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黒き魂を持つ銀髪の少年  作者: 神代零
3章 軍師を仲間に
24/25

21.ラム村

いつもの時間より遅くなりました。

はい、どうぞ!

 


 ロナン村からラム村まで三日間、歩いて来たイクス達。本当なら三日ではなく、二日で着く距離だったが、ある理由があって一日分を水増ししてあったのだ。

 そのある理由とはーーーー






「はぁ、はぁ、ようやく着いたか……、少しは我も鍛練をすべきだったか……」

「ひぃ、ひぃ、宿まで歩けないーー、イクスー、おんぶをしてー」


 息切れをして、エミーダに肩を貸してもらっているノーラ軍師と杖を支えにするエリザの姿があった。そう、二人は長い歩きの旅に慣れていなくて、二日の距離を三日間掛けて歩いてきたのだ。

 ちなみに、エリザは馬で帝国からホウダ村に向かったのだ。だが、敵襲のせいで馬を回収することが出来なかった。


「もうすぐで村に着くし、ノーラ軍師が周りを見てくれているから警戒は任せても良さそうだな」


 魔物が近くにいても、ノーラ軍師が定期的に周りを見てもらっているのでイクスはエリザをおんぶしても問題ないと判断した。

 イクスは王子だが、時々短い旅のようなことを父親とケイル、ミジェルとしてきたので、あまり疲れはなかった。


「ほらよ、さっさと乗りな」

「えっ、いいの!?」

「お待ちください!!イクスにそんなことをさせるぐらいなら、俺が運びますよ!!」


 ウェダがおんぶをさせようとするエリザを止めていた。イクスは仲間だが、王子でもあるからそんなことわ、させるにはいかないと考えていた。


「えー、ゴメン。ウェダは少し男臭いから遠慮したいかなー」


 バッサリとエリザに断られてしまう。しかも、その理由が男臭いからだ。

 その言葉にショックを受けたウェダは膝と手を地に付いて落ち込んでいた。確かに、罠の山からの旅も合わせて風呂に一週間も入っていなくて、川などで汚れを落としたといえ、臭いまでは完全に消すことは難しいのは仕方が無いだろう。


「確かに、臭いが気になりますね。早く風呂に入りたいわね……」


 リエルは自分のことを言っていたが、ウェダはウェダが臭いと言われたと勘違いして、ぐさっと来たようだ。


「なら、何故俺は大丈夫なんだ?」

「うーん、何故かイクスからは男の特有みたいな臭いがしないよねー」

「うんうん、わかるわ。しかも、私達より甘い匂いがするというか……」


 女性のように匂いがキツくなくて、甘い感じがするという。イクスは中性な姿をしているが、匂いまでも男性より女性に近いと言われ、何とも言えない顔になっていた。

 とにかく、エリザをおんぶして村まで歩くことに。






 ーーーーーーーーーーーーーーー







 ラム村



 ここも獣人の村で、狐人族が多く暮らしている。プラン2になっているなら、ここの宿でケイルと待ち合わせをしているのだがーーーー






「まだ来ていない?」

「はい、私はケイル様を知っていますが、ここに来ておりません」


 まだケイルはラム村に来ていないようだ。守護七騎王は有名なので、小さな村でも知っているのだ。ケイルを知っている宿屋の受付嬢はケイルは来ていないという。

 イクスとケイルが同時にラム村に着くという偶然はないと考えているが、イクスはケイルが先にラム村に着くだろうと考えていたのだ。


「村に着いてから一週間は音沙汰が無かったらプラン3に移ると話したけど、それはないと信じたいわね……」


 エリザが言うプラン3とは、お互いが何かがあって村で待ち合わせが出来ない場合に発動する。

 まず、村に一週間は滞在して出会えなかった時は変わりに任務を務めることだ。もし、イクスなら変わりに本拠地を探し、ケイルはノーラ軍師の元へ向かうとことになる。


「あのケイルが簡単にやられるとはあり得ないから、信じて待っていよう」

「そうだな。まだ一週間はあるからな」

「はい!ケイルさんがやられるとは想像出来ません!」

「旦那は必ず生きています。待っていましょう」


 一緒に戦ったことがあるゼアはケイルを信じている。あんなに強い者があっさりと討ち取られるのは考えられない。


「ここで一週間ぐらい滞在するのはわかったが、我達は何をすればいい?」

「後は自由行動だが、ここからあまり離れないようにしておいてくれ。俺は魔獣を殺して魂を集めなければ、緊急時にガス欠になりそうだから魔獣を討伐してくるよ。もし、帝国が来たら戦うか逃げるのどちらかになる」


 もし敵の人数が少なかったら、戦うのも考えている。


「そうか、我は時々に魔法で周囲を警戒しておこう」

「助かる」


 ノーラ軍師の『遠見魔法』は一キロ先まで見通すことが出来るので、時々でいいので魔法を使って警戒してもらおうと考えていた時、ノーラ軍師が先に言ってくれた。

 これで、村への奇襲などを気にしないでイクスは魔獣を討伐しにいける。


「私も一緒に行ってもいい?」

「リエルが行くなら俺はここでノーラ軍師を護衛している」

「私は疲れたから、寝てるー。怪我に気を付けてよね?」

「私は必需品を買いにいくから、一緒に行けないな」


 結果、魔獣を討伐しにいくのはイクスとリエルだけに。テディアとエミーダはいつも通りにノーラ軍師と一緒にいるようだ。


「あ、先にお風呂に入ってからでいい?」

「まぁ、元から入ってから行くつもりだったから構わないぞ。なんなら、一緒に入るか?」

「ぴょぁっ!?」


 リエルは可愛らしい叫びを上げて、目を大きく開いてイクスを見ていた。




「冗談だ」




 イクスはニヤッとリエルをからかってから風呂がある場所に向かう。からかわれたとわかったリエルは顔を真っ赤にして、「年上をからかうなーーーー」と文句を言いながらイクスを追って行った。


 他の人はやれやれと言いながらそれぞれの部屋に戻っていったのだった。





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