10:とりあえず肉
あらすじ
ご飯食べに来ました
【エメフラの町・中央広場】
◆
そういえば、お腹の傷はアルザが治してくれた。
ちょっとした擦り傷や切り傷程度なら、気功を活性化させれば治せるらしい。
ただ、即効性や回復量はポーションや回復魔法の方が優れるらしい。
気功に関しては「ばっちゃが教えてくれたんだわ」との事。人狼族だから無条件に使えるわけではないらしい。
百合推奨したり、気功使ったり色々凄いなアルザのばっちゃ。
『でさーどこでご飯食べるの?』
クスクスが私の肩の上で足をぶらつかせ、アルザとローザを交互に見る。
「んーエメフラは大きな町じゃないからな。酒場兼食堂は1軒あるだけだぞ」
「あら、それじゃあ少しお酒を頂こうかしら。ラナちゃんもいかがかしら?」
ローザがこちらに視線を向ける。どうだろうか? 確かにこちらの来るまでは嗜んでいたが、アバター的には15、6の少女なのである。スライムなのに酒飲むのかよ! と思ったが、本人曰く「嗜好品よ」との事だ。
◆
【酒場兼食堂「エメフラ亭」』
◆
酒場兼食堂「エメフラ亭」身も蓋もない店名だが、1軒しかないのだから小洒落た名前をつけても仕方ないだろう、というのは店主の言だ。ちなみに創業40年、店主は2代目である。
冒険者や旅人が主要な客層で、日が傾き始めてからが酒の提供時間であるが、その辺りは店主の裁量と客の要望で変わる。
昼間から飲んだくれた者が入り浸るのは、治安上避けたいという自警団からの要望を聞き入れた結果だ。
4人がエメフラ亭に入ったのは、そんな酒が提供され始めた時間である。
丸テーブル席とカウンター席がまばらに埋まっており、満席になっても50名ほど座れそうである。
軽装で座っているのは町民だろう。チュニックのようなものは、こちらでの普段着だろう。
カウンター席とテーブル席に合わせて5~6人いるが、いずれも人間族だ。
皮鎧やマントを身に付けているのは冒険者のようだ。
1人という者は少なく、大抵は4、5人で固まっていて、酒をあおっている者が多い。
人間族もいれば、アルザのような獣人系の亜人もいる。小柄で筋肉ムキムキなのは恐らくドワーフだろう。この世界での呼び方は知らんけど。
酒場に入った途端、4人に幾つかの視線が向けられる。
女性客が珍しいのか、様子を窺うような視線が多いが、獣人やドワーフ系の客からの視線が特に熱い。
「ラナちゃん」
ローザが私を小声で呼び、自身の耳裏あたりを軽く叩く。
スッと背筋を伸ばしてフェロモンを抑えるように意識すると、亜人の客達は首をかしげながら、視線は手元の酒や料理に移っていった。
チラチラとこちらを窺う視線はまだ感じるが、先ほどの騒動を見ていた者もいるだろう。
余計なちょっかいを仕掛けられる心配はないと思いたい。
「いらっしゃいませっ!3名様ですか?」
ウェイトレスだろう。芯の強い、よく通る声が響く。
『ここにもう1人いるぞー!』
クスクスが抗議の声を上げると、ウェイトレスは一瞬目を見開いたが、そこは流石にプロ。
「大変失礼しましたっ!愛らしいフェアリーのお客様を合わせて4名様ですねっ!こちらへどうぞっ!」
さりげなく持ち上げつつ案内をする。
抗議の声を流されたがクスクスは満更でもなさそうだ。
『私フェアリーじゃないんだけどなー、精霊よ?霊木の精なんだからね?』
うん、分かったから髪引っ張るの止めてね。
壁際の丸テーブルに案内された私達が、それぞれ椅子に腰掛けると、クスクスは私の胸元からテーブルの上に滑り降りた。
『何があるの?』
壁に貼られたメニューは木彫りで、テーブルにもT字を逆さまにしたような木彫りのオブジェがある。
恐らくアルコール類のメニューだろう……読めないけど。
文字が読めないのは困る。これではどんな料理があるのか分からない。
他の3人の注文を観察して、なんとかやり過ごそう。
私の心の声を知ってか知らずか、ウェイトレスを呼んだアルザの注文はこうだった。
「とりあえず肉っ!」
は? とりあえず肉って何よ、肉って!? とりあえずビールみたいにメインディッシュ頼むの止めてっ!
