7.侵入する者
なんか、他の作品より見に来ている人が少ないなー。
まだ数話しかないからなのか、王国奪還というタグが息をしてないから?
理由はわからないけど、次の章に入ったので、沢山の人に見てもらえるように頑張りたいと思います!
では、どうぞっ!!
イクス達は馬車でライゼオクス王国へ向かっている時、ある場所ではーーーー
「全員、いるな?」
「はい、大丈夫です。目撃者はゼロです」
ここはライゼオクス王国の街の中であり、今は明かり一つもない夜で、黒い装飾を着た男達が何人か集まっていた。ある目的を達するためにここへ向かった者であり、隠密を得意している実力者だ。
二人目が言っていたように、目撃者を出さずにここまで来れたのだ。もし、目撃されても、目撃者は殺すので目撃者は始めからいないということになる。
「では、行くぞ」
仲間達も全員いるので、次の段落に入る。また一人一人とここから闇に紛れて消えていくのだった。
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一週間の馬車生活を終わらせ、ようやく我が家であるライゼオクス王国
に帰ってきたイクス達。
「疲れたな……」
そう呟くレクアだったが、王城の前で待っている者がいることに気付いた。
「お帰りなさい」
「お疲れ様でした」
待っていたのは、お留守番をしていた守護七騎王の2人で、爽やかな青年のジラドと老翁のロマンス。ジラドは青髪で美形なので、街の娘達に人気がある青年である。ロマンスは守護七騎王になって、30年程になる。
守護七騎王とは、7人の最高戦力である騎士の意味で、今の守護七騎王の強さを超える者が現れたら、現守護七騎王を倒すことで入れ替わることもある。
今のフェアルークの護衛であるサリナも初めは普通の兵士だったが、類稀な強さで、守護七騎王の1人に挑み、勝ったから入れ替わったのだ。負けた元守護七騎王はもう守護七騎王ではなくても、騎士として現役でいられるのだが、サリナとの戦いのせいで怪我を負って騎士から引退して隠居している。
ちなみに、守護七騎王に挑むには、ある条件が二つあり、誰でも挑めるわけはないのだ。その二つとは、挑みたい者以外の守護七騎王から推薦とライゼオクス王国に対する忠誠心を試すテストを合格する必要があるのだ。
忠誠心がないのに、護衛をさせるなんて、暗殺者よりも危険なのだから厳しく見ている。
サリナの場合はミジェルが推薦をし、テストにも合格したから挑めたのだ。
そのようなルールがあり、ロマンスは守護七騎王の地位を30年も守って来た実力者である。さらに、魔法主体で戦うのもあり、宮廷魔術師とも選ばれている。
ここには守護七騎王の全員が集まっており、全員が集まったのは久しぶりのことだ。
「2人とも、お留守番をありがとうね。何か問題は起こりませんでしたか?」
「いえ、問題なんて、ギルドで小さな喧嘩があったぐらいで平和なものでした」
「よろしい」
フェアルークがライゼオクス王国での状況を聞くが、ジラドは問題はないと答えた。
「では、今日はゆっくりしましょう。長旅で疲れているのでしょうから」
「そうだな。ほぼ一日中、馬車に揺られていては、なかなか疲れは取れないだろうしな。3人共は早めに寝て置くといいぞ」
「父上もですからね」
この中で一番疲れているのは武闘会に出たシュヒットだろう。イリーナはまだまだ元気を有り余っており、これから兵士達を扱きに行くかーと独り言を言っているぐらいだ。
「そうだよー。お父さんも早く寝なよっ!」
「俺も2人の意見に賛成だな」
レミアードとレクアも父親が疲れていることを見抜いており、言われたシュヒットは頬をかきながらわかったと答えた。
「ふふっ、息子達に言われては、父親としては形無しですね」
