て。


「わかった。

ところで、その娘さんは?」


兎は炭を取りにゆっくり出ていく。


「昨夜まで吹雪が酷かったから、暫く泊めてあげてる娘さんだよ。」


桃太郎は娘に頭を下げる。


「家に機織機ってあった?」


兎が炭を持って戻ってくる。


「炭だピョン。」


兎が炭を渡す。


「あ、ありがとう。

機織機あったと思うけど、使えるのか?」


晴一は首を横に振る。


「娘さんが使いたいみたいで。」


桃太郎は納得する。


「取りに来るなら一緒に行くか?」


晴一は頷き。


「取りに行って来るから、留守をお願いしても良いかな?」


娘は笑顔で頷く。


「兎さんと居ても良いですか?」


晴一は頷くと、桃太郎と家に向かった。

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