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邪祓日常編  作者: 白雪 慧流
5/5

バレンタイン

こんにちは!邪祓日常編では、リアル季節と時たまリンクします。

というわけで、今回は未無のバレンタインのお話です!

お話の前に、日常編には本編となる、邪祓が存在します、本編のネタバレ等を含みますので、先に本編を読まれることを推奨しています。

それではお話をどうぞ!

 一月の終わりから二月の初め、ちょうど今の時期。街はクリスマスも正月も終わり、ピンク色の輝きを放ち、チョコレートを目にしない日はない。そう、バレンタインだ。日本では女子が男子にチョコレートを渡す日で、好きな人がばれたくないとか、好きな人がいないとか、その他様々な理由で、友チョコや義理チョコ、本命チョコ選びに精を出している。

 私はというと、バレンタインは嫌いではない、普段店頭に並ばないチョコを見られるし、渡す人がいなくたって、自分が食べるために買うのだから、ウッキウキだ。

「甘ったるいだろ……」

「いいのよ、売ってるんだから」

御影(みかげ)が渋い顔をしているが気にしない気にしない、楽しみ方は人それぞれなんだから。

 昔はお金がなかったし、余裕もない。むしろ彩乃(あやの)に振り回されるから、嫌いだった。

「バレンタインかぁ……」

彩乃に絶対渡しなさいよ! と言われて毎年作っていたっけ。そういえば一度だけ、秀義(ひでき)くんにも渡していたいたような気がする。確かあれは中学二年生の時だ。

 中学からの知り合い、村岡秀義(むらおかひでき)。彼は三田町の外から来た人で、中学一年生から一緒だ。小学校から、半ば繰り上げのようなものだったので、転校生が歓迎されるのと全く同じ扱いを彼は受けていた。私は注目されている人は苦手なので、彼とは一度だけ、学校の外で話した以来会話したことはない。そんな彼が彩乃のことで相談してくるのには驚かされたし、名前まで記憶しているとは思っていなかった。

「ねぇねぇ未無(みむ)

「何?」

 バレンタインが近づく憂鬱な一月。彩乃はいつものように、私の席へと来た。ぶっきらぼうに返した返事を気にもとめず、彩乃は話を続ける。

「私ねー、ヒデくんにチョコを渡そうと思うんだけど」

「ふーん」

彩乃の行動に興味などない。渡すなら勝手に渡してしまえばいい。そう思っていたのだが、次の瞬間思いもよらぬ言葉が飛び出した。

「それでね? なんか私だけ渡したら本命みたいじゃん? 未無もヒデくんに渡してくれない?」

「……は?」

頬杖をつき、上の空で話を聞いていたのだが、いきなり私は巻き込まれることになった。

 バレンタイン当日。料理が下手でも、チョコは楽で、とりあえず湯煎して固めればなんとかなる。手作り感が出せればいいのだ。そんな手抜きで迎えたイベントは、先生からダメと言われていても、学校でチョコ交換が始まる、もう教師側も見て見ぬふりだ。

「未無、渡しに行くわよ!」

「はいはい」

正直、何故私まで? と思っていたが口には出さない。争い事は嫌いだ、変に波風立てたくない。

 秀義くんは一人廊下にいた、詳しくは、山崎(やまざき)くんにどこかの鍵を渡していた。どこの鍵かは知らないが、確か少し前に山崎くんはパソコンで問題を起こしていたと思う、詳細は知らないけれど。秀義くん人がいいから、あれよあれよと学級委員を押し付けられていたし、大変そうだ。ま、私には関係ないけど。

「ヒデくん!」

彩乃が、大きな声を出す。それに反応し彼はこちらを向いて笑顔を向けた。

「どうしたの? 未無ちゃんまで」

不思議そうな顔でこちらを見る、そりゃそうだ、私から彼に話かけることはない。ただ彩乃がいる時点で察して欲しい、連れてこられたんだよ。

「えーっとあのね、チョコを渡そうと思って、ほら今日バレンタインだから」

彼女らしくもなく、おずおずとチョコを渡す。渡し終えるとこちらを睨んだ、面倒だなもう。

「はい、どうぞ、味は保証しないけど」

特に感情をこめず渡す。しかし、彼はなんだか嬉しそうにした。貰えるだけマシ……みたいなもんか。

 だるい一日が終わり、彩乃は用事があるとかで久しぶりに一人で歩き出す、あー、一人って素晴らしい。

「未無ちゃん!」

一人を満喫しようとした時、背後から声をかけられた、秀義くんだ。なんだいきなり。

「何か?」

声にさっさと済ませてくれ、と感情を込めて振り返ると、気持ち悪いくらいに笑顔の彼がいる、え、何、怖い怖い怖い。

「チョコありがとう、嬉しいよ」

「あぁ、なんだその話、別に彩乃に巻き込まれただけだし、気にしないで」

あまり期待させると、毎年渡さなければならない人が増える、それは避けたい。

 そんな私の憂鬱を知ってか知らずか、そっかと彼は言って、無理にくれなくてもいいからねと付け加える。

「感謝だけ伝えたくて、それじゃまた明日!」

「またね」

感謝は彩乃に言ってくれ、そんな言葉が喉まで出かけたが、彼の嬉しそうな笑顔と、彩乃の事で相談されたことが重なり、結局言葉にはしなかった。

「あれだけ喜んでくれるなら、たまにはこういうのもいいかもね」

小さくなる秀義くんを見ながら、なんだか悪い気はしない、だるくはあるが少しだけ気が晴れた一日。

 あの年以降は彼にチョコを渡してはいない。中三の時は彩乃に言われなかったからだ。理由は知らないけど。

 デパ地下には沢山のチョコを使ったスイーツが並ぶ。

「今年は色んな人に渡してみようかな」

邪祓を得て、昔の知り合いや、最近出会った人と関わる機会が増えた。感謝を込めて渡すのは悪くない、自分で作るのは無理だが、市販の方が返っていいだろう。今の市販クオリティ凄いし。

黒子(くろこ)ちゃんに緤那(せつな)くん、それから仁菜(にいな)裕也(ゆうや)さん、菅原(すがわら)くんにもあげなきゃ、後は山崎くんと秀義くん」

そして、隣を見る。御影は、人に酔ったのか、顔色があまり良くない。

「御影、好きなチョコ選んで買うから」

「あ? 俺は別にいらねぇぞ」

「そーいう行事なの」

ほらさっさと選ぶ! としばらくデパ地下を散策する。

 昔はできなかった、やりたくなかった様々なことができるようになっていく。少しは成長できただろうか、できているといいな。

読んでくださりありがとうございます。

バレンタイン、皆様は学生時代どうお過ごしでしたしょうか? 学校でのチョコの受け渡し禁止や、先生に渡した! なんて人もおられることでしょうが、作者は未無ちゃんのようなものでした。バレンタイン……手作りって大変ですよね……。

今は財力を持ってして板チョコを大量購入一人で美味しく食べています! 板チョコ美味い! 皆様も良きバレンタインとなりますように。

次の話は未定です。一週間遅れたらすみません……それでは次の日常編でお会いしましょう!

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