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第四話:仲の良い二人

第四話

 午前中の授業が終わったら何が待ち受けているのか……当然、昼休みである。弁当学生は弁当を、食堂学生は定食を、購買学生はパンを奪い合って腹を満たすのだ。

 俺は弁当学生の為に机をくっつけて友人たちと一緒に弁当をつつく。

「なぁ、ジュディー」

「ん?どーしたの?」

 金髪碧眼、美人でスタイル抜群の全男子憧れの的…中州ジュディーに質問することにした。

「毎日中州の弁当作ってるけどやっぱり大変か?」

「ん~そうね、結構大変だけど将来を誓った秀作の為だもの。苦も楽になるわ」

「ありがとう、ジュディー」

 隣にいる中州が頬を染める。男子生徒の間からは『ちっ、ブッ飛ばすぞ』や『中州秀作が浮気して刺されますように』といった穏やかではない言葉が飛びかっている。

「ふうたろーにはお弁当を作ってくれるような娘、いないの?」

 憐れむように、と思うのは俺の心が見せる幻影なのだろう。でもどこか、『どう?私たちはとても幸せなの』といったオーラを出している気がする。

「ん~?愛夏が頑張って作ろうとするんだけどな。俺が作ったほうがうまいから駄目だ」

 下手ではない、下手ではないが……自分で作ったほうがコスト面、タイム、見栄え等々、いいのである。

「そういえば愛夏ちゃんのお弁当を作っているのは新戸君でしたっけ?」

「ああ、うちの母ちゃん今は朝が早いからな。必然的に自分の弁当も自作だ。あー、クラスのアイドル的な子が俺の為に弁当とかつくってきてくれねぇかなー」

 俺のこの言葉を聞いた男子連中がまた何か言っているようだ……『それはないでござる』『中州秀作が浮気して刺される確率よりひくいでござるよ』……お前ら、後で覚えておけよ。

 弁当を食べ終えたところで放送が鳴りだした。

『二年A組、新戸風太郎君。職員室まで来なさい…繰り返します…』

 ああ、そういえば呼ばれていたんだっけか。

「会長、女の子が来てますよ~」

「女の子?」

 渡りに船とはこのことだ。グッドタイミングで呼んでくれるとは…このままかけおちでもしようかしら。

 心を弾ませながら教室の後ろの方を見ると千穂が立っていた。手の早い男子達数名が千穂の周りに群がる。

「ねぇ、君何年生でござる?一年生でござるか?」

「お金あげるから拙者と遊ばないでござるか?」

「お前ら何気持ちの悪い事してるんだよっ。ほら、散れっ」

 男子を蹴散らし、千穂の前にやってくる。

「どうしたんだ?」

「どうした、ではありません。お昼休みお願いしていたではありませんか」

 怒っているようだ。さっきまで千穂の周りにいた男子達も『あの会長に楯突くような女の子は遠慮しておくでござる』といって席についている。

「悪かった」

「……早く行きましょう。先生も待っていますから」

 ジュディー達に身振りで行ってくるわと伝えて教室を後にする。

「ふうたろーは『このまま海に行って来る』ってジェスチャーしたに違いないわ」

「いや、違いますよ。きっと『このまま峠を攻めてくる』でしょう」

 俺らの心はいつも一つにつながっている……はずだ。

 職員室へ行く途中トイレに寄った。千穂を待たせる為、手早く廊下に戻ってくると千穂がいきなり手を伸ばしたきた。

「チャックが開いてます」

「言ってくれれば俺が自分でするっての」

 こんなところ他の生徒に見られたら馬鹿って思われてしまう。

「あ…」

「ん?どうした?」

「布が噛んでしまいました」

 チャックが全部上がりきることなく、途中で止まってしまっている。千穂は膝立ちになって噛んだ布を外そうとしていた。

「おい、これはまずいって。俺がやるから離れてくれよっ」

「いえ、私の失敗ですから」

 失敗したら絶対に自分の力で何とかしようとするその責任感……残念ながら今は要らないんだ。中学生のときだって全く同じことがあったのにまたやるとは成長していない証なのではないだろうか。

