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第9話 魔境! 烏丸家

ゲームしないの?

と言われかねない状況ですが、前回に引き続き烏丸家との話です。

ゲームは今しばらくお待ちを!

というか、メインストーリーも進めないと。

 とりあえずボクは、ミナの出した服に着替える。


 その間にちょっとだけ相談しつつ、美影と瑞樹に対する対策を練る。

 一応言っておくけど、瑞樹は悪い子じゃない。

 むしろいい子だと思う。

 ただボクは、13歳の誕生日を前にして瑞樹に言われた言葉が気になっていた。 


『成人するまで待ってるから』


 瑞樹の発したこの言葉は、人間としての成人についてなのか、妖種としての成人についてなのか悩みどころだった。

 人間としてならば二十歳だが、妖種としてならばあと百年近く待つ必要がある。

 お婆ちゃん的には妖種としての成人しか認めなさそうなので、家族的には成人といえば妖種の成人ということになる。

 瑞樹の言う成人はどっちなんだろうか。


「それじゃ、行こうか」

「うん」

 ボク達は扉を開けると、扉を出て強い日差しの中を歩き出した。


「あっついなぁ。照り返す日差しもアスファルトの熱も、どっちも暑い」

 空からは太陽がじりじりと熱を、地面からは熱したプレートか何かのようにアスファルトから熱がじわじわとボク達を責めさいなんでいた。

 ホットプレートか何かで挟んで焼かれているような気分になる。

 あるいは鯛焼きとか。


「片面だと生焼けだから、ひっくり返してもう一度焼けば、ちょうど美味しくなりそうだよね」

 これがボクの言葉に対する妹の返事だ。


「何の話?」

 妹が何を言っているのかわからなかったので、思わず聞き返してしまう。


「お姉ちゃんを美味しく食べる方法」

 ニッコリ笑顔でそう発言する妹。

 妹はボクを丸焼きにして食べる気満々なようだった。


「美味しいかな? 毛の方が多いと思うよ」

 どっちの姿であっても毛の量が多いので食べられたものじゃないと思う。


「狐の丸焼き、美味しそうだけど食べられる部分少なそうだよね。猪とかに変化しない?」

 ボクを上から下までじっくりと見ながら、ミナがそう言う。


「猪とかやだよ。ワイルドボアみたくなるじゃん」

 ゲーム内の魔物の姿を思い浮かべ、自分がその姿になったところを想像すると、妙な気分になった。


「今から行くところは、鳥の丸焼きが食べられるね」

 ふとミナがそんなことを言い出した。

 鳥の丸焼きかぁ。

 いいかもね。


「にしてもうちから15分くらい歩くとか、幼馴染のくせに家遠すぎでしょ」

 うちからはおおよそ1キロほどの距離がある。

 幼馴染ではあるものの、ご近所というわけではない。


「あの家も無駄に大きいよね。何坪あるんだっけ?」

 隣を歩きながらミナが、烏丸家の敷地面積について一生懸命数えていた。

 でも、正しい数値を知らないから絶対正解には辿りつけないだろうけど。


「烏丸家かぁ。お正月以来だよなぁ」

 烏丸家のお正月は大変豪華で煌びやかだ。

 大量のおせち料理にたくさんのお酒。

 呼び集められる親族や友人知人。

 広場には音曲を奏でる奏者までいるくらいだ。


「はぁ。肩凝るしもう行きたくないかな」

 烏丸家は盟友と呼ばれる二家が存在している。

 その一つは鬼塚家。

 土木建築などの肉体労働系を主な仕事にしている肉体派で、迅速かつ安全安心な工事や建築を謳い文句に活動している。

 なお、リフォームなどでの不具合や工事の不備については無償で応じてくれるアフターケアサービスも行っている。

 

 そしてもう一つが八坂家。

 つまりボク達の家だ。

 現在はゲーム開発や新規事業の支援、そして祭事などの仕事を行っている。

 祭事に関しては、現在建築中の九ツ神社で行う予定で、神職や神主の資格はお父さんがすでに持っている。


 そんな関係なせいか、ボク達と瑞樹達烏丸家、そしてちょっと粗暴な鬼塚家の子供達は、みんな幼馴染なのだ。


「暑い中歩いてきたけど、ようやく辿り着きそうだね」

 商店街を抜け、街の中心から山側に進路を取って歩いていくと、だんだん開けた場所が見えてくる。

 その先に、大きな屋敷がある。

 そこが烏丸家なのだ。


「烏丸家と山かぁ。本当に山が好きだよね」

 ボク達は他愛のない話をしながら歩いていく。

 しばらく歩き、烏丸家の敷地内に近づいていくと、上空から羽音が聞こえてきた。


「あいやしばしまたれよ! そこな少女二人は何用でここまで来られた?」

 声を掛けられたので見上げると、そこには黒い大きな羽根を持った山伏姿の大人の男性がいた。

 一見すると怪しい人だが、彼は怪しくはない。


「こんにちは、宗助さん。美影に呼ばれてきました」

 ボクがそう声を掛けると、宗助さんは大変驚いた顔をしていた。


「八坂のお嬢と、もう一人は……。もしかして八坂のお坊ちゃんで!? いやしかし、そのお姿は一体……」

 宗助さんが驚くのも分かる。

 今のボクは一回り身長が小さくなり、髪色も青銀色をしている。

 姿形は人の姿なのだけどね。


「誕生日迎えまして……」

「!?」

 その一言で通じてしまったらしい。

 宗助さんは地上に降りてくると、ボクの方をまじまじと見ながら頷いている。


「これは大変お美しく化けましたな。我ら烏天狗とは生態が違うので状況の把握は困難ですが、八坂のご当主よりお伺いしてはおります。なるほど。それに、この神気……。ココノツ様の守りが付いているのですね」

 宗助さんが納得したところで、訪問の目的である美影の所在について尋ねた。

 

「宗助さん、それで美影は?」

 宗助さんはハッとした顔をすると、謝罪しつつボクの質問に答える。


「申し訳ありません。お部屋にいらっしゃいますので、すぐご案内致します。ただその……。瑞樹様による折檻が行われていましたので、すぐお会いできるかは分かりかねます。どうかご了承いただきたい」

 宗助さんはそう言うと、ボク達の横に並んだ。


「では、参りましょう」

 宗助さんのエスコートを受け、ボク達は魔境烏丸家邸宅へと足を踏み入れたのだった。

いつもお読みいただきありがとうございます。


兄妹や友達と行動している時、あまり出てこないミアについて気になる人もいるかと思いますが、ミアは基本戦闘には向いていないため、主であるスピカをサポートする必要がない時は、部屋で錬金術をしているか、フィルの手伝いをしています。

この辺りもそのうち閑話などで出していけたらと思っています。


これとは別件ですが、未投稿の新作をちょこちょこ空いた時間に作っています。

いつ投稿するかは不明ですが、直近ではありません。

息抜きに作っているだけなので、進行遅いですしね。


アルケニアオンラインはメインストーリーというか、いわゆるグランドストーリーが存在しています。

なので、そこへ向けての設定の調整などで思ったよりも悩むんですよ。

楽しい話にしたいけど、いまだ技量足りず。

ストレスフリーになる日は来るのか!?


気が向いた時にでも評価などいただければ幸いです。

いつこの未熟な状況から脱出できるのだろう。

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