「疲れているのを隠せていると思っていたんだがな……」
皆は王城の門辺りで解散し、イクスは1人で自分の部屋に戻っていく。外は商人が祭りから帰ってきたのか、盛況で煩いとまでは言わないが、様々な声が上がっていた。
イクスの部屋
「……ふぅ、少し疲れたかな?」
イクスは久しぶりのベッドに倒れこみ、息を吐く。
少し疲れていたが、嫌な疲れではなく、心地よい疲れであった。楽しかったと思ったから、その疲れだろう。
(明日からはいつもと変わらない日々が続くか。レクア兄さんは暇だーと言いそうだけど、俺はこのような平穏な日々が嫌いじゃないんだよなーーーー)
平穏な日々がずっと続けばいいな。とイクスは眠気が襲って来るのを受け入れて、目蓋を閉じようとしていた。
だが、現実はそれを許さなかった。
何故なら、近くから爆発音が聞こえたからだ。
「な、何が!?」
眠気はぶっ飛ばされ、飛び起きたイクスだった。音は外から聞こえ、窓を覗いてみると王城まで通る城門が火に包まれているのが見えていた。
「魔法の暴発……?」
イクスは魔法の訓練をしている人が誤って門を破壊してしまったのかと考えたが、それは間違いだと2発目の爆発が教えてくれた。
つまりーーーー
「敵襲か!?」
すぐにそう判断して、武器を組み立てる。すぐにミジェルがいる場所に向かって、敵を撃退しようと動く。だが、扉が誰かの手によって開かれたのを見て、警戒する。
「おい!無事か!!」
「ジル?」
扉から現れたのは味方で、レクアの護衛であるジルだった。
「たまたま近くにいたから寄って見たが、無事みたいだな」
「ああ、すぐに敵を探しに行こうと思ったが、先にレクア兄さんを探した方がいいな」
レクアの護衛がこっちに来てしまったので、レクアを先に探そうと考えた。レミアードはイリーナがいるのだから、大丈夫だが、ミジェルはこっちに向かっている可能性が高いからレクアは護衛がいない状態になってしまう。
「レクア兄さんの所に行こう!」
「まぁ、本当ならそうだろうがな……」
「ジル?」
ジルが動かない事に訝しむイクスだったが…………
「がぁっ!?」
なんと、ジルがイクスの鳩尾に拳をぶち込んでおり、イクスはズルズルと身体が沈んで行き、意識も沈もうとしていた。
「少し寝ていてくれな」
「な、なにを……」
意識がなくなっていく中で、最後に見たのは、口を歪めて笑っているジルの顔だった。
「よし、気絶したな。向こうは上手くやってんだよな?」
ジルは意識が途切れたことを確認した後に、イクスを肩に抱えて部屋を出る。
別の場所では…………
ーーーーーーーーーーーーーーー
「まさか、貴女が裏切るとはね………………イリーナ?」
王の間でフェアルークの前に立ちはだかるのは、イリーナと黒い装飾を着た男が数名。男はレミアードを人質にし、シュヒットも床に抑えられていた。そして、イリーナはフェアルークに槍を向けていた。
「だったら、どうする?」
イリーナはニヤッと笑っていた。こっちには人質が2人もいて、人質が側にいれば、フェアルークの最強魔法である『生命魔法』を使えば、巻き込む可能性があると考えているから余裕があるのだろう。
「一体、貴女の目的は何なの?」
「さぁ?アタシは雇われているだけだし、命令を聞いてやっただけさ」
「貴女が主じゃない?なら、誰なの?」
フェアルークは魔法を発動出来ないのか、話を続ける。イリーナは良い方で言えば、真っ直ぐ。悪く言えば、正直過ぎるのだ。
「あん?アタシの雇い主なら……」
「イリーナ様」
答えようとしていたイリーナを止める黒い装飾の男。様を付けていたことから、イリーナの方が格が上のようだ。
「これは言っては駄目なことだったっけ?どうせ、死ぬんだし」
「それでもです。万の一に逃がしてしまったら後が面倒ですので」
