18:クマ肉ってどうやって食べるんですか?
あらすじ
王都にはお風呂があったよ
今回から新しい展開です。
行間が説明不足により、かなり纏まりが悪い内容でした。
少々手直しをしましたが如何でしょうか?
【グリュネルの森】
◆
グリーンベアは毛皮が緑色の熊だ。
こういうと可愛く聞こえるかもしれないが、顔はリアル熊で毛皮が迷彩柄と考えてもらえば、なかなか凶悪な姿を想像してもらえるのではないだろうか。
今日の仕事は、オズワルド王都の北東に位置するグリュネルの森で異常発生したグリーンベアの退治だ。
グリーンベア眉間を狙った「ウルヴズレイン」の一撃で1匹突き殺した後、私は背後で腕を振り上げたグリーンベアの一撃を左脚を軸に回転しながら回避する。
「アルザ、2匹行ったよ!」
両腕を上から下に振り切ったり、無防備になったグリーンベアの眉間に剣を突き立てる。
「任せとけー!」
全長2エーカーあるグリーンベアは巨体と凄まじいパワーを誇る。
しかし広く弱点が広まっているため、単体であれば低ランク冒険者でもそれほど苦戦する敵ではないとされているのだ。
ちなみに弱点は、毛皮の薄い胸部と頭部だ。毛皮の厚い背中や腕などはあまりダメージが通らないが、注意深く攻撃することで容易に狩る事ができる。
とはいえ動き回る敵の急所を狙うには、こちらも相応に動き回る必要がある。
『うひっ、あわっ!ちょっとぉ、クマ多過ぎないっ!?』
前後左右に激しく動く私の肩にしがみ付きながら、クスクスが苦情の声をあげる。
うん、ご愁傷様。
「だからローザと一緒にいたらって言ったじゃないさっ!」
耳元で悲鳴をあげるクスクスに返しながら、グリーンベアに囲まれないようにサイドステップを踏む。
「確かに依頼にあった数より多いわなっ!」
アルザは2匹に囲まれているが、危なげなく1匹の胸の辺りを殴り飛ばし、後ろから爪を振り下ろしたベアの一撃を手甲で受け流す。
「パワーだけはあるから、直撃にだけは気をつけるのよ」
魔法を使った援護をする為に、前線からやや距離をとっているローザは、涼しげに言いつつ魔法陣を展開する。
『でもさ、もう元々の討伐数は倒してるんじゃないの?200匹でしょ確か?』
うえっぷと、乗り物にでも酔った様子でローザへとクスクスが乗り移る。
「どうだろ?30くらいまでは数えてたんだけど、途中で面倒になってきたよ」
言いつつ、私はアルザの足払いで引っくり返ったグリーンベアに止めを刺して、横合いから来た敵との間合いを詰めて心臓部分を狙って突く。
「まぁ討伐の規定数超えたって言っても、どうせこの状況じゃ、討伐証明の熊耳の回収もできないんだわ」
と、グリーンベアの鼻先を蹴り飛ばす。
大量討伐任務では、討伐数の証明としてモンスターの一部をギルドへ提出する事になっており、グリーンベアの場合は迷彩も鮮やかな緑の耳が対象になる。
うーん……確かに次々に沸いて出てくるグリーンベアのお陰で、予定より随分時間が経過しているが、なかなか終わりが見えない。
目の前に広がるのはさながら緑の壁だ。
「ローザ、作戦変更、氷の範囲魔法で動きを止めてっ!」
グリーンベアの弱点は、頭部と胸部以外にもひとつある。
寒さに非常に弱く、冬になると動きが非常に鈍くなるのだ。
まぁ普通は、大量のグリーンベアを凍えさせるような手段はなかなかないのだが、私たちには高位の魔法を使いこなすローザがいる。
「了解したわ。魔法陣の展開に少し時間を頂戴ね」
ローザが指を2本立てる、待ち時間は200秒前後……大体3分ちょっとくらいか。
後ろに下がったローザの詠唱時間を稼ぐ為、アルザを前に出し、アルザの防衛線を抜けて来たモンスターを私が対処する形を取る。
アルザが正面を抑えている間に、ローザに向かうグリーンベアを処理するのが私の役目だ。
「それじゃ、ちょーっと気合入れ直すんだ……わっ!」
言うなりアルザは拳をぶつけ、ずどんと低い音を鳴らす。
前に出たアルザの尻尾が好戦的に持ち上がって毛先が逆立つ。
アルザが内気功の循環率を上げて身体能力の更なる向上を図っているのだ。
亜人の中でも、特にケモ系の亜人は膂力に優れているのだが、それだけに内気功を意図的に循環させる事ができるアルザは、高い戦闘力を持っている。
アルザの逆立つ毛から、内包するエネルギーが迸るのが私にも分かる。
その迫力に、気圧されたグリーンベアが足を止める。
このまま時間を稼げれば楽なのだが、世の中そう上手くはいかない。
あ、ほら我慢できなくなったのが出てきたよ!
