モデル
こんにちは!日常編第三話です!
厄神のちょっとした話となります。
それでは本編をどうぞ!
厄神にはそれぞれモデルが存在する。わかりやすいのは、緤那くんの厄神である、琉央さん、彼は兄である裕也さんがモデルとなっている。御影は恐らく、美冬さん本人で、薬蘑さんは彼女の夫である、雪博さんがモデルだろう。本来の姿を見ていないので、憶測になるが。
このように、厄神は造り出す者の記憶に左右され、造り手は勿論、好きな人や大切な人にも似る傾向にある。
「で、白咲さんのモデルって誰なの?」
「私のですか?」
黒子ちゃんが一時的に本家に戻ってきたので、久々に春水家へと来た私は、白咲さんと話していた。白咲さんは黒子ちゃんの厄神にしては、察しがいいし、どことなく大人な雰囲気もある、服装以外は主とは真反対だ。いや、服も白だから真反対か。
「……恐らくですが、未無様がモデルかと思います」
「へ? 私?」
斜め上の回答に変な声が出てしまった。私がモデルでこうなるの? いや確かに裕也さんが琉央さんになるのも謎だけど。
「厄神は主の先入観で産まれたりもします、主から見た未無様がこの様な感じというわけです」
な、なるほど……? 先入観か、黒子ちゃんに最初に出会ったのは、高校三年の時、こんなに爽やかではないと思うのだが。
「主の憧れと好みを合わせたらこのようになったのでしょう、琉央が英語を使うのと同じですね」
同じなの? どこが? ダメだ全くわからない。
憧れと好みを合わせる……緤那くんが英語を好きだとは考えにくいので、カッコ良さへの憧れが出たのだろうか、仮面は……わからん。白咲さんの場合好みは服装に出ているのだろうとは理解できる、私的な雰囲気とかは本人なのでわからない。
「白咲ー、おねえさま、なんの話をしているんですの?」
おぼんにお茶を乗せ、黒子ちゃんがやってくる。白咲さんは黒子ちゃんの隣へ移動した。
「私のモデルが誰かという話ですよ、我が主」
「白咲のモデル? おねえさまですわよ?」
さぞ当たり前かのように、真顔で座り始める、この子の中の私ってなんなんだろう、どう見えているのだろうか。少なくと私の考えとは違う様に見えているんだろうな。
「そ、そう」
厄神という形で垣間見る私。歳の離れ方を考えれば、多少美化されてたっておかしくはないが、にしてもこんなに綺麗な、和ロリータ服の美女にしなくたって……。
「可愛くてかっこいいがテーマですわ!」
「黒子ちゃんの中の私が怖いわ」
もう諦めよう、あくまでもモデルだ、結局厄神は主に似るのだから、深く考えなくて良いのだ。
裕也さんは琉央さんを見た時どう反応したのだろう。そもそも自分がモデルになっていると思っているのだろうか、気付いていないなら、知らない方が身のためかもしれない、
「子供って怖いわ」
流石は双子、感性が似ているんだろうな、にしたって、極端に偏りすぎだが。しかしその偏りは二人が純粋無垢な証なのかもしれない。
読んでくださりありがとうございます。
黒子ちゃんと緤那くんの頭の中は作者も謎です。リアルでいたら二人共不思議ちゃん認定されることでしょう。
次の話は時間軸を戻しまして、本編【悪鬼化】少し後、実家の話の予定です。
それでは次の水曜日にお会いしましょう!