魔王アイドルになる
「では行ってくるぞ我が右腕よ!」
私は武者震いを無理やり抑え前に進もうとする。
本当は緊張の震えなのだが……
「魔王様武運を……」
「うむ!」
Pがそう言いながら片ひざをつき私を送り出す。
いつみてもなれない
だが慣れるしかない何せ私は魔王なのだから
私は魔王……私は魔王!!
そう自分で言い聞かせながらステージに上がる
「我が臣下諸君!!今宵の宴よく来てくれた!!今日は無礼講!存分に楽しんで行くがよい!」
「「「うぉぉーー魔王様!!」」」
私がそう言うとファン達が歓声と共に紫のライトを振る。
いつみてもこんなに嬉しい景色はない
感謝を伝えたいぐらいだ
だが私は魔王。
感謝はつげられぬ
なら歌で感謝を伝えるのみ
「そんなに我の歌が聞きたいのか!?しょうがない臣下達だ!!なら聞かせてやろう一曲目!『ブルーム』」
こうして私のライブは始まり、辺りは明るい照明から暗くどこか綺麗な照明に切り替わる
アイドルでこんなに怖い照明を使うのは私ぐらいだろう。
そしてそれに喜ぶファンも私のファンぐらいだ
王道のアイドルを目指していた私がどうしてこうなったのか。
それもこれもプロデューサーのせい
本当にありがとうプロデューサー
褒美に我の隣で世界を見せてやろう。
これは闇の物語
トップアイドルを目指す少女と一人の新人プロデューサー
二人が出会い最高の魔王様と右腕になるまでの物語