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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

超短編

僕は嘘を──。

作者: ミーケん

【Twitter企画10作目】

 小さい頃。お母さんに言われた。

『嘘をついちゃだめ』

 そう言われた。


 なにも知らない僕はそんなお母さんの『嘘』に気づかなかった。愚かな僕だったのだ。


 僕が小学生の頃。とあるクラスにずっとひとりで本を読んでいる女の子がいた。その女の子は誰とも話さず、誰とも行動せず、誰とも目を合わせなかった。

 当然、最初はその女の子に話しかける人もいた。でも、話しかけてもその女の子が無視をする。なんど話しかけてもそれは変わらず、そのうちその女の子に話しかける人はいなくなった。

 そんなクラスに僕は転校してきた。自己紹介をして、クラスに馴染んでいった。でも、どうしてもその女の子が気になった。

 僕は友達に聞いた。

 すると友達はそんな気持ちの悪い話を僕に話したのだ。聞いてるだけで狂うような、その頃の僕からしたらまったく間違っている価値観の友達の話を聞いた。

 僕は翌日にその女の子に話しかけた。

「ねぇ、君は本当にひとりでいたいの?」

 単純な嘘偽りのない僕の投げ掛けだった。なのに。

 女の子は泣き出してしまった。お母さんに言われた通りに嘘をつかなかったのに僕はひとりの女の子を泣かせてしまった。

 翌日に学校へ行くとその女の子が自殺したことを知った。

 そして、その日から僕は10ヶ月に渡り、いじめられて僕は卒業式にも行かず、その学校を卒業した。


 ただひとつの僕の本当の言葉が簡単に人を殺すことを知った。でも、それでもまだ僕はお母さんの言いつけを守っていた。


 僕が中学生の頃。誰もいない教室で教鞭を振るっている先生に出会った。その先生はある日に両目の光を失い、授業なのに誰もいなくなったことにも気づかずに教鞭を振るっているのだそうだ。

 最初はみんなそれを可哀想だと言ってみんなで先生に声を掛けてスムーズに進むように努力していた。もちろん先生もその生徒の気づかいに気づいていたため、それを生徒がやらなくてもいいように様々な工夫をした。そして、できた授業の形が『補助の先生を用意し、その先生が黒板を使い、自分がそれについての説明をする』というものだった。

 しかし、生徒は気づいた。この先生よりも補助の先生ひとりの方が絶対に効率がいいし、わざわざ声を掛ける必要もない。

 そこで生徒たちは考えた。

 補助の先生に別の教室に待機してもらい、目の見えない先生は教室で授業を始める。あらかじめラジカセから黒板にチョークで書く音を流しておく。生徒は授業が始まり、起立と同時に別の教室に行って授業を受けるという考えだった。

 実際にそれは成功し、それからはずっとそうなった。

 僕はそれがまったく気に入らなかった。僕の自分勝手な妄想だけど、目の見えない先生はそれに気づいているはずだ。なのになんでそんなことを無視して授業をし続けているんだ。どう考えてもおかしいだろ。

 僕はそんなことを生徒の考えを受け入れた補助の先生に言った。

 するとその先生は言ったのだ。

「なにを言っているんだ?そんな先生はいないよ?」

 3日後に目の見えない先生はこの学校を去った。

 理由は補助の先生による執拗な暴力だったらしい。目が見えなくなったのもその先生のせいだと言われていた。僕はそんな最低な先生のもと授業を受けるのに耐えきれず、不登校になった。

 不登校になってから10日後、目の見えない先生がやって来た。

 そして、僕に近づき言った。

「嘘をついてくれてありがとう」

 僕は嘘なんかついてない。


 僕はこの時、嘘が人を救うことを知った。そして、僕には嘘が上手に使えることに気づいた。


 そして、いま。僕はある少年を殴っている。いや、正確にはある少年が殴られているのを見ている。

 少年はそんな中、ときどき僕を見て助けを求めてくる。でもそんなときに僕はすこし目をそらし、また少年が諦めるのを待つ。

 あぁ、どうしてこんなことを。

 そんなことを言っていたんだこの少年は。

 ある少女がいじめにあっていた。会わせていたのは僕だ。

 その姿を見て少年はそんな偽善じみたことを言って助けに入ったのだ。まったく笑える。これだから馬鹿は困る。

 僕はいじめの対象を少年に変更した。すると、少女はもう僕のことをうるさく言わないはずだ。だって自分に関係がないのだから。

 とうとう僕はナイフを取り出した。殴っていたやつらはその手を止めて、僕に最後を譲った。

 僕はそれを突き刺した。

 そんな中、少年は言った。

「そんなことして君は助からないよ」

 少年は最後にそう言った。

 僕はそんな少年に言った。

「それでいいんだ。もう嘘はつかない」



 お母さんは僕に言いつけた。

『嘘はついちゃだめ』と。

 しかし、お母さんは言わなかった。

『人を殺しちゃだめ』なんて言わなかった。

 お母さんは『嘘をついちゃだめ』としか言わなかったのだ。




 警察のサイレンを聞きながら僕は仏壇に手を合わせる。

「嘘をついてごめんなさい」




 警察が僕を見つけた時にはもう嘘はなくなってた。

 自ら通報して呼んだ警察に僕は家の惨状を見せつける。

「僕は嘘をついています。僕は嘘しかついてませんでした」

 僕は嘘を吐く。


「僕にしかできなかったことです。そして僕だけができたことなのです。だから僕には逮捕される責任があります」


 翌日。

 テレビではすべての番組でこんなニュースが報道された。

『男子高校生、ひとりの少年を助けるために殺人か』

どーも!最後まで読んでいただきありがとうごさいます!

今回の短編で企画10作目となりました!

こう考えるとまだまだ先は長いですねー。

まだあと21作も書かないといけないんですからねー。笑

あ、この企画はTwitterで31作書くことになっています!

まぁ、そんなわけでこれからも頑張っていきますのでよろしくです!

あと、Twitterのフォローお願いします!

名前はミーケんじゃなくて『ふらくら。(笑)』でやってますので、、、。

では、また次の機会にどーぞー!

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