攻略対象に出会いました
庭に入るとそこはお花畑のように辺り一面が花でした。
「凄い!ねぇリュークくん!綺麗だね!」
「え?う、うん。」
どうしたんだろうか?何だかリュークくんの顔が赤いのは何故だろう
「…の…が…綺麗だね。」
「え?何が綺麗?」
「え!?あ、ほら!あの薔薇!」
薔薇?指をさされた方向を見てみると色々な色をした薔薇があった
「ほんとだ〜!薔薇綺麗だね!どんな御方が手入れしてるんだろうね。」
「知らない。この城の使用人とかじゃない?」
ん〜だよねー…相当大事に手入れされてますよこれは。
「またこの匂いだ。」
「え?花の匂い?」
「庭の花の匂いじゃない。もっと甘い匂いがする…あそこの柱の後ろ。」
そう言うと、リュークくんは柱の後ろへと走り出した
「ちょっとリュークくん!?」
「リサ…こいつ誰?」
「うぇ……あ…の…ご…めんなさい…!」
腕をグイッと引っ張って出てきたのは銀色のふわふわした髪にライトブルーの瞳をした少年
「て…天使?」
「え?リサ?」
一言で言います。天使なんですよ!うるうる涙ぐみながらオロオロして可愛いらしい!
「あ、あの…お兄様の…後をついて行ったらあなた方がいましたので…すみません…。」
お兄様とは…?ん??
「えっと…僕はケイティ・ユアニールです…えっと……。」
ケイティ・ユアニール……ですと!!?このゲームの中では超重要人物であり…最初に攻略しなければならない攻略対象ですと!?
「リサ…?どした?そんなクルクル回って。」
「あ、ごめん…つい。」
「ついで回るのか!?」
「面白い人ですね…。」
天使の笑みを打ち返された…嘘でしょ…あのケイティ・ユアニールは腹黒&ヤンデレキャラなのに…子供時代はこんな天使とかっ!!!
「あ、僕はリューク・サルザード。」
「私はリサ・マルケスです!」
「フルネームは初めて知ったんだけども?」
と…リュークくんがお怒りのご様子。
ほら、自己紹介は短めの方がいいですよね!
「えっと…あの…よろしくお願いします!」
「よろしく。」
「うんうん天使。」
「リサ、落ち着こう。」
「あ、あの…今度このお庭でお茶会を開くんですけれど…お二人もどうですか?」
プルプル震えてて可愛い…じゃなく、ケイティくんは実は愛人の子という設定があって義理の母からは虐待を受けて育ったらしく…大人の人とか見ると怯えてしまうらしい
(前世の自分よ…ケイティくんを攻略しておいてよかったね!)
「いや、僕はいいけど…ノーラがなんて言うか…。」
「私も全然大丈夫ですよ!けれど…ノーラ様がなんて言うか…。」
「あの大魔導士ノーラ様のお知り合いなのですか!?」
おぉ…急に目がキラキラなりだしてびっくりしたよ…しかし可愛いらしい!
「僕…ノーラ様の弟子になりたいのです…そして強くなって、いつか父上や義母上とお兄様と笑いあってご飯をご一緒に…。」
「く、暗いって…つかノーラじゃなくても強いやつとかいるけど?ね?リサ。」
「うぇ!?う、うん!いるいる!」
急に話を振られると困るよ!?強いひとってノーラ様意外にいるかな?
騎士団とか?はたまた、他の攻略対象?いやまだ子供だよね
ノーラ様を除いて
「例えばどんな方ですか?」
「え…ほら…ケイティのとこの騎士団とか…?」
「あとはケイティくんの所の使用人さんは?」
「無理です…僕の護衛をしてくれている守護騎士のレオンは忙しいですし、他の使用人さんたちも…。」
意外と話が暗かったッッ!ダメだ他の話題を出さなきゃだめだ
まずは話をそらさないと……と思いきやリュークくんが
「ノーラに僕が話してみる…。」
と、言うので私もとりあえずは…
「わ、私も話すよ!」
話を合わせます。
「ほんとですか?ありがとうございます!」
純粋な目…すっごいキラキラしてる!
「…あ…ノーラの匂いがする。」
「え?匂い…ですか?どこにもいませんよ?」
「リュークくんはウルフだから、遠くの人の匂いも分かるんだよ!」
「だからケイティの匂いもわかった。」
「ウルフ……凄い種族の方だったんですね!僕、尊敬します!」
ぎゅっと、ケイティくんがリュークくんの手を握って迫っている
(ケイティくん…腹黒とか関係なく…強引…。)
「あ、あの……近い。」
「あ、すみません……。」
「い、いいけど…ケイティは行かなくていいのか?使用人…騒がしくしてるけど。」
「え!?あ……誰に何も言わずに来てしまいました…。」
「に、庭に来たことを誰にも言わずに…ですか?」
「は、はい…。」
第二王子様っ!しっかりしましょう!そりゃあさっきから騒がしいなーと思ってましたよ!
「すみません…僕、部屋に戻ります。」
「お、おー…お茶会…絶対に行くから。」
「ほんとですか?約束ですよ!」
笑顔で手を振りながら走り去っていくその姿も天使でした…
「リュークくん…お茶会行こう。」
「うん。あいつなんかほっとけないし。」
「だ、だよね。」
何だか危なっかしいよね。
『あ、いたいた。ふたりとも帰ろうか。』
「ノーラ遅い。」
「王様はどうしたんですか?」
『きぜt…いや、仕事をしてるさ。』
今絶対に気絶って言いかけましたよね!?まぁ王様にそんなことを出来るのはノーラ様だけかもしれませんが…
「ほらリサ…終わったら3人で買い物…でしょ?」
「うん!」
『そうだったね。なら近くの街でも行ってみるとするか。』
精霊契約を終わらせたあとにまさか、攻略対象に会うとは思わなかったけれども…破滅の道へと行かないように阻止しなければ!