アルザのあんまりな注文方法に固まる私。それに気付くことなく、クスクスが注文を続ける。
『私は肉食べないから、とりあえず果実っ!いろんな種類があるのがいいっ』
お前も適当な注文だなっ!「あ、はいっ季節のフルーツ盛り合わせですねっ!」と返したウェイトレスの女の子に心の中で賞賛を送る。接客業としてのプロ意識を感じる。
しかし、流石にフルーツの盛り合わせだけでお腹が膨れるのはクスクスだけだろう。
個人的にはもうちょっとお腹に溜まるものを食べたいのだが……とローザの注文を観察する。
「そうね、オーリンの果実酒を……マシッド産のものがあればそれで。後はそうね、香草のサラダと……あぁ、ドレッシングは少なめにして頂戴」
ローザはテキパキと注文していく。アルザやクスクスのそれを見あと後だと実にスマートだ。
ラナちゃんも遠慮しないでいいわよ、とこちらを見て微笑んでくる。まぁ遠慮してた訳じゃなく、メニュー読めなかっただけなんですけどね。
「あ、じゃあ私も同じものを」
結局頼んだのは、果実酒とサラダ、少量のパンと揚げ料理だった。
食事が始まる。
アルザの「とりあえず肉」という注文で出てきたのはまさに肉の塊だった。
2cmほどの分厚さに切られた色とりどりの肉が、こんがりと焼かれて巨大な皿に積み重なっている。
呆れた料理だが、アルザも負けず劣らずの呆れた奴で、こちらを向いてサムズアップなんてしている。この量が食べ切れるのか……
『ラナーこれあげる』
クスクスの頼んだフルーツの盛り合わせは、すり鉢上の器にまだ半分ほど残っているが、私の皿にぽこぽこと放り込んでくる。
『替わりにその野菜ちょーだい』
満腹になったわけではなく、食べ飽きたので別のものが食べたくなったらしい。
果実酒が小さな樽に取っ手がついたようなジョッキに入って出てきた。陶器やガラスの器はあまり普及していないようで、食器はナイフやスプーンを含めて木製のものが多い。
「マシッド産のオーリン酒はなかったようね。甘味が強くて飲みやすいのだけれど」
ちょっと酸味が強いわね、と言いつつローザが飲んでいる。
確かに酸味が強いが、それなりに甘みがあって、塩味の効いた揚げ料理食べる分にはあまり気にならない。
揚げ料理は、ミートアンドチップスといった感じで、芋のようなものと鶏肉っぽい味のものを揚げた後、衣から油をある程度切って塩を振ったような料理だ。
サラダは・・・まぁ普通のサラダだ。
春菊のようなものと、短冊に切られた大根や人参に似たものをドレッシングで和えており、葉野菜を敷き詰めた皿に盛られて出てきた。あと、春菊もどきはクスクスとの物々交換で食べられた。
「……ふぅ」
ジョッキの果実酒を残り1/3程度まで飲み進めたが、全く酔う気配がない。向こうにいたときは缶チューハイ2杯程度で、結構酔いが回ったんですけどね。
「あら?もう1杯頼む?」
「いや、結構です。酔っちゃうと少し怖いですし」
そうかもしれないわね、とローザの声を聞きながら見ると、アルザは4皿目のお替わりを注文していた。クスクスは横から果実酒にちびちびと手を出していたが、現在私の肩まで上ってきて引っくり返っている。うん、クスクスさん、イビキが少々うるさいです。
「ローザさんご馳走様です」
「あらお粗末様。でもこれから一緒に生活するんだもの、挨拶のようなものよ」
エメフラ亭から出ると、ローザは少し上気した顔で、そっと腕を絡めてくる。あの、腕は別に組まなくてもいいんじゃないでしょうか?
