~やはり少年は最弱~
◇登場人物◇
カケル:物語の主人公
ルカ:カケルのクラスメイトで攻撃魔法が得意少し頭が悪い
ルナ:ルカの妹で支援魔法を使いこなす少し性格が悪い
カラネ:優秀な剣士気が強く芯の強い性格
―魔道学園中庭―
カラネとの決闘で見事に瞬殺されたカケルは中庭にて二次被害を受けていた。
「それにしても何あの無様な決闘は……」
ルナが半笑いで尋ねる。
「見たままだよ……カラネが俺より強かったそれだけだ」
確実に馬鹿にされているが、先ほど回復魔法をかけてもらったので文句が言えない。
「にしても一撃でちゅどーんは無いでしょ……もう少し粘りなさいな!」
「ルナあまり馬鹿にしたらかわいそうだよ……」
ルカの優しさが心に染みる……
「粘るも何も気づいたら吹っ飛んでいたんだよ……しかしあれはなんだ? 本当に瞬間移動みたいだったよ」
「あれは縮地よ!」
声のする方に視線を向けるとカラネの姿があった。
「剣士のスキルの一つなんだけど私みたいにパワーではなくスピードを重視するスタイルなら必須と言っていいスキルね」
「……」
俺を含めルカとルナも無言になる。
「何よ……なんで無言なのよ……」
カラネの表情が不安げなものに変わっていく。
「カラネさんあなた普通に話しかけてきたけど何かしら? あなたは食事に誘ってないはずだけど何か用事でもあるのかしら?」
(おい止めろ! 特定の誰かを傷つけるだけの事実確認は……)
「別にいいじゃない! あんた私の事嫌いなわけ?」
(カラネさん何故俺に聞いてくるのかな?)
「別に嫌いじゃないけど……少し苦手かな……」
(だって起こると怖いし……)
「それほぼ意味一緒だからね!」
カラネは不満気な表情を浮かべてはいるものの決闘時のような殺気はない……そして当然のように俺たちの輪に入ろうとする。
「カラネさん先ほどあんな条件で決闘をしたにも関わらずよく会話に入ろうとできるわね……おかげでそれが魔道の授業に出れなくなったのだけれど!」
(あの……ルナさん読者の方困っちゃうから俺の事名前で呼んで……)
『嫌よ!』
(こいつ脳内に直接!)
「それは違くて……」
「何が違うのかしら?」
ルナが問い詰めるとカラネの顔がみるみる赤くなっていく……相当お怒りのご様子だ。
「ではどうしてあんな決闘をしたのか説明してみなさい」
(あっ! ルナの奴なんか知ってるな……別に駄洒落じゃないよ? だっていつも俺を煽るときと同じ表情なんだもん)
「本当は授業を一緒に受けたかったの! でもいつも話聞いてくれないし・・・・・・授業にも出なくなっちゃうし! だから決闘で勝って命令を聞かせるつもりだったの! これでいい!?」
(可愛い……)
(可愛い……)
(ブフォッ……)
「まあいいわ!」
(おい! 一個違うの混ざってなかったか? 誰とは言わないが本当に性格悪いな)
「でもカラネさんが負けた場合はどうするつもりだったのかしら?」
「そこは大丈夫……変な要求してきたら即首を刎ねて校門に晒すから」
(真顔で何言ってんだよこの子……怖えーよ……あと怖い)
「だからまた仲良くして!」
カラネが今にも泣きそうな顔で問いかける。
「いや首刎ねるとか言っちゃう子とは仲良くできないな……なんか怖いし」
カケルが答えるとカラネの表情がみるみる不機嫌になっていく。
「命令!……なんでもいうこと聞く! だから私とまた仲良くなりなさい!」
「そうなことに使っていいのか?」
(今にも吹き出しそうなルナと何故かあわあわしてるルカは無視しよう)
「いいの! 命令だから! 絶対だから!」
(多分要求飲まないと殺されそうだからここはYes一択なんだよな……あれ俺脅されるのデフォルトになってね?)
「まあそれでいいなら……」
「よろしくね!」
(一悶着あったが昼休みが終わる前に早く昼飯が食べたい)
「ルカルナ早く昼飯食べよーぜ」
忘れかけていた本来の目的を果たすために声を掛けたが……
(おや? カラネさんの様子が……)
「カケル!」
「ひゃい!」
「別にあんたの事じゃないんだからね!」
「じゃあ誰の事だよ!?」
(カラネさんが何かを期待しているような顔でこちらを見ている……)
「カラネも昼飯食べよう」
「うん……」
(どうやら正解のようだ……)
「しかし早かったわね……デレるの」
「デレてねーし!」
「カケルはこうゆうのがいいの?」
「な訳ないだろ」
なんやかんやで友達?が増えた……ルナは相変わらず性悪でルカはアホでカラネは怖いけど不思議と嫌ではなかった……これから苦労させられる未来しか見えないけどね……俺はそっとこの笑顔を守ると誓った。
『あなたには無理よ!』
(それ止めてくんない?)