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黒き魂を持つ銀髪の少年  作者: 神代零
2章 奪われる王国
14/25

12.魂魄魔法

本日二話目

 


 イクスが持つ鉄の棒だったものは、黒い鎌のように、棒に刃が付いている。皆はその武器を見て、驚いていた。

 イクスはまだ14歳なのに、魔法を使ったのだから、驚愕しても仕方が無いだろう。


「え、あ、イクス?」


 近くにいたエリザは目を大きく開いたまま、イクスの名前を呼んでいた。


「ウェダとリエルのことを頼みます」


 イクスはそう言うと、先程と違った動きで大鎌を振るう。近くにいた兵の首をあっという間に、切り落としていた。


「なっ、貴様!?」

「殺せ!!」


 仲間が殺されて、驚愕から切り替わって剣や槍を向けて来た。イクスは先程と違って身体が軽くなり、飲む前の状態に…………いや、それ以上に身体を早く動かせるようになったのを感じられた。敵の攻撃を避けーーーー




「一ノいちのかた燕穿つばめうがち”!!」




 この世界にも雀穿ちと言う素手で喉を狙う技があるが、イクスの一ノ型”燕穿ち”は我流で生まれた技である。本来なら鉄の棒でやっていたが、今は刃が付いていて殺傷能力が上がっている。

 まず、大鎌になった棒を肩と同じ高さに構え、横から突き出す。敵からしたら、斜めから大鎌を突き出されているといった感じだろう。それだけなら、後ろに下がるか首を横へ逸らすだけで避けられる。だが、イクスの攻撃はそれだけで終わらない。


「俺の燕は一回だけの攻撃じゃない」


 大鎌の中心を持っている手を力ずくで押し込み、反対の手は引き込む。イクスの持つ鉄の棒はただの棒ではなく、勢いを付ければ、しならせることも可能な柔らかさもある。

 勢いが付いた棒の中心を力ずくで押し込み、反対の手は引き込むと、先が曲がったようにしならせることが出来る。

 刃が付いていなければ、首を折るだけで終わったが、今は刃が付いているので、1人の首を斬るだけで終わらずに周りにいる者も巻き込む。






「なぁーーーー」「貴さーーーー」「がぁっ!?」






 結果は2人の首を落とし、最後は脇腹に刃が突き刺さって止まった。


「やっぱり、いつもより調子が良いな」

「イクス、その刃は……いや、今はこいつらを片付けてからだ」


 ケイルが気になったことを聞こうとしていたが、まず敵を片付けてから聞くことにしたようだ。


「き、貴様!?まだ14歳のはずが、何故魔法を使える!?」

「教えるわけないだろ」

「貴様ーーーー」


 続くジョイン中将の言葉を無視して、イクスはそのまま近くにいる兵を殺して行く。剣で防ごうとした者もいたが、黒い刃は簡単に剣ごと兵を切り裂いていた。斬れ味は結構高いようだ。

 イクスが手に入れた魔法は、『魂魄魔法』で、魂魄は死者の魂と言う意味があり、死者の魂を司る魔法である。コモンクラス、レアクラス、レジェンドクラスのどれかを見分ける方法があり、コモンクラスは紋章が小さくて手の平程度しかない。レアとレジェンドは、紋章が大きく腕なら手の甲から肘まで埋め尽くす程の面積がある。

 では、レアとレジェンドの見分けが出来ないのでは?と思うかもしれないが、確実に見分ける方法ならある。レジェンドクラスの魔法は、発動する際に必ず紋章が光るのだ。


 フェアルークは太陽が放つ光に似ていて、イクスも左手を覆う紋章が黒く光ったことから、イクスの魔法はレジェンドクラスだと判断出来る。

 レジェンドクラスは10億人に1人しか発現しない。

 まさか、レジェンドクラスを持った母親がレジェンドクラスの魔法を使える息子が生まれるなんて、広大な砂漠から小さな宝石を見つけるよりも物凄く低い確率でしかなかったのにーーーー




「死ね」




 イクスは大鎌を振るっていき、次々と兵が倒れて行く。身体能力は前よりも格段に上がっており、前の身体能力では考えられなかった空宙返りをして上空から首を狙うなどの常識外れもやってのける。


