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黒き魂を持つ銀髪の少年  作者: 神代零
1章 平穏の日々
3/25

1.挨拶巡り

本日三話目!


今日はここまでですが、感想書いてくれると嬉しいです。

この小説の本質である奪還、復讐などはまだ先になりますので、これからも読んで頂けるとありがたいです。

宜しくお願いします!

 


 ダリアロス帝国に着いた翌日、イクス達はハザード皇帝への挨拶のために皇帝の間に向かっていた。

 服装はいつものでいいと使いの騎士に言われたので、武器だけを預けて、昨日のと変わらない服装で会うつもりだ。


「レクア様とイクス様、護衛の二名様が来られました!!」

「よし、入れ」


 案内の騎士が、ノックの代わりに大きな声で、向こう側にいる皇帝に伝える。入る許可が出て、自動的に扉が開く。どうやって開いているのかは、壁を見れば、ギアがいくつか見えるからギアを使った仕掛けだというのがわかる。皇帝の間には、数人の騎士と、昨日に出会ったクーン大将の姿もあった。


「楽にしてくれ。遥々と遠くから来て頂き、この皇帝からもお礼を申し上げよう」


 王座に座って頭を下げてくる皇帝。厳つい顔をした男性で、見た目は30代と若く見えるが、本当の歳は50を超えている。

 この挨拶は毎年に行われており、王子に頭を下げる皇帝などは珍しくはなかった。


「毎年、元気でなによりです」

「ふっ、ワシはまだやらなければならないことが山積みだから、おちおちと病に倒れている場合ではないわ」

「無理だけはしないで下さいね」


 王子と皇帝の会話ではなく、親戚のおじさんの健康を気遣う子供のようだ。


「そんなことより、今年は去年のと一味が違うわぃ。そこの所は、聞いているか?」

「はい。昨日、母上と父上に聞きました。武闘会をやるとか」

「そうだ、2人は見るだけになるが、シュヒット坊と守護七騎王の1人を貸してもらうぞ」


 昨日に説明して貰った通り、祭りの三日目にダリアロス帝国とライゼオクス王国の武闘会を開くことになる。

 祭りは一週間も続く巨大な催しであり、外では民、商人、冒険者達などが賑わうことになる。


「2人に頼みたい仕事は祭りの開催を祝う挨拶だけだ」

「わかりました」

「毎年のように挨拶をすればいいのですね」


 ハザード皇帝にも息子が1人いるが、終わりの挨拶を頼んでおり、2人には始まりの挨拶を頼むのだ。挨拶をさせることで、同盟国としての仲が良いことを民達に知らせるためのもある。


「皇帝としての話はそれだけだな。何か質問はあるか?」

「はい、ダリウス皇子にも挨拶をしたいのですが、何処にいますか?」


 ダリウス皇子とは、ハザード皇帝の息子であり、まだ23歳に対して、クーン大将と同じ役職に着いている程の武芸者である。


「すまないが、ダリウスはここにいない。ある村で魔獣が襲われたから軍を率いて討伐に行っておる。村人の話では、ランク5の魔獣と聞く」

「ランク5の魔獣か、ダリウスは1人でランク4の魔獣を倒しているし、軍で行ったなら万が一はないだろうな」


 レクアはダリウス皇子とは友人であり、ダリウス皇子の強さを知っているから心配はない。


「おそらく、祭りの三日目までには帰ってくるだろう。挨拶はその時にしておいてくれ」

「わかりました」


 もう話すことがなく、皇帝はまだ仕事があるので、レクアとイクスは皇帝の間を出て行く。


「後は、誰が残っていたっけ?」

「皇子は後回しで、参謀にも挨拶と思ったけど、おそらく皇子と一緒に行っている可能性が高そう。なら、次は宮廷魔術師のエルザ殿に挨拶をするかな。その時に参謀の方はここにいるか聞いておこう」