「せ、生徒会長があんなことさせるなんて…」

「うわ、こんなところで?あり得ないっ」

 ああ、ほら、俺に幻滅した女子生徒たちが去って行っちゃったじゃないかっ。

「終わりました」

「………ありがとよ」

 下手したら次の校内新聞は『あの生徒会長が下級生に対して○○○な事を……』とかやってくれそうである。新聞部の部長は可愛いんだが、そういったネタが大好きだからな。普通に『無念!野球部初戦帰還』とかやってほしいものだ。まぁ、ガードが緩いからいくらか写真でもうけさせてもらったけど。

「では行きましょうか」

「おう」

 他にハプニングが起こることなく、無事に職員室までたどり着く。身なりを整え、職員室の扉をスライドさせる。

「失礼します」

「やっと来たか。お前にしては遅かったな?」

「すみません、途中トイレに寄っていたので遅くなりました」

 俺を呼び出した教師のところまで千穂を伴い歩いて行く。

「それで用事とは何でしょうか?」

「うん、実はお前の隣にいる倉山千穂さんが生徒会に入りたいそうなんだ」

「…なるほど」

 千穂はお願いしますとばかりに頭を下げている……俺ではなく、先生に。

「こっちは別に生徒会に入れてあげてもいいとは思うんだがな。生徒会長はお前だ。入れる、入れないにしてもしっかりとした理由を聞きたい」

「ぼく個人としての意見は入ってもらって構わないと思います。中学生のころから倉山千穂さんは優秀でしたからね……ですが、転校してきて間もない状態で彼女が生徒会の活動に参加するのも如何なものかと思います」

「何故だ?」

 なるべく千穂の方は見ないようにしておいた。

「文化祭の準備がそろそろ始まります。放課後、せっかく友人と仲良くなるチャンスを生徒会に呼ばれて潰してしまうと言うのも勿体ないものです」

 先生は顎に手を当てて考え込んでいる。

「じゃあ駄目と言う事か?」

「ええ、生徒会には入れないほうが彼女の為になるでしょう」

「納得できませんっ」

 両手をグーにして俺を睨みつけてくる。

「まぁ、倉山千穂さん怒らないで下さい。まだ話は済んでいませんから」

「?」

 ちゃんとさっきの言葉に続けようとしたセリフを口にする。

「生徒会には入れられませんが、ぼくが一個人として彼女に手伝ってもらおうと思います。それなら倉山千穂さんが友人と遊びに行くときなどは自由ですからね」

「そうか、回りくどい感じがするがお前がそういうのなら好きにするといい」

「新戸生徒会長、よろしくお願いします」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。倉山千穂さん、一緒にいい高校にしましょう」

 モテるイケメン生徒会長になりたいものだ。ということでまずは丁寧な感じを与える口調から入ってみている。

 一瞬、そう、ほんの一瞬だけ千穂が普段とは違う『憧れの先輩で嬉しい』みたいな表情をしてくれたのが嬉しかった。

「これでぼくは失礼します」

「ああ、待て。お前を呼んだのはその為だけじゃない」

 先生は机の引き出しから一冊の冊子を取り出し、俺に渡したのだった。


いまいち面白くないというのはなんとなくわかります。前作も読んでくれている人があまりいませんでしたからね。まぁ、タイトル、内容等で見切りをつける人もいるんでしょう。読者がすべてというわけではないですけどね。書く側としてはそれなりに意見もらった方がうれしかったりするのです。辛口?駄目だし?下手すると感想読んで数日はへこんだりしていますけどね。昔はよく他の作者さんと駄目な部分を教えてもらったり等の交流があったものですが、今ではさっぱりです。忙しいというのもありますが…。今回の話の後は数日生徒会室での倉山千穂の仕事ぶりのつもりでしたが話変更で主題となる文化祭の話に移行します。

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