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黒き魂を持つ銀髪の少年  作者: 神代零
3章 軍師を仲間に
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15.魔獣狩り

 


 イクス達は準備を終わらせて、すぐに村を出た。ゼアからの話では、仲間に引き込みたい人物は特殊な場所に住んでいるため、なかなか会えないのである。

 軍師が住んでいる場所は、魔獣が大量に住んでいる山である。他の山と比べて多いだけなら、ゼアは特殊な場所とは言わないだろう。


「あの方は、特殊な場所に住むことによって、人を遠ざけています」

「その呼び方だと、ゼアの知り合いに聞こえるな。それに、人を遠ざけているとは、人と会うのを拒絶しているってことじゃないのか?」

「はい、私は会ったことがあります。あ、名前を言っていませんでしたね。あの方はノーラ・エジェル・クワラールと言います。あの方が人を遠ざけているのは付き合いや交流が嫌だからではないのです」


 さらに、詳しく話を聞いてみると、ノーラと言う軍師はとても頭が良く、前に他の国の軍を指揮をした経験が何回もあってどれも圧勝していると聞いた。現にも、ゼアはノーラが指揮をする軍にいたことがあるのだから、その頭脳は本物だと知っているのだ。

 そのノーラ軍師は軍から引退をして、山に篭ったらしい。理由は軍を率いていた主が変わり、新しく主になった者は駄目な奴で、何度もノーラを夜に誘ったり襲いかかろうとしていたので、軍を引退という意味で辞めて山に篭ったのだ。

 その山が特殊な場所で、もしもそれを越えてノーラのいる場所に着いたら、主と認めて追従すると宣言したのだ。


 その宣言を聞いた国は、軍を送り出したが、辿り着けた者はいなかったと聞く。さらに、生き残りの兵から話を聞くと、ランク4の魔獣がいたと言っていたが、本当のことはわからない。何せ、その生き残り以外は死んでいるのだからーーーー




「ふむ、大量の死者を生み出した山に俺たちが向かっているわけだな」

「それは危険ではないですか!?ランク4の魔獣って、軍で挑む相手じゃない!!」

「こっちはたった5人だけだぞ……?」


 ランク4の魔獣はそれ程に強い相手であり、単独で挑む敵ではない。


「うーん、特殊なのは、ランク4の魔獣がいるからだけじゃないよね?というか、ノーラ軍師は戦えないと言っていなかった?もしかして、他に強い仲間がいるとか」

「はい、そうです。ノーラ軍師には、強力な仲間が2人もいますので、あの山に住めています。特殊なのは、その仲間の1人が罠師であり、あの山はトラップだらけなんです」

「成る程。もしノーラ軍師を仲間に出来たら自動的に強力な仲間も付くわけか」


 それなら、ケイルが仲間に入れたがっていたのもわかる。しかし、ランク4の魔獣はどうしろと言いたい気分だった。

 イクスはまだランク5以上の魔獣には会ったことがないから、どれくらいの強さがあるのかわからないのだ。


「トラップは私が見抜きますので、戦闘はイクス達に任せることになりますが…………、勝てますか?」

「ランク4の魔獣のことを言っているなら、無理だ」

「私は戦ったことがないからわからないけど、ウェダが無理と言うなら、無理かも……」

「ケイルが行けば、ランク4の魔獣でも勝てたんじゃないの?何故、厄介な魔獣をイクス達に任せちゃうのかしら……」


 ウェダとリエルは勝てる自信はないようだ。イクスは『魂魄魔法』があればなんとかなるんじゃないかなと考えていたけど、ウェダの顔を見るには、考えが甘かったかな?と思うのだった。


