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女性向け恋愛シュミレーションゲーム「七騎士と虹色姫」は、大切な貴方と世界を救う、運命を掛けたADV——などと名打っていたせいか、バトル色が強めの乙女ゲームだった。
コマンドを選択して攻略キャラクター達と王都を襲う《咎モノ》を倒し、倒した経験値をステータスに割り振っていく。ドロップアイテムである各属性の魔石で、属性値の上昇も可能なシステムだ。
ステータスは好感度以外は引き継ぎが出来たので、回数を重ねる毎にゴリラ系主人公が爆誕していく仕組みだった。
好感度は会話の選択肢によってしか上がらず、各キャラのベストエンドを迎える為には、好感度はもちろんの事、属性値が重要になってくる。
キャラクターにより他属性の必要数値は変わってくるのだが、お目当てのキャラクターと同じ属性値を75以上にしておかないと、ベストエンドルートに入らない。
六人を攻略した後に開く真相ルートでは、ラスボス的な人と戦わないといけないので、総ての属性で結構な属性値が求められたりする。
バトルシステム自体はターン制で操作性はあまりなく、後半になると「主人公だけで十分なのでは……?」と言いたくなるぐらい、主人公無双が巻き起こった。
真相ルートに入ると、主人公が取得出来る最上位スキルだと思われていた属性固有スキルが、さらにもう一段覚醒可能となり、炎、鉄、雷、緑、水、夢属性の固有スキルが七騎士と同じレベルになるのだ。
本当にもう、主人公だけで十分じゃない? これ七騎士いる? と言いたくなる現状である。
攻略対象ではないノヴァーリスの属性である氷属性の固有スキルが習得出来ていない辺りが、リアル過ぎて少し悲しくなってくる。
勿論、習得しようと思えば出来るとは思うのだが、どうしても《氷塊》とか《絶対凍土》とか、攻撃系のスキルになってしまう。
ちなみにノヴァーリスが作中で使う最上位固有スキルは《永久氷牢》だった。
そう、本来氷属性は防御の要と言われているのにも関わらず、主人公が習得出来るのは攻撃系スキルのみ。
てっきり真相ルートで防御系の氷属性スキルが習得出来るのかと思っていたが、そんな事も無かった。
「……でも、過去視って何……?」
ステータス画面をじっと見つめて、首を傾げる。
夢属性の上位スキルが《未来予知》、最上位スキルが《未来視》だった筈。
ゲームには無かった《絶対継承スキル》も気になるが、恐らく他人のスキルが見れる能力はこの《スキルカード》で間違いない。《女王の虹結界》も名前のまま。
《預言者》も気になるが、《過去視》の有用性が全く分からない。
「……その前にこのステータス画面、どうやって閉じるの?」
転生者である記憶を思い出して四日目。
どうにかして推しであるノヴァーリスの自刃エンドを回避して、出来れば主人公とノヴァーリスがくっ付くように仕向けたいと決意して、四日目。
早くも、泣きそうである。