「ふふ、誘惑しているだけよ?」
甘い息がかかる。
「あんまりひっつくなよ、色魔っ!」
反対側から私にしがみ付いてたアルザが、話している方の手でローザを押しやろうとする。
「あら?食事代を出したのは誰だったかしら?」
食事代と酒代はローザの全オゴリだった。
「むぅ・・・あ、冒険者ギルドに行くのは明日になるな」
分が悪いと見たアルザは話題を変える。
「水の時間に入ったら、冒険者ギルドは大体込み合うんだ」
水の時間とは、およおそ午後5時から11時にあたるらしい。1日を4分割にし、それぞれ風、火、水、土と名づけられているそうだ。
更に細かな時間はこれを4分割していくらしい。水の1刻目、水の2刻目といった感じだ。
冒険者ギルドを利用する冒険者達は、午前から午後に掛けて依頼をこなし、夕方以降にギルドに報告に戻り、報酬を受け取るのが一般的のようだ。
「えと、じゃあどうしましょうか?」
「宿を取らないとな、2軒しかないから冒険者どもがギルドにいる間に部屋を取るんだ」
「ふふ、宿代も任せて頂戴」
お礼の言葉を述べると、
「気にしないで、2人の門出だもの。いい部屋を取りましょう」
「こらー!私もいるんだぞ色魔!」
流石に看過できなかったのか、今度は私とローザの間に入って私の腕を奪い取る。
「あら?食欲ばかりの駄犬は、野宿で問題ないのではないかしら?」
また始まった……2人の間に火花が見える。
「あの、アルザもローザさんも抑えてくださいよ」
衆目を集め始めた事で、流石に私も止めに入る。ちなみにクスクスはまだ寝てる。ホント役に立たねぇ。
「……冗談よ」
逆側に回ったローザは私の腕を再び取る。
「……ふんっ」
対抗するようにアルザが腕を絡めてくる。
前 門の狼ことアルザっぱい、後門のスライムことローザっぱい。逃げ場のない状態に冷や汗……ちょっと嬉しくもあったんですけどね……をかきつつ、宿屋「エメフラ一番宿」に到着した。
◆
【エメフラ一番宿】
◆
「いらっしゃい!3人かい?」
受付にいたのは、やや大柄なスキンヘッドの男だ。チュニックの胸元からはガッシリとした筋肉が見える。
ちなみに宿屋に到着する前に2人は引き剥がした。
女3人絡み合って宿屋に入るとか、どう解釈されるか考えると怖過ぎる。
「ええ、3人と……あと妖精が1人いるのだけれど、宿賃はどうなるのかしら?」
「妖精だろ?タダでいいよ!」
妖精用のベッドなんて置いてないしな、と受付のオヤジは豪快に笑う。
「悪いが3人部屋ってのはなくてな、ベッド4つの部屋か2つの部屋どっちがいい?ダブルサイズのベッドが置いてある部屋もあるぞ」
女同士だからか、受付オヤジは当然のように言う。えーと、この3人に体を狙われているんですけど?