「まぁ立ち上がって来るよりは、褒めてあげるんだわ」
これまでの二足歩行からの攻撃とは違う、巨体を活かした四足歩行からの突進からの噛み付きを仕掛けて来たグリーンベアを、アルザは低い位置から顎を蹴り上げる。
骨の折れるようなと鈍い音がして、頭部をねじ千切れんばかりに巨体を撥ね上げ、糸の切れたように真後ろに倒れた。
折れるようなというか、あれは骨が折れてるね、うん。そして死んでる。
散発的に飛び掛ってくる敵を、蹴り上げ、殴り飛ばし、突き殺す。
飛び掛る度に仲間が殺される状況に、次第にグリーンベアの群れとの距離感が開き始める。
「クマ共がビビッてる間に、少し下がるよ」
ローザの詠唱時間を確保する為にはできるだけ攻撃をアルザと私に集中させる必要がある。
敵の数が多く、現時点で半包囲状態になっているのを、半円対線ではなく面対線という状態に変えていくのだ。
余裕を持って態勢を整える私たちに、ローザから合図が入った。
「準備できたわ、2人共少し下がって頂戴ね」
―凍れるもの
―荒れ狂うもの
―命をその腕に抱き
―世界をを閉ざせ
「氷雪地獄!」
氷雪が巻き起こり、迷彩色の巨体が次々と白に染まる。
「うにゃー! これは見てるだけで寒いんだわー・・・」
目の前で繰り広げられる小吹雪に、アルザが肌をぶるりと震わせる。
「前方に魔法を集中させたから、取りこぼしが多少あるかもしれないけれど、取りこぼしていたとしても抵抗力はないでしょう」
ローザが目を細める。氷雪地獄は上位魔法だが、単発で使用する分には最高位魔法を使った時のような疲労には繋がらないようだ。
程なく、目の前にいた緑の熊の群れは、物言わぬ白い塊に成り果てていた。
『よーし! じゃあ早く終わらせて湯屋に行こー!』
ローザの肩にしがみついていたクスクスが、これで殆ど終わったとばかりに私の頭に飛んでくる。
相変わらず現金だな、お前。
◆
【グリュネルの森・深部】
◆
凍りついた標的に止めを刺していくうちに、森の奥まった場所に到着する。
「そういえばさ、この森にはクスクスみたいなドライアードっているの?」
ふと、興味が沸いたのでクスクスに尋ねてみる。
『んーどうだろ? でも守護者がいる森でこんなに凶暴なモンスターが増殖することってないんだけどねー』
クルワットの森では、生態系を壊さない程度に、凶暴性の高いモンスターは上手く間引いていたらしい。
「迷いの魔法しか使えないのにどうやって?」
『ん?アルザ達人狼族に頼んでた』
あー納得した。基本的に人狼族などの亜人とドライアードなどの守護者的半精霊は協力関係にあるようだ。
「確かにこの森はクスクスみたいなヤツの気配はないなー」
鋭い爪で熊の耳を削ぎながらアルザが言う。
「森の仕組みは興味深いわね。守護者のいない森はどうなるのかしら?」
ローザの問いかけに、クスクスは思い返すようにゆっくりと回答する。
『んー、モンスターが増えるよ。あとダンジョンがあったら封印されてないから危ないかな』
ダンジョン? ダンジョンって基本封印されてるものなの?
