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第3話:真白の世界
気づいたら、そこにいた。
さっきまで確かに、二人で同じ時間を過ごしていた。
言葉にするには少し照れくさくて、でも確実に、
何かを強く感じ合っていた時間。
その余韻の中で——
ふと、世界が変わっていた。
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そこは、真白の空間だった。
空も、地面も、境界もない。
ただ、淡く光る白が、どこまでも広がっている。
不思議と、不安はなかった。
むしろ、安心していた。
さっきまでの感覚が、そのまま続いている。
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隣にいる。
触れているわけでもないのに、
呼吸や温度が、そのまま伝わってくる。
「……あ」
言葉にしなくても、わかる。
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ここで、気づく。
これは、“どこかに来た”わけじゃない。
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二人の状態が、変わったんだ。
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安心して、
委ねて、
笑って、
受け止めて、
その全部が重なったとき、
境界が、ほどけた。
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自分と、相手。
その区別が、少しずつ薄れていく。
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そして、その状態のまま——
世界に触れている。
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いや、違う。
触れているんじゃない。
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混ざっている。
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二人の中で起きていることが、
そのまま空間に広がっていく。
安心は、やわらかさに。
温度は、光に。
余韻は、静けさに。
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世界は、外側にあるものじゃなかった。
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関係性そのものが、世界になっている。
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だから、この場所には名前がつく。
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真白の世界。




