4.軽い騒ぎ
本日一話目です。
メイとライちゃんの芸技を見終わったイクス達は、次の屋台へ向かって、レミアードの手には食べ物ばかりだった。レミアードという妹は、可愛らしい容姿を持った少女であり、手に持つ食べ物達に似つかわしいようだが、食べるのが好きで、兄であるレクアとイクスよりもよく食べる。
子供の内に沢山食べるのはいいが、女性なら体重が気になる歳でもある。だが、レミアードは兄より沢山食べているのに、体重は全く変わらず、スリムなままで他の女性が羨むほどである。
「珍しい食べ物ばかりで、美味しい!!あ、イクスお兄様も食べますか?」
「いや、いい。見ているだけでも、お腹が一杯になりそうだ」
「アタシは荷物持ちかよ……?ミジェルも手伝ってくれよ?」
イリーナは、レミアードが持てない分を持っており、手が塞がれていた。
「駄目です。私達2人が護衛を出来ない状態になったら、誰がイクス様とレミアード様を守るのですか?」
「そこら辺の奴らなら、手が使えなくても、脚で潰せばいいだけさ」
イリーナは言葉通りに、誰かがイクスとレミアードを狙って来ても、脚だけで充分と考えている。彼女も守護七騎王の一人なのだから。
「いえ、それでもです」
「へいへい、手が空くまでは護衛は任せるよ」
「そのつもりです」
「次はあの屋台に行きましょう!!」
「勘弁してくれよ……」
レミアードが指を指した先には、食べ物系の屋台があった。つまり、まだまだ食べるつもりなのだ。荷物持ちであるイリーナは、また食べ物が増えることに、溜息を吐いていた。
イクス達はレミアードに着いて、目的の屋台に向かおうとした時、ここから離れた場所から「ひったくり!!誰か捕まえておくれ!!」と声が聞こえた。そっちに目を向けて見ると、膝から倒れているお婆さんと、こっちへ逃げて向かってくる男の姿があった。左手には袋を持っており、右手は『火炎魔法』で周りの人を脅すように、炎が包まれていた。
袋はお婆さんから盗んだ金が入った袋をだろう。イクス達はお忍びでここに来ているので、ここで目立つ必要はないのだが、たまたまこっちへ向かっているので、迎撃は必要だろうと、ミジェルに指示を出そうとした。だがーーーー
「煩い」
「がっ!?うぎゃぁぁぁぁぁーー」
既に状況は収まっていた。イクス達より前にいた男が面倒そうに背負っていた男が大剣の腹で顔を叩き、炎に包まれていた右手を切り捨てていた。
「ほう、あの人はできるな」
「はい、高い実力をお持ちのようですね」
見ていたイリーナとミジェルは場を収めていた黒いマントを着けている男は高い実力があると判断したようだ。何故なら、いつ右手を切り落としたのかわからなかったのだ。イクスも含めて、皆にも見えていなかった。
顔を叩かれた後に、右手が落ちたから、顔を叩いた後に斬ったと思っているだろう。
だが、ミジェルとイリーナだけには見えていた。
「先に右手を切り落としてから、顔を叩いていたよ。剣のスピードは凄まじいなー」
「あの格好は冒険者でしょうか?」
「やはり、世界は広いな」
イクスは強い者である守護七騎王や母親に父親が周りにいる状況で生きてきた。他に強い者がいようが、母親、父親、守護七騎王よりも強い人などはいるとは思えなかった。だが、ミジェルとイリーナが認める程の人物がいて……
「ーーっ!?」
その人物が、イクスを見て、ニヤッと、小さく口を歪めて笑っていた。その笑みはイクスだけに向けられたモノで、ミジェルやイリーナは気付いていなかった。そして、黒いマントを着た男はここを去って行ったのだった。
「なんだ、あいつは……?」
「どうかしましたか?」
「ーーいや、なんでもない。場は収まったから、屋台に向かおう」
「うん!そんな事件よりは食べ物だよっ!!」
「レミアード様は、王女様なのですから、帝国内でも少しは気にしてやれよ」
イリーナはまた溜息を吐きたくなる気持ちだった。このような小さな騒ぎがあったが、腕を斬られた犯人は、帝国の騎士に捕まり、魔法を封じる牢屋に入られたのだった。
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祭りは二日目になり、皇子達が帰ってきた。ハザード皇帝の言う通りに三日目の前に帰ってきたのだった。
レクアとイクスは早速、ダリウス皇子とライカ参謀へ挨拶をしに行くことになった。
ここは、皇子が休んでいる部屋。そこに、レクアはノックをせずに扉を開け放って中に入ったのだ。
「よおっ!元気にしているか!?」
「ーーーーおい、いつも入る前にノックをしろと何回も言ったろ。レクア殿?」
部屋の中にいたのは、金髪で、つり目をした美男子。剣を向けているが、ノックをせずにドアが開いたから、警戒をしていただろう。相手がレクアとイクスだったことに、剣を鞘に納めた。
「かってぇよ!?俺とお前の仲じゃねえか?呼び捨てでいいんだよ……。というか、お前の方が歳上だろ?」
「ほぅ、レクア殿に歳上、歳下なんかを気にするとは驚きだぞ?だったら、私のことを殿かさん付けで呼べ」
「無理だね。ダリウスはそのまま、呼び捨ての方が楽なんだよ」
「はぁ……、もういい」
ダリウスは疲れたように、息を吐く。
「いつもの挨拶で来たなら、これで終わりだろ?私は遠征の帰りで疲れているから、さっさとこの部屋から出て行け」
「いつもように、つれねーな」
レクアはニヤッと笑顔を浮かべて、邪魔者はさっさと出て行くよ~と言った雰囲気で部屋を出て行くレクア。
こんな関係だか、2人は親友であり、こんな応酬で本気になることはない。
立ち尽くしていたイクスに気付いたのか、ダリウスから話しかけてくる。
「イクスか。自由奔放な兄を持って、大変だな」
「いえ、慣れていますので、それほどに気にしていません。ダリウス殿、明日は父上とイリーナを宜しくお願いします」
「やはり、あいつよりは礼儀正しいな。明日のことは承ったぞ。勝つのは私だがな」
ダリウス皇子も明日の武闘会に参加するのだ。武闘会はトーナメント戦であり、もしかしたら父上やイリーナとも戦う可能性もあるのだ。
「では、失礼します」
「ああ、ゆっくりするといい」
イクスも部屋を出て行く。近くの壁に寄り掛かってイクスを待つレクアの姿があった。
「挨拶は終わったみたいだな。それにしても、いつでも固い奴だな」
「そう?俺には普通に話していたけど?」
「ダリウスの奴、お前のことを気に入っている節があるんだよな……」
「俺が?ははっ、あり得ないよ。俺はただの第二王子、権力もレクア兄さんよりも下だし」
「いや、権力すんぬんのことではなく、お前の魅力って奴じゃないか?」
「俺は男色じゃないからお断りしたいんだがな」
「そういう魅力じゃねぇよ!?って、男色って言葉を知っていたな……?」
「ミジェルだったかな?教えてくれたのは」
「あとで、ミジェルて話をしないとなーーーー」
そんな話をしながら、次の挨拶をする相手、ライカ参謀の部屋に向かうのだったーーーー
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次は朝6時です。