『危険度の高いものだけだよ。クルワットの奥にも、ダンジョンが3つだったかな? 1つは私が管理してたけど、あと2つは私よりずっと前の守護者が封印してて、普通の人間だとダンジョンの近くにも行けないよー』
むぅ、それは知らなかった。
「クスクスから聞いたのは、ダンジョンの中の方が強くて危険なモンスターが沢山いるって事なんだわ」
クスクスの回答にアルザが補足を入れる。
『あとたまーにだけど、強力な魔法のアイテムがあったりするよ』
成程、クスクスの言葉で一気に冒険者らしい話になった。
「そう。確かに禁魔法具級のアイテムがあるのなら、放置するのは危険ね」
ローザが納得したように唇を撫でる。
「ローザは興味ないの? こう、超破壊魔法具とか」
「あら? 私は別に頭のネジが飛んだ研究者という訳ではないのだけれど?」
薄く笑うローザから冷気が立ち上る。うわぁ赤い目が光ってるように見えますよ。
いや、でも進化実験失敗してスライムになっちゃうくらいにはマッドサイエンティストですよね? 魔法使いだからマッドマジシャンかな? まぁ、怖くて本人には言えませんけどね!
「それじゃあこの辺にダンジョンがあるのか?」
ナイス話題逸らしアルザ!
『んー、自分の管理区じゃないから分からないけど、可能性はあるかなぁ』
禁魔法具があるかどうかは分からないけどね、とクスクス。
「まぁ普通に考えたら、ギルドに報告かな」
「あら、ダンジョンも見つかっていないのに可能性ありとでも報告するのかしら?」
そうでした。ギルドの方でもダンジョンやら危険なモンスターの分布やらは、独自に調査をしている筈だ。
なんとなくといった感覚的なもので、ダンジョン探索などを進言する必要はないだろう。
『んー、私たちでダンジョンあるかどうか探してみる?』
「それは次の機会にしよう。クマ耳も結構な量もあるし」
クスクスの提案を私は却下する。
今回のグリーンベア退治はAランクの依頼だし、報酬を貰ったらお金の余裕もできる。
無理にギルドの依頼として組み込んで貰わなくても、個人的に調査に来ても良いだろう。
「賛成ね」
「よーし!帰ってご飯だ」
「いや、アルザちょっと待った。結構動き回ったし、まずはお風呂で……」
お風呂と言おうとした私を見たアルザとローザの目が光る。
「体は自分で洗うよ?」
あぁ……笑ってる。声を出さないけど笑ってるよ……
私の声など既に届かない2人を見て、溜息をついた。まぁ美少女と美女に囲まれてキャッキャウフフするのは楽しくはあるんですけどね。
風呂くらいゆっくり入らせて下さい、ほんと。
◆
【オズワルド王都・冒険者ギルド】
◆
「はい、それではグリーンベアの耳を432枚受領しました。掃討数による上乗せを含めて金貨4、大銀貨3枚となります」
受付嬢が報酬をカウンターに乗せる。金髪ショートの美人さんだ。
「非常に多数の討伐となったようですが、死体を回収に向かわせますのでおおよその位置を教えていただいて宜しいですか?」
一部は食材や素材として流通するらしい。
まぁ腐らせると問題も多そうだしね。この辺はランクの低い冒険者の仕事でもあるそうだ。
「あ、『黒猫の恋人』さん、少し伺いたい事があるのですが宜しいですか?」
うーん、討伐数が多過ぎるのが問題だったのだろうか?
