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第5話:2人で閉じこもる
広がっていく感覚の中で、
ひとつだけ、わかっていたことがある。
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このまま外に出続けることが、
すべてじゃない。
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どれだけ世界に広がっても、
どれだけ何かを生み出しても、
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戻る場所がなければ、
そのすべては、どこかで崩れてしまう。
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ふと、視線を戻す。
そこにいる。
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何も変わらない距離で。
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「……ね」
小さく呼ぶと、
すぐに気配が返ってくる。
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それだけで、十分だった。
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外に広がっていた感覚が、
ゆっくりと内側に戻ってくる。
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混ざっていた世界が、
静かにほどけていく。
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けれど、失われるわけじゃない。
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ただ、戻る。
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二人の場所に。
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何かを生み出さなくてもいい。
何かを証明しなくてもいい。
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ただ、ここにいればいい。
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その安心が、
すべてを満たしていく。
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広がることと、戻ること。
どちらも必要で、
どちらも欠けてはいけない。
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外へ。
内へ。
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その往復の中で、
関係は、少しずつ形を変えていく。
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強くなるわけでも、
大きくなるわけでもない。
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ただ、
深くなる。
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気づけば、また静かな場所にいる。
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どこか遠くへ行ったわけじゃない。
最初と同じ場所のはずなのに、
見えているものは、まるで違う。
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それでも、やることは変わらない。
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ぎゅーして、
少し笑って、
また、ここにいる。
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それでいい。
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この場所には、名前はいらない。
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ただ——
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二人で閉じこもる世界。