「くそッ!”砕け散る落雷”!!」


 ジョイン中将が『雷遁魔法』でイクスを狙って雷を落とす。


「ふん!」


 イクスは近くにいた兵を片手で掴んで、向かってくる雷に投げた。投げられた兵は訳も分からないまま、雷に当たって、イクスには当たらなかった。


「なっーーーー、なんてな怪力だよ!?」

「ふむ、さっきからおかしいなと感じていたが、無意識に別の魔法を発動していたみたいだな?」


 イクスは”死神の黒鎌”を発動していた時、もう一つの魔法を無意識に発現していたのだ。その魔法は、”魂の共鳴”であり、殺した者の身体能力をそのまま加算される魔法だ。

 魔法を発現する前に、イクスは1人の兵を鉄の棒で殺していたので、その者の身体能力が加算されていた。そのお陰で、自身の身体能力に殺した兵の身体能力が合わさったため、常識外れの怪力、身軽さを見せることが出来た。

 もし、他の殺した兵の身体能力をさらに加算すれば…………と考えたが、今は1人分の魂しか使えず、リスクもあるのでそうそうと使えないようだ。


 今まで説明した通り、イクスの魔法はイクスが殺した者の魂を使って発現する魔法である。つまり、人を殺すごとに魂が自分自身の紋章にプールされて、強くなって行くことが出来るのだ。魂が沢山貯まれば、強い魔法も使えるようになるが、リスクもあるので、そう簡単にいかないだろう。

 今のイクスでは、”死神の黒鎌”、”魂の共鳴”ともう一つの魔法しか使えない。だが、今はそれだけでも充分だった。





「後は、お前だけだな?」

「こ、この餓鬼が…………」


 残っている敵は、ジョイン中将だけで回復し終わったウェダとリエルも武器を向けていた。


「この俺を舐めるな!!”迸る雷の龍”!!」


 先程は障害物を排除するために放っていたが、今回はイクス達に向けて放っており、何体かの龍が暴れながら進んでくる。本気で発動したのか、ジョイン中将は息切れをしていて龍の数が多かった。


塵芥ちりあくたとなって、死にやがれ!!」


 イクスはもう一つの魔法で迎撃しようとしたが、ケイルに止められた。


「お前の魔法は発現したばかりだから、無理はするな。後は俺に任せればいい」


 ケイルが前に出て、雷の龍の前に立つ。ケイルの魔法は、身体能力を強化するだけの魔法、『強化魔法』である。

 ケイルが守護七騎王に選ばれたのは、シュヒットの推薦があっただけではなく、使える魔法が強化だけでも、確実に強いからだ。




「ーーはぁっ!!」




 強化した身体で、ただ一線と横を斬っただけ。だが、振るわれた剣は見えなかった。

 見えなかった剣は、確実に斬っていた。




『空気』をだ。




「なにぃ……、本気の魔法がーー」


 ケイルが空気を斬ったせいで、真空が生まれた。その真空は雷の龍に向かい、断ち切った。

 たった一撃で、これだけの雷の龍を全て断ち切ったのだ…………


「く、クソがぁぁぁ!!」


 守護七騎王に選ばれたケイルの実力に恐怖を持ったジョイン中将だったが、咆哮を上げて恐怖を忘れようとする。

 さらに、また魔法を発動しようとするジョイン中将だったが、既にイクスがジョイン中将の側まで動いていた。




「皆の痛みを知れ」




 さっき殺された、獣人の痛みを知れという意味を込めて、ジョイン中将の首を切り落とした。









「……ふぅ」

「良くやった」

「や、やりましたよ!!」

「凄かったです!!」

「どうして、イクスに魔法が……?」



 イクスに近付く4人。魔法のことを聞きたい皆だったが、イクスにはその余裕はなかった。


「イクス!?大丈夫か!?」

「すまない、疲れたから寝てるわーーーー」


 倒れそうになったイクスの身体をケイルが受け止める。そして、あっさりとイクスの意識は落ちた。『魂魄魔法』のリスク、レジェンドクラス全般のリスクでもある体力の激減でイクスは眠りに入ったのだった。

 殺した者の身体能力を加算する、”魂の共鳴”のリスクでこれからは筋肉痛でしばらく動けなくなるが、イクスは鍛えているので、それ程に厳しくはならないだろう。




 こうして、イクスは帝国に抵抗するだけの力を手に入れたのだったーーーー





あれ、主人公が強い?

タグに主人公最強と変えた方が良いのか……?誰か教えてくれませんかー?



とりあえず、2章はこれで終わりです。後はキャラクター紹介を挟んでから3章に入ります!

そろそろ面白くなりますので、お楽しみをー。これで、読者が増えるといいなー。

これからもこの小説をよろしくお願いします!

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