エメフラで目立ち過ぎたせいで、変な人たちが出てきたしねぇ。そう言えば、私達は町を出たけど、ファンクラブってまだあるのかな?
「受付を交代しますので、レストスペースでお待ち下さい」
思案する私をよそに、言うなり受付嬢はギルドの奥に交代人員を呼びに向かっていった。
「改めまして、私はオズワルド王都の冒険者ギルド所属ギルド員、アシェータ・フルエッダです」
気軽にアシェと呼んで下さいと頭を下げる女性にこちらも頭を下げて、レストスペースの椅子に座る。
王都のギルドは流石にエメフラとは比較にならないほど立派で、1階は受付カウンターと依頼ボードのスペース、2階がレストスペース兼喫茶スペースとなっている。
石造り3階建てという巨大な建物で、3階は関係者以外立ち入り禁止だそうだ。
「実は、討伐数が非常に多かった件なのですが」
うん、予想していた通りの切り出しだ。
「倒し過ぎるのはよくありませんか?」
「いえ、元々王都周辺の治安維持が目的ですので、より多く討伐して頂くのは問題ではありません。今回伺いたいのはそれとは違います」
アシェは、形の良い垂れ目を引き締めて、少し言葉を切る。
「異常発生の原因になりそうなものは見当たりませんでしたか?」
「うーん、原因ですか?」
ギルドの討伐依頼は、指定する討伐数と実際に冒険者の討伐してくる数が、倍以上もずれる事はそうそうないらしい。
ギルドには元冒険者も多数勤めており、特にギルドの信用に関わる斥候や調査といった仕事を行うギルド員の実力は、現職の冒険者と比較しても遜色ないからだ。
エメフラの町の依頼における情報の精度が緩かったのは、調査等の責任者であるギネス・イッケネンの仕事ぶりがややユルかったからだ。
「昨今モンスターの発生数が非常に増えているのはご存知かと思いますが、今回はその中でも特に異常なケースが相次いでいます」
アシェ曰く、グリーンベアだけではなくジャイアントラクーンや、ニードルラットなどのモンスターが大幅に増殖しているのはギルドでも把握しているらしい。
そして、それによって住処を追われたゴブリンやオーガが、城壁のない郊外の町や村を襲うといった副次的な被害も増加しているらしい。
アシェの言う、所謂原因として考えられるのは、クスクスの言っていた危険度の高いダンジョンがあるという可能性だろう。
ローザを見ると、小さく肩をすくめている。
まぁ、ギルド員から聞かれたのなら、可能性として提示する分には問題ないだろう。
「グリュネルの森にダンジョンがある可能性があります」
危険度の高いダンジョンの存在により、付近のモンスターの分布が大きく変わったという可能性だ。
「グリュネルの森にダンジョンがある可能性ですか……」
アシェが思案気に顔を伏せる。
ダンジョンの周辺や内部に生息するモンスターは従来の物より強力なものが多く、ダンジョンから何かの拍子に強力な個体がフィールドに出ることで、元々住んでいたモンスターの活動領域に影響を与える事多い。
今回大量発生しているモンスターも、そういった理由で本来の生存領域から大きく人間達の生活圏内に大量に流入してきた可能性もあるのだ。
「かしこまりました。ダンジョンがあるとすれば森の深部でしょう。ギルド長と合議の上、調査依頼をするといたしましょう」
貴重なご意見ありがとうございますと、アシェは私たちにお礼を言い、浅く一礼するとレストスペースから足早に離れていった。
◆
【オズワルド王都・湯屋マキナ】
◆
はぁ、湯船気持ちいい……あ、現在入浴中です。はい。
「ラナちゃん、女の子なんだから髪はもう少ししっかりと洗ったほうが良いわよ?」
黒く長い髪を頭上で纏めながら、湯船に浸かった私の横にローザが座る。
