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第27話 報酬の家とボク達の出発地点

2~3日ぶりの最新話です。

改稿と齟齬がないようにゆっくり執筆しています。

 ミアを伴ってマタンガ集落にやってきたボク達は、ガルドさんの案内でちょっと大きめの住居に案内されていた。

 外観は三階建て、窓が十二あることから十二部屋あると予想される。

 奥行は見ていないからわからないけど、小さな洋館がそこにあった。


「お約束の住居はこちらになります。契約した精霊も生活できるようなスペースが整っており、設備の追加も可能となっています。この集落の施設は我々精霊と、資格ある異世界人の方のみ利用することが出来るようになっています。ですが、数人程度であれば例外的に異世界人以外の方もお連れすることは可能です。ただし、入退場は一日二回のみとなります」

 ゴルドさんは、洋館前でボク達にそう説明した。

 ここは一種の修行場であり聖域でもあるそうだ。

 女神に認められた者以外の入場を固く禁止しているという話を聞いた。


「ここで過ごす分にはいつまで居ていただいても構いません。冒険者ギルドに登録されていると思いますが、冒険者ギルドの登録というのは、その街を起点にして活動しているという証なのです。ここは言ってみればホームタウン登録といったものです。いつでも帰れる場所とお考え下さい。ホームタウンで過ごすとその地に満ちた力で倒れた後の後遺症の回復を早めてくれる効果があります」

 精霊達のいる場所は清涼な空気や純粋な力に満ち溢れているため、デスペナルティの回復速度が上昇するのだという。

 プレイヤー達は基本的に死ぬことはなく、死ぬ寸前で緊急保護が働き動けない状態で登録場所に転送される仕組みらしい。

 アルケニアの人にはその効果がないため、死ぬまで戦えてしまう。

 ボク達プレイヤーとNPC達にはそういう違いが存在している。


「とはいえ、それぞれのタウンにも許容数というのが存在しますので、確実に登録出来るとは限りません。ですが、自身で切り拓いた開拓地なら話は別でしょう。ただ開拓地は現在作ることは出来ません。開拓地は汚染された地域へと赴き、浄化の台座と守護の台座を置いて初めて作成することが出来ます。ですが、この台座は技術の要塞の付属施設でしか作れません」

 ゴルドさんは悲し気にそう言った。

 技術の要塞というのは『ボーナスポイント』の開放や様々な製作に関係する修練施設兼開発研究施設といった場所らしい。

 技術の要塞は絆の要塞の管理下にあるため、絆の要塞が機能停止している現状では技術の要塞も稼働することが出来ないのだそうだ。


「大規模な技術開発などは、要塞解放後となるでしょう。それまでは地道にやっていくしかありません」

「疑問なんですけど、何で要塞って呼ばれてるんです?」

 ずっと気になっていた疑問だった。

 なぜなんだろうか?


「各要塞は各々が攻められても防衛施設として機能します。それゆえ要塞と呼ばれているのです」

 どうやらどちらも本来は防衛機能が備わっているらしく、容易に陥落しないようにできているそうだ。


「さて、難しい話はこれくらいに致しましょう。この集落では精霊達と取引することが可能です。一部の精霊、元素精霊と職業精霊がいるのですが、職業精霊は食物を消費します。野菜やお肉といった物もありますので、取引してみるといいでしょう。精霊との取引は『クレセント貨幣』というものを使用します。これです」

 そう言ってゴルドさんが渡してきたのは、三日月型の銅貨銀貨金貨だった。


「クレセント貨幣は精霊界で流通している貨幣です。元素精霊とは違い社会的営みを必要とする職業精霊達はこの通貨を使用して取引しています」

 初めて聞く単語が多くて少し混乱する。

 整理してみよう。

『クレセント貨幣』とは、精霊界の流通通貨の名前であり見た目は三日月状。

 円形に近い三日月の形をしている。

 次に『元素精霊』と『職業精霊』だが……。


「元素精霊と職業精霊ってなんですか?」

「ふむ、そうでしたな。説明を忘れておりました。『元素精霊』とは根源元素を扱いその力を持って事象を動かす精霊のことです。熱を生み出す循環させる、風を吹かせる、水の流れを作り命を育む手助けをする、大地の実りを育み命を育む手助けをするのです。根源元素であるため数が多いのですが、その力は強大といえましょう。その為、実体を持たないのです。そこらにいるマタンガの中身がそうです」

 ゴルドさんの指し示す先には、あっちこっちをうろうろするマタンガの姿があった。

 彼らの中身は、この『元素精霊』なんだそうだ。


「素早い個体、遠距離攻撃が上手い個体、力の強い個体、防御の高い個体がいたと思いますが、皆幼い元素精霊なのです。修行のために大地の精霊が用意した食べられる身体のマタンガを着用しています」

 なるほど、修行場とはそういう意味だったのか。

 ボクはなんとなく理解した。


「続いて職業精霊ですが、主に汚染の拡大を防止したり精霊達の集落の維持管理などを行っています。世界の治安警備担当でもあります。今回の汚染の根源はそれすらも上回る力でした。今は拡大を阻止するだけで精一杯なのです」

 ときどき人のような姿をみかけるなと思っていたけど、それらはみんな職業精霊だったのか。


「プレイヤーと精霊の見分け方はありますか?」

「【鑑定】を試用するのが一番早いでしょう。見た目での区別は難しいと思います。ただ、アルケニアの住民には見えません。居住許可を与えられた場合は別ですが、普段は目視することも確認することも出来ません」

 驚いたことに、NPCからは認識出来ないというのだ。

 NPCは本当に自立AIということなんだろうな。


「ありがとうございます! 洋館の中、見ても良いですか?」

「えぇ、どうぞ。執事一名にメイド長が一名、メイド達もいますので、何なりとお申し付けください」

 ゴルドさんにそう言われ、ボク達は館の扉を開けた。

 するとそこには、男性執事一名、女性メイド六名が揃って並んでいた。

 その中から、執事の人と一人のメイドが前に歩み出てきた。

 どちらも三十五から四十程度といった見た目だ。


「お初にお目にかかります、スピカ様、マイア様、ミア様、エレクトラ様、ケラエノ様。私は執事の『ルードヴィヒ』でございます」

「お初にお目にかかります、私はメイド長の『カルナ』と申します」

 二人は揃ってボク達にお辞儀をする。

 すると、五人のメイド達も一斉に頭を下げていた。


「よ、よろしく」

 ボクはちょっと気後れしつつもそう挨拶をした。


「よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします」

 元気に物怖じせず挨拶するマイアと人型になったミア。


「よ、よろしくおねがいしまふっ」

「よろしくお願いいたしますわ」

 なぜか噛んだエレクトラと優雅にお辞儀をするケラエノ。

 姉妹なのにどうしてこうも違うのか。


「ケラエノの方がお嬢様って感じだよね」

「ちょっと、それひどくない!?」

 ボクの一言にエレクトラが言い返してくる。

 そうは言っても、他から見たらその通りなんだから仕方ないと思うなぁ。


「言われてるわよ? お姉ちゃん」

「うぅぅぅ、うるさああい!」

 悔しげに歯噛みしながらなんとかそう言うエレクトラだった。

いつもお読みいただきありがとうございます。


現在改稿と追加を行ってます。

自分の読みやすさと他人の読みやすさは別なので、万人に喜ばれるのは難しいですね。

ただ、出来るだけストレスにならなず読みやすいものを目指しています。

足りない説明も追加してますよ!

最新情報などは活動報告に記載しますので、よろしくお願いします。

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