「とりあえず、ランク4の魔獣がノーラ軍師がいる道への邪魔をしているわけじゃいんだよね?なら、見つけても回避して先に進めばいいんじゃないの?」

「回避出来ればいいのですが、魔獣の動きは予測出来ないですしね」


 もしランク4の魔獣を見つけても戦わないで回避することに決め、山がある場所へ向かう。

 暫く森の中を進んで行くと、ランク9の猪型である魔獣が現れた。立派な角を持ち、高さがイクスの半分ぐらいはあった。


「ブギィー!」

「ここは俺が……」


 ウェダが前に出ようとしたが、イクスに止められた。


「丁度いい。試したいことがあるから譲ってくれ」

「はぁ、構いませんが……」


 イクスが試したいことは、魔獣を殺しても魂を吸収出来るかだ。もし魂を吸収出来るなら、使える魔法が増えるのだ。すぐに強くなりたいイクスは魔獣の魂でも吸収出来ることを願っていた。


「来いよ」

「ブギィー!!」


 イクスが挑発をすると、魔獣は真っ直ぐに突進してきた。魔獣だといえ、身体は猪よりも大きく足が筋肉で膨れ上がろうが、戦い方は変わらない。突進での攻撃が多く、横からの攻撃に弱い。突っ込んできた端に、身体能力が上がっているイクスは簡単に突進を避けて、脚に武器を突き刺す。魔獣はバランスを崩して、倒れそうだったが、ケンケンをして立て直していた。


「これで終わるわけないよな」


 魔獣の脚にアザが浮かんでいたが、動きに支障はなかった。今、魔獣の目の前で魔法陣が浮かんでいた。猪の魔獣、ボアボックは一つの能力サイがある。それを魔法と呼ぶには、自分達と違った種類の能力であり、魔法と呼ばずに能力サイと呼んでいる。


 その能力を使い始めたボアボックは、その魔法陣を通り抜けるとグゥンとスピードが上がったのだ。使った能力は『突破』であり、スピードが上がる能力だが、イクスはボアボックのことを知っていたし、その能力も知っていたので、恐るには足りえなかった。


「それは知ってんだよ!!三ノさんのかた”地抉り”!!」


 イクスは棒の片方の先を地に付けて、一ノ型のように、中心に持つ手は押し付けて、反対は引っ張っていた。地に引っかかっている棒はしなりにしなって、棒が少し曲がっている。突っ込んでくるボアボックのタイミングに合わせて、棒を強く押し出しながら僅かに上へ上げた。そうすると、どうなるかはーーーー





「グボォォォォォウェッ!?」






 顔に当たったボアボックは顔がひしゃげて、それでも足りないと言うように、身体全体がぶっ飛んで木に当たっていた。そして…………、ボアボックは死んだ。


 さっきの攻撃は、簡単に言えば、反動を使った高い威力を持つ叩き付けのようなモノだ。例えば、よくしなる棒を曲げて、急に離すと元に戻ろうと凄い勢いが出る。

 その反動を使った攻撃をした場所は地が抉れていた。だから、名前を地抉りと名付けたのだ。


「終わったか。……っと、人間の半分以下だが、魂は吸収出来るみたいだな」


 試したいことだったことは成功しており、魔獣からも魂を吸収出来た。しかし、魂の質と言う物が人間のよりも半分以下しかなかった。

 強さで魂の質が変わるかわからないが、ボアボック程度では一番消費が少ない”死神の黒鎌”を発動出来ず、身体能力を加算する”魂の共鳴”も使えなかった。”死神の黒鎌”は他の魂も合わせれば、使えるようだ。

 だが、”魂の共鳴”は一人分の魂があれば発動出来るのだが、魔獣の魂では発動出来なかった。


 まだ試すことが多いが、現時点でわかったことは二つ。”死神の黒鎌”は魂の質に関係なく、数があれば発動出来、”魂の共鳴”は魔獣の魂では発動出来ないことだ。

 これからも他の魔獣で試すが、おそらく結果は変わらないだろうなと思うイクスだった。


「どうでしたか?」

「まぁ、まだ試したいことはあるから、別の魔獣が現れたらまた譲ってくれよ」

「そうですね……、複数の場合は俺たちも出ますからね?」

「そうよ、イクスばかりに戦わせられないよーー」


 イクスばかりに戦わせるにはいかないので、複数出た場合はウェダとリエルも戦うことに決まった。


 以後も魔獣に出会うが、問題なく進んで行くーーーー









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