「あのー、ゆっくり洗ってると、ローザとアルザがちょっかいかけてくるじゃないですか」
そうかしら、とうそぶいてローザが体を沈める。
今回は一足先に浴場に入る事で、ローザとアルザの追撃を逃れている。
昨日までで分かったのは、基本的には私が一番長風呂なので、2人が上がってから髪と体を洗いなおせば良いというものだ。
『お風呂って気持ち良いけど、もうちょっと浅くてもいいと思うのよ』
アルザの胸元で湯船に浸かるクスクスがぼやくが、流石に1/10スケールの湯船など利用者が限定されるので湯屋も作らないだろう。
「それでクスクスさ、ダンジョンはあると思うか?」
いつものポニーテールを解いたアルザは、首周りから長髪を胸元に流しながら言う。
『可能性は高いかなぁ。って言っても元々グリーンベアとかは増えるの早いんだけどねー』
クスクスによると、今回受付嬢のアシェが言っていたようなモンスターは、いずれも繁殖力の高い種らしい。
「まぁダンジョンがあるのなら、他の冒険者より先に中を見てみたい気持ちはあるよね」
私の言葉にアルザが頷く。
本当にあればの話だけれど、と前提条件をつけてではあるがローザも賛成する。
「ダンジョン内部で見つかるアイテムは基本的に見つけた人間の物だから、資金稼ぎにしても所持アイテムの充実にしても、発見から探索までは出来るだけ早めに済ませた方が有利なのは確かね」
「仮にダンジョンがあったとして、クスクスは封印とかってできるの?」
『無理っ! 今の私は分身だし、本体もダンジョンと森の結界を押さえるので精一杯だもん』
無理かー。ゲームやラノベだとこういうダンジョンから見つかったアイテムが原因で、戦争やら野望やらが生まれる土壌が出来る展開が多いから、あんまり刺激するのも嫌なんですけどね。
逆に自分から手に入れる事ができたら、元の世界に帰るヒントにもなるかもしれないけど。
「調査依頼が出されたら受けよっか?」
言いつつ3人を見回すが反対意見はない。うん、明日以降の予定が決まった。
「そうとなると、しばらく王都へ戻れないわねぇ」
グリュネルの森は近いとは言っても入り口まで片道で半日近くかかる。
森の領域は広く、北部と頭部は遠く山間部まで繋がっている。
仮に森の深部を探索するのであれば、1日や2日の調査では済まないだろう。
「イスマイールが使えたら、早いんだろうけどなー」
アルザは言うが、流石に人通りの多い王都周辺の街道で巨大な狼に乗って移動するのを見られるのは困る。
モンスターより先に私達の方が討伐されかねない。
『お風呂にも入れなくなっちゃうねー』
うんうん、クスクスの感想ももっともだ。
王都に来てからは湯船に浸かる快感を思い出してしまったので、長くても2日以上王都に帰らない日はなかったのだ。
日本人としては、お風呂染みるものだ。圧倒的に体に染み入りますもの……
「折角だから風呂溜めするんだわー」
そう言ったアルザが、一気に鼻先まで湯船に浸かる。
自動的に、アルザの胸元に収まっていたクスクスもお湯に浸かる。
『ごぼっ!ごほっごほっ!こらーアルザー!』
賑やかな悲鳴があがった。
クスクスの救出をする私の横で、ローザがアルザに話しかけている。
「あらアルザ、もっと大切な事があるでしょう?」
「何かあったか?」
「宿もなくて湯屋もないとなれば、大事なふれあいの時間が減っちゃうじゃない?」
ふれあいですか?なんか不穏な響きを感じたんですが気のせいでしょうか?
せめてお風呂くらいはゆっくりさせて欲しい。
手元が怪しくくねり始めたアルザとローザから距離を取り、私は湯船に再び深く体を落とした。
つづく




