プロローグ 前編
拙い文ですが、よろしければどうぞ。
もうすぐ15になる少女シャーラは思い悩んでいた。母親譲りの金色の髪を揺らし、村の道を歩きながらどうにかこの状況を打破することは出来ないのかと。
シャーラの住む村は王都グランヒルからは明朝から出発しても到着するのは日が沈むギリギリというぐらいに距離があった。ユニコが一緒にいるとはいえ危険だからせめてシャーラより年が上の男の子が同伴、というのがシャーラの祖父であるリム爺が王都へ行かせない理由だった。
村にはシャーラより年が上の少年はいない。いるのはせいぜい同年代の少女か、それより年下の子ども立ちしかいなかった。
大人に頼もうとはしたのだが、この時期は作物の収穫が多く大人で暇な人はいなかった。
「あ〜〜もう!」
普段、深く考えることをあまりしないシャーラは少々考え込んだだけで思考回路がショートしてしまった。
少女は道の側の草原に座り込み持っていた杖を地面に投げた。どこまでも果てしなく続く薄青の空を見て改めて考えみる。
このままだとシャーラは最低、収穫がある間は王都へはどう頑張っても行くことは出来ない。
そんなのどうしてもやだ! けれどどうしよにも手立てがない…
「ユニコ〜 どうすればいいと思う〜?」
少し不機嫌なその口調で話しかけられたユニコは困った顔をしている。しかし、何かに突然気づいた様子でユニコは道を歩き始めた。
「ユニコ?どうしたのよ〜〜」
突然歩き始めたユニコに追いついてみると、ユニコの前方の空間がユラユラ揺れている。
その空間をパズルに例えるなら、その部分だけピースをハメ間違っているような、つまりまったく違う景色がそこにだけあった。
シャーラはその空間に近寄った。すると、その空間の奥に自分よりも年上の男の子が見えたのだ。
考える事が苦手なシャーラはとっさにあの男の子と一緒に王都にいけばリム爺も村から出してくれる。 と思うと同時に、早速男の子に頼みに空間を抜けてその男の子に話しかけた。
周りの景色は自分の村とはまったく違ったが、そんなことより男の子を説得する方が先だと思い、男の子に話しかけた。
「私と一緒に王都へ行かない?」
男の子は返事をしない、というより驚きと戸惑いの間の様な顔をしていた。
来ている服も全く見慣れないものである。
「私と一緒に王都へ行かない?」
もう一度言ったが、反応は同じ。だが、シャーラは1秒でも早く男の子をリム爺に見せて村を出たかった。そのためには多少強引にでも連れていく。
というのが頭の弱いシャーラがその場で考えた最善策だった。
「ちょっとごめんね! そいや〜〜!」
そういった直後、少女は自分の持っていた杖をゆっくりと振りかぶり男の子に力いっぱい振り下ろした。