時を駆ける昔話29
狸とも仲良くなってから10年が過ぎた。
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第29話:鶴と娘
晴一は親元を離れカチカチ山で炭焼き職人として、兎と暮らしていました。
ある冬の事。
晴一は町へ炭を売り、帰る途中でした。
「鶴が居るピョン!」
兎が指を指します。
「罠に掛かって可哀想に。」
晴一は鶴を助けてやりました。
「気を付けるんだぞ。」
鶴は空へ飛んで行きました。
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ある寒い夜の事。
(コンコン、コンコン。)
扉を叩く音がします。
「どちら様?」
晴一が扉を開けると、美しい娘が立って居ました。
「こんな寒い夜に、中へどうぞ。」
娘を中へ招き入れます。
「こんな山にどうしたピョン?」
兎が尋ねます。
「薪を拾いに来たのですが、迷ってしまって…。」
娘は頭を下げます。
「一晩、泊めて頂けないでしょうか?」
晴一と兎は頷きました。
「暫く吹雪が続きます。
好きなだけ泊まってください。」
娘はお辞儀をして、笑顔になりました。
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数日が経った夜の事。
「機織機はありますか?」
娘が晴一に聞く。
「親元に行けばあると思うけど…。」
(トントン!)
桃太郎が入ってきた。
「晴一、炭があったら欲しいのだが…。」
少し沈黙が流れた。
「炭なら小屋にあるけど。」
桃太郎は娘を見て。
「わかった。
ところで、その娘さんは?」
兎は炭を取りにゆっくり出ていく。
「昨夜まで吹雪が酷かったから、暫く泊めてあげてる娘さんだよ。」
桃太郎は娘に頭を下げる。
「家に機織機ってあった?」
兎が炭を持って戻ってくる。
「炭だピョン。」
兎が炭を渡す。
「あ、ありがとう。
機織機あったと思うけど、使えるのか?」
晴一は首を横に振る。
「娘さんが使いたいみたいで。」
桃太郎は納得する。
「取りに来るなら一緒に行くか?」
晴一は頷き。
「取りに行って来るから、留守をお願いしても良いかな?」
娘は笑顔で頷く。
「兎さんと居ても良いですか?」
晴一は頷くと、桃太郎と家に向かった。