「へいへい、わかったよ。誰か教えなければ問題はねぇよな?アタシは王女の護衛なぞの暇な役割をやりたくて守護七騎王になったわけねぇ。アタシは戦うのが好きだから、戦争が起これば前線で戦えると思って守護七騎王になったが、何も起こさねぇから裏切ったわけだ」
「……まさか、戦争を起こすつもり?」
「そこまで詳しくは教えてやれねぇな。さっさと殺してやるよ」
イリーナは話を終わらせて、突っ込んだ。銀製の槍がフェアルークの胸へ吸い込まれ…………………………………なかった。何故ならーーーー
「なっ!?」
「下郎が、この状況にしただけで、私は魔法を使えないと思っていたのか?」
フェアルークの手には、実体がないボヤけた剣でイリーナの槍を止めていたのだ。そのまま、イリーナを元の場所へ吹き飛ばした。
「ちっ!『生命魔法』は強大な魔法しか使えないんじゃなかったのかよ!?剣を作れるなんて、聞いてねぇぞ!!」
「他の人にはあまり見せてないから、貴女は知らなかったようね?レジェンドクラスは貴女の言う通りに強大な魔法だけど、それは制御が難しいから初めの頃は強大な魔法しか使えなかったのよ。だけど……」
フェアルークは額の紋章を光らせ、次の魔法を発動する。今回、放った魔法は”宝樹の吸命”であり、生命を吸う樹を生み出す魔法。
「私は200年は生きているわ。今ではこのように、細かい調整も出来るようになっているわ」
フェアルークが先にやったのは、イリーナと人質を取っていた黒い装飾の男達を樹の枝が伸びて突き刺そうとしていた。
「ーーっ!」
「さすが、守護七騎王に選ばれることはあるわね」
先程の攻撃を避けれたのは、イリーナだけで黒い装飾の男は全員刺されていた。脚だけ刺されていた者もいたが、この攻撃は掠っただけでもアウトなのだ。
「何、老けていくだと?」
「シュヒット、レミアードをお願い!」
「ああ!!」
イリーナは黒い装飾の男が老けていくことに呆然としている隙に、シュヒットはレミアードの側に向かった。フェアルークの魔法は生命を司る魔法であり、老けて行ったのは寿命を樹に吸い取られたからだ。
「ヤベェな。だが、強い者と戦えるならここで死んでも本望だぜ」
「残念ね。貴女じゃ、私を殺せないわ」
イリーナは目をギラギラと輝かせ、槍を構える。フェアルークも剣を構える。
と、そこに乱入者が現れた。
「フェアルーク様!!」
「ミジェルか。イリーナは敵だから。後、貴女はシュヒットとレミアードを守っていなさい」
「了解しました!!」
ミジェルはフェアルークの言う通りに2人の側に向かっていく。これで守りは完璧になったことで、フェアルークはイリーナに集中することが出来る。のだったが……
「何を笑っている?」
イリーナは先程と違って、ニヤニヤしていた。こんな場面でニヤニヤする理由がわからないフェアルークだったが、たった今、わかるようになる。
レミアードの悲鳴によって。
「お父さん!?」
レミアードの悲鳴が聞こえて、そっちに目を向けるとーーーー
「なっ…………!?」
「これで、シュヒットは終わりです」
ミジェルがシュヒットの心臓を剣で突き刺していた。さらに、突き刺した剣を抜いて、シュヒットの首を斬り落とした。
「ーーーーあ、あぁぁぁあああぁぁぁ!!」
フェアルークは怒り、悲しみが混ぜ合わせた悲鳴を上げて、ミジェルに攻撃しようと動いたが、
「こうなれば、女王も終わりですね」
フェアルークは怒りで我を忘れており、剣の単調な攻撃になっていた。それがミジェルの狙いで、ミジェルの役目は終わっていた。フェアルークの後ろには、エースであるサリナが立っている。一瞬でサリナはフェアルークの後ろを取って…………
「さようなら」
フェアルークの首を一撃の元に斬り落とした。