「ダブルのある部屋にしましょうか」
ローザがにっこりと笑う。
「あと、部屋にお湯を運んでもらえるかしら」
「別料金になるがいいかい?」
「ええ、結構よ。3人分お願いね」
「コイツが鍵。右に入って手前から5番目の部屋だ。貴重品は自分で管理してくれよ」
オヤジは終始ニヤニヤしていた……まぁローザもアルザもスタイルいいしね。気持ちは分かる。
部屋は思っていたより広かった。
右の奥手に大き目のダブルベッド、手前にシングルのベッドがあり、左手には壁際に備え付けられた簡素な棚のようなテーブルと、木製の椅子が2脚置いてある。
「さて……」
私が椅子に腰掛けると、それぞれ別のベッド座ったアルザとローザがこちらに向き直る。クスクスはまだ爆睡していたので、そのままベッドに寝転がしている。
「さっきの戦闘の件について、話を聞かせてもらいましょうか?」
まぁ、妙な変身されたりしたら、気になるのは当然ですよね。
「いやいや、アタシから聞くぞ?あの短剣をぶっ壊したの「居合い」だよな?どうやって身に付けたんだ?」
「え?」
「なんだよー、一回腹に刺さりかけた短剣を、あそこから破壊できるようなスキルは、アタシは他に知らないぞ」
んー、あれは気がついたら、ああなってただけなんだよね。『ティル・ナ・ノーグ』でもそんなスキル取ってなかったし、モンスターテイマーでシビリアンですよ?
というか、やっぱりこの世界にもあるんだ、スキルって。
「なんだラナ?もしかしてスキル知らないのか?」
アルザが拍子抜けしたように言う。はい、すみません。
あ、それじゃあの変態が瞬間移動っぽく動いてたのは?
「ああ、あれは瞬動だな、アタシも使えるぞ」
それは、かなり私の貞操が危なかったんじゃないでしょうか? 相手が舐めプしてくれて助かったワケだ。
いや、まあ私の見通しが甘かっただけなんですが。
「うんにゃ?まぁ痺れ薬だっけ? あれがなかったら、相手が勝つ要素もなかったし、気にしなくていいと思うんだわ」
「それじゃ、どうやって斬ったかも覚えてないのか?」
う~ん、確かに気がついたら相手の武器が粉々だったもんな。意図的に使えたら便利だと思うんだけれど。
「まぁその辺りは要訓練だわ。スキルは体で覚えるもんだからな」
あと、ローザ曰く特定の血族でないと使えないスキルもあるらしい。
代表的なのは上位吸血種の血霧化や、竜人族の竜鱗などは、他の種族では身に付けることができないらしい。
「まぁアタシにできるスキルなら、時間を見て教えてあげるんだわ」
「ただ気になるのは……」
ローザが唇に指を当てる。
「ラナちゃん冒険者志望なのよね?スキルの訓練や、低位の魔法の訓練くらいしておくものだと思うのだけれど」
この世界において、私の持つ身体能力が高いのは見られている。
確かにそれだけ体を鍛えた人間が、重要な戦闘技能を身に付けていないのは理屈が合わない。
うーん……どう説明しよう。異世界モノのお約束で乗り切られればいいんだけれど。
「実は気が付いたら、クルワットの森でクスクスに保護されていたんです」
「気が付いたらねぇ……」
思案気にローザが目を伏せるが、これは嘘じゃない。
「ええ、自分の事はいくらか分かるんだけど、スキルとか魔法とか、常識的な事も、あと時事的な出来事とかも分からないんです」
言葉遊びのようだが、これも嘘は言ってない……はず。
折角ここまで手を焼いてくれたのに、異世界の話をしないというのは忍びないが、荒唐無稽過ぎると逆に疑いをかけられてしまう。
正直に言うと1人になってしまうのが、離れられるのが怖い。
この世界の常識も分からず、文字も読めずにサバイバルしながら、元の世界に戻るのは難易度が高過ぎる。
「うんにゃ。確かにクルワットの森の奥地の迷いの魔法は、かなり強力だしな。頭の中がぐちゃぐちゃになって、元に戻れないヤツもいる。森で迷ってクスクスに拾われたラナは、かなり運が良かったんだと思うわ」
「そうね。ラナちゃん、そんな寂しそうな顔をしないの。別に見捨てたりしないわ」
私の表情を察したのか、ローザとアルザがフォローを入れてくれる。嬉しいのか、それとも罪悪感からか、微笑みかけてくれる2人に胸が痛くなる。
「こんな美味しそうな匂いのは、他にいないからな」
「こんなおいしそうな匂いの娘は、他にいないもの」
結局そこかい!
