~魔道の授業~後編
◇登場人物◇
カケル:物語の主人公
ルカ:カケルのクラスメイトで攻撃魔法が得意少し頭が悪い
ルナ:ルカの妹で支援魔法を使いこなす少し性格が悪い
カラネ:優秀な剣士気が強く芯の強い性格
―魔道演習場―
同級生の絡みから解放されて集合場所に着くと、間もなく講師が到着する。
「本日欠席した者はいるか?」
講師からの呼びかけにルカが答える
「全員出席しております」
「そうか……では授業を始める」
妙な間があったが気にしないでおこう……
「本日は魔力制御を学んでもらう……戦いの中では常に全力で魔力を使用するのは危険であり不測の事態に対処できない……そこで魔法を使う際に魔力をコントロールして適切な威力そして魔力消費で発動できるように訓練する」
講師が授業の内容を説明しているが、そもそも魔力量が無い人は何をしたらいいんですかね……と卑屈になりそうな俺を察してかルナが話しかけてきた。
「あなたにとって無意味な授業に参加させてしまって申し訳ないわ……」
(なんで半笑いなの……確実に馬鹿にしてるよね……)
「先生! 魔力が無い人はどうしたらいいんですか?」
(だからなんで思ったことすぐ言っちゃうのこの子……)
「他の生徒の魔力制御を見て学ぶように」
(この講師不愛想だけどいい人なんだよな……俺の事邪険にしないし)
魔法には様々な種類がある……まず代表的なのが『火』『水』『雷』なんかの属性を付与した攻撃魔法、次に一時的に能力に影響を与える身体強化身体弱体化最後に傷を癒したり催眠や麻痺などの状態異常を解除する支援魔法、大抵は自分に合った魔法を極めることが多くここにいる生徒も例がではない。
各々魔力を制御して様々な威力で魔法を発動させている……その中でもルナの魔力制御は群を抜いている支援魔法を様々な範囲と射程で行っている、少し離れたところで全力で火炎魔法をぶっ放し今のは良かったとでも言いたげな表情のルカは見なかったことにしよう。
「ちょっとそこのあんた!」
後ろから声をかけてきたのはクラスメイトのカラネさんだったかな……なんで声を掛けられたかは大体想像がつく……てか俺クラスメイトから嫌われ過ぎじゃない……
「なんであんたが今更魔道の授業に参加してるのよ! 魔力適正が無いってだけで努力もせずに諦めてしまったあんたが!」
「考えが変わったんだよ……例え魔力が無くても概念を知ることはできるだろ」
「そんな言葉信用できない! 先生……私はこの男に決闘を申し込みます! 魔道を学ぶ覚悟が信用できない……私が勝ったらあの男を授業から追い出してください!」
「決闘か……まあカラネ君がそれで納得するなら許可しよう」
(おい講師! 勝手に話を進めるな!)
「でも……カラネ君が負けたらどうするの? そこをはっきりさせないと不公平だよね?」
「私が負けることなんてありえません!」
「大した自身だ……ならもしカラネ君が負けたらあの男の要求をなんでも一つ呑むというのはどうかな?」
「なんでも? なんでもはダメです! 流石に身の危険を感じます!」
(侵害だ! そんな慎ましい身体に興味はない!)
「自分は授業を受ける権利を奪おうとしているのにその逆は無理と……カラネ君は口だけで余程勝つ自信が無いのかな?」
「わかりました……その安い挑発に乗るのは癪ですが!」
「では決闘を認めよう」
(俺の意思関係なしに全てが決定した……)