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黒き魂を持つ銀髪の少年  作者: 神代零
3章 軍師を仲間に
20/25

17.弱肉強食

タイトルを『イクス伝記』から『く黒き魂を持つ銀髪の少年』に変更致しました!

よろしくお願いします。

 


 魔獣に囲まれたイクス達は、それぞれの役割を持ち、魔獣と相対している。


「オークか。確か、ランク9だったが5体以上ならランク8に相当すると聞いたことがあるが……」

「ブォォォォォォォォォ!!」


 3体の中、1体のオークが木で出来た棍棒を振り回して向かってきた。イクスは既に”死神の黒鎌”を発動しており、1体ずつ向かってくれるなら楽勝で勝つ自信がある。


「3体もいるのに、1体だけで向かってくるとは馬鹿じゃねぇか?」


 イクスは”魂の共鳴”を使うまでもなく、棍棒ごと両手を切り落とす。オークはあっさりと落とされた両手を見て呆然とし、悲鳴が上がる前に大鎌をくるりと回して、頭を斬り裂いた。


「ブギィッ!?」「ブォ!?」


 2体のオークはこっちを侮っていたのか、あっさりと仲間がやられたことに驚いていた。逃がすつもりはなかったので、イクスから突っ込んで大鎌を振るう。オークは驚きから立ち直って、逃げ出そうとしていたが、もう遅かったようで2体共、横を真っ二つになって倒れた。


「ランク9ならこんなモノか」

「加勢に……もう終わっている!?」

「流石だな」


 リエルとウェダも倒し終わって、こちらの加勢をしようとしたが、もう終わっていたのだ。


「やはり、オーク程度なら5体で向かってきても勝てるな」

「まぁ、数秒で倒していたんじゃ、そう思うかもしれないけど……。油断だけはしないで下さいよ?」

「わかっているさ。俺も命が大事だからね…………っ!?」




 イクスは嫌な予感を感じ、眼を向けると離れた場所を悠々と歩く魔獣が見えた。あそこはまだ通っていない場所で、罠も大量にあるのにヤギに似た姿をした魔獣は罠に掛かる気配はなかった。まるで、何もない山を歩いているように見えたのだ。


「あ、あれは!ら、ランク4のコクウ!?」

「あれがランク4…………」


 向こうはまだこっちに気付いていない。いや、気付かれているが、まるでこっちに興味がないと言うようにコクウの目にはイクス達は入っていなかった。そして、そのまま山の奥へ向かって姿が見えなくなったーーーー






 どっと、エリザは腰を抜かして座り込んでいた。初めて見るランク4の異様な気配に押されて動けなかったが、そのコクウが向こうへ消えて行ったので、安堵のためか腰を抜かしていたのだ。

 イクスも背中に冷や汗をかいており、戦う前から悟っていたのだ。




 勝てないと。




 イクスはランク7までの魔獣に相手したことがあるが、ランク4のコクウとは比べにならない程の差があるのを読み取っていた。


「た、助かった……。ランク4の魔獣はコクウのことだったとは」


 ゼアはエリザのように腰は抜けていないが、精神の疲れから座り込んでしまう。


「さっきのヤギ、コクウと言うんだな?」

「は、はい。ランク4の魔獣で高い実力を持っています。ランク3に迫るほどに……」

「そんなに強いのか。確かにあの気配はおぞましいものだったな」

「ええ、本来ならランク3ではないかと思われている魔獣ですが、魔獣にしては、自分から手を出さないのです。防衛のためか、食事のためにしか敵と戦わないのです。今が食事のために動いていなくて、助かりましたよ……」

「珍しい魔獣もいたんだな?」


 自分から攻撃をしない魔獣なんて、初めて聞いたのだ。いや、お伽話ではランク1のエンシェントドラゴンは知能を持ち、話すことが出来ると聞いたことがある。知能を持つ魔獣ならその可能性もあるが、コクウもそうなのかは判断できない。

 それで、コクウは自分からあまり襲わないのもあり、ランク3ではなくてランク4に定義されている。


「気配も遠ざかったから、先に進もうと思うんだが、エリザは動ける?」

「ゴメン、少しだけ待ってくれる?」


 まだ腰が抜けているので、しばらくここで休んで、出発したのは20分後のことであった。






 ーーーーーーーーーーーーーーー







 イクス達はようやく罠が張り詰められていた危険な場所を抜けて、頂上の近くまで着いた。


「ん、あれは煙じゃないか?」

「あ、本当だ。あそこを目指せば、ノーラ軍師に出会えるかな?」


 少し先に煙が上がっているのが見えた。薪が燃える煙に似ていて、山火事ではないのはわかる。つまり、向こうに人がいるという根拠になる。

 ここにいるのは目的であるノーラ軍師しか思えない。


「ようやく、ノーラ軍師に出会えるわねぇ」

「…………いや、まだ邪魔をする者がいるみたいだ」


 皆は上空の煙に注目していたが、イクスだけは道の邪魔をする者がいることに気付いた。

 その者とは、魔獣であり大きな鎌を持ったカマキリのような生き物だった。


「ランク6のマンティアス!?」


 ゼアは知っている魔獣だったようで、声を上げていた。マンティアスと呼ばれている魔獣は、大きな鎌を四本も持っており、大きさも今まで出会った魔獣の中で一番大きかった。

 三メートルを超えている化け物、これでもコクウより弱いランク6と定義されているのは動きが遅く、攻撃が読みやすいからだ。だが、大きな鎌は驚異になるので、注意は必要だ。




「最後にコレか。コクウ程の気配はないし、邪魔をするなら刈り取ってやるよ」




 イクスは三メートルの魔獣だろうが、前に進むだけだ。黒い大鎌を発動し、マンティアスと相対するのだったーーーー







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