「それじゃあ私の質問をするわね?」
やはり私が戦闘中に猫の亜人に変化したことだった。
「なんだ?元々猫人族じゃないのか?耳とか尻尾は見えないけど、幻術が使えるヤツが多いはずだ」
「違うわね。昨日の夜にイロイロしたでしょう?猫人族が変化しているような、マナの動きはなかったもの。ラナちゃんは間違いなく人間族。もしくは私達の知らない種族ね」
言わんとすることは分かる。
夜に宿屋で話を聞くと言ってくれたのは、まぁ亜人差別がある世界故の、相手の出自を気遣った配慮だったのだと思う。
ローザ自身が希少なエルダーアシッドスライムだし、希少種が生体実験の材料になるとか、ゲームや小説でも良くある話だしね。
「それほど大したものじゃないんですよ、あの変身」
まぁ「ライカンズローブ」に関しては隠すつもりもないので、素直にバッグから取り出す。
「これが猫人族に変身した理由です。ちょっとヘンな追加効果がありますけど、強い副作用のあるものじゃないです」
言いつつ、私は取り出したローブをそのまま首に巻きつける。
「ほほー」
ネコミミ少女、もとい猫人族に変化した私を見て、アルザが嬉しそうな声をあげる。狼人族だけあってケモナーなのかもしれない。
「驚いたわ、確かに何かを首に巻きつけていた気がしたけれど、そんな効果のアイテムを持っていたのね」
「はい、ただ副作用として怒りっぽくなります。昼間もかなり苛々しましたし、長時間装備していると、我を失って周囲を攻撃し始めたりする可能性があるかもしれません」
昼間に装備した時に感覚と、ゲームの知識を合わせ、差しさわりのない程度に説明する。
「少し借りても良いかしら?」
「あ、はい。長時間の装備は危険かもしれないで、できればすぐに外して下さいね」
「ええ、分かったわ」
ローザがそれまで装備していた黒のローブを脱ぎ、手渡されたローブを首に巻きつける。
「何も起きないぞ」
「そうね。何らかの魔力付与、というより呪術付与がなされているのは分かるわ。私では条件が合わないのではないかしら」
バーサクが付与されるのは呪い扱いになるのかもしれない。
実際バーサク率が溜まったらカースバーサクなんて状態になる訳だし。
「まぁ。私達では解呪なんてできないから、装備するのあまりお勧めはしないわ」
確かに、昼に使ったときは多少苛々した程度で済んだけれど、実際に制御できない状態になってしまったら、この世界に縁戚のない身の上としては、命取りになりかねない。
「まぁおおよそ納得したわ。あぁ、別に疑いたかったわけじゃないの。気になっただけよ?」
私は頷いて、手渡されたローブをバッグに仕舞った。
会話が一区切りついた段階で、部屋の扉を叩く音がする。
『あの、お湯と布をお持ちしましたー』
12~13歳と思われる女の子が、桶を持って入ってくる。
合計3つの桶と、真新しい麻布を運び終えると、
『失礼しましたー』
勢い良く頭を下げて、部屋を出て行った。
このお湯はあれだ、世界史の授業で聞いたことがある。
お風呂が一般的でない頃は、湯や水を使って体を拭くのが日常的だったと言うやつだ。
「よーしラナ! 今日は大変だったろ?アタシが拭いてやるよ!」
へ?
「あら?いい提案をするわね。私も一緒に拭いて差し上げましょう」
2人の目が光った……気がした。
いやいや! 結構ですよ?
「遠慮するなって」
「遠慮は結構よ」
いい笑顔の2人が、麻布を持って近づいてくる。
「――――――――――――――――!!」
その日、エメフラの町に声なき声が響くのだった。
つづく
ブクマ、評価ありがとうございます。
なんとか2桁話数まで来ることが出来て一安心です。
今後もお楽しみいただければ幸いです。