「まぁ、そうだな。ハザード皇帝に聞けば良かったが、忘れていたな」

「うん、この時期に皇子がここにいないなんて、考えてはなかったし」


 普通なら皇子が行かないで、他の大将に任せればいいのだが、何故皇子本人が行ったのかわからない。考えても仕方が無いので、さっさと挨拶を終わらせようと、脚を動かす。






 ーーーーーーーーーーーーーー






 宮廷魔術師のエルザがいる部屋に着いたのだが…………


「酒臭っ!?」

「そういえば、エルザは酒乱だったな……」


 レクアは今、思い出したように、鼻をつまみながらエルザは酒乱だったことを言う。


「今はもう日がそこまで上がっているんだぞ。まだ飲み潰れたままか、今も飲んでいるのか……?」

「おそらく、前者でしょう。まだ部屋の中が臭うので、空気を入れ替えてはないでしょう」


 今まで護衛に徹して、黙っていたミジェルが答えた。部屋の中に入ろうとしたが、酒瓶が転がっていたので、先にミジェルが入って片付けを始めていた。さらに、窓を開けて空気入れ替えをする。

 イクスとレクアはエルザが何処にいるのか、部屋の中を探していたら、


「変な体勢で、よく眠れるな…………」


 エルザは、すぐに見つかった。のだが、エルザは足をソファーに掛け、身体はテーブルの上に仰向けになっていた。頭だけはテーブルに乗っておらず、テーブルからはみ出ていた。

 物凄い眠りにくそうな体勢で、グースカと寝ている。見た目は金髪の美人だったが、残念過ぎる。


「エルザ殿はまだ20代だったよな?なのに、女性を捨てたような体勢で寝ているんだけど……」

「起こした方がいいか?」

「起こしても大丈夫でしょう。起きなさい!」




 ドガッ!




「ぐべぇっ!?」


 ミジェルが寝ていたエルザを蹴り、テーブルから落とした。仰向けだったため、半回転して、床に顔を打ち付けていた。

 こっちは客の立場なのだが、そんなことをしても大丈夫なのか?と心配していたが、そんか心配はなかったようだ。

 エルザ本人は起きたが、蹴られたことに気付いてなかった。


「うえっ、な、なにが……?あ、ミジェルじゃない。レクアとイクスもっ!!」


 こっちに気付いたエルザは蹴られた脇腹と顔の痛みを忘れて、挨拶をしてきた。


「ええと、こういう時は形式が必要だったよね。ここまで遠くから来て頂き、ありがとうございます」


 ぺこっと頭を下げてくる。それに合わせて、こちらも礼をする。


「形式はこれで終わりでいいよね!……あれ、もう明るい?」


 外を見ると、日が高くなっていることに気付いたエルザ。


「貴女は寝過ぎですよ。さらに、飲み過ぎ。酒臭過ぎる。だらしな過ぎる…………」

「起きてすぐに悪口のオンパレード!?何故か、お腹がいたいし……」


 思い出したように、腹の横を撫でていた。痛みを与えた犯人であるミジェルはなんでもないように、


「貴女が飲み過ぎたからでしょう?」

「そうなのかな……?」


 エルザはミジェルの言葉をアッサリと信じた。王子である2人よりも話をするミジェルだが、2人は何も言わない。ジルも部屋の壁に寄りかかって黙っている。


 実は、ミジェルとエルザは昔からの親友であり、ミジェルが悪口を放ち続けても、エルザは笑って許していた。


「そういえば、参謀は?」

「ん?ライカちゃんのことなら、皇子と一緒だよー」

「そうか」


 予想通りに、参謀は皇子と一緒で、挨拶は帰って来てからになりそうだ。




「もう、今日はやることがなくなったな」

「うーん、訓練所を借りて、軽く運動でもする?」

「おっ、いいな。最近は書類仕事ばかりで手合わせをしていなかったな」

「ミジェルとジルもいいよね?」

「怪我に気をつけるなら、構いません」

「いいぞ。歩き回るよりはマシだしな」


 決まったことで、ミジェルがエルザに向き合い、命令を出す。


「というわけで、貴女が訓練所の許可を取って来なさい。この酔っ払いが」

「最後の言葉は必要なくない!?こんな扱いをするなら……」

「ライカ参謀が帰ってきたら、この惨状を報告しますよ?」

「すいませんでした!すぐにやらせて頂きます!!」


 すぐに謝って、訓練所にいる責任者の元へ向かっていた。ライカ参謀は、経済政治もやっており、給料の計算をしているのも、彼女なのだ。

 この残状を報告されたら、給料削減されるのは目に見えている。


「俺の護衛は最強かもしれん……」

「ああ……」


 王子2人は絶対にミジェルを怒らせないように気を付けようと心の中に